相続登記未了通知が届いたら?最新版・完全対応マニュアル【期限・書類・手続き】
- 一般社団法人日本不動産管財

- 5月16日
- 読了時間: 6分
更新日:10月20日
法務局から突然「長期間相続登記等がされていないことの通知」が届いて不安を感じていませんか?この通知は詐欺ではなく、法務省が実施する正式な通知です。2024年4月から相続登記が義務化され、3年以内の登記申請が必須となりました。本記事では、通知が届いた後の具体的な対応方法を徹底解説します。
相続登記未了通知とは?基礎知識を3分で理解
通知の正式名称と送付元
正式名称:長期間相続登記等がされていないことの通知(お知らせ)
送付元:各地域の法務局(法務省管轄)
根拠法令:所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法第40条
この通知は、登記名義人が亡くなってから10年以上経過しても相続登記が完了していない土地について、法定相続人に登記を促すために送付される公式文書です。
なぜ今、この通知が届くのか?
2024年4月1日から相続登記が義務化されました。これは日本全体で九州本島に匹敵する面積の所有者不明土地が社会問題となっているためです。法務局は2019年頃から「長期相続登記等未了土地解消作業」として、該当する土地の法定相続人を調査し、順次通知を送付しています。
通知が届いたら最初にやるべき3つの確認事項
1. 通知内容の確認チェックリスト
通知書に記載されている以下の項目を必ず確認してください:
□ 不動産番号及び不動産所在事項(土地の場所)
□ 法定相続人情報の作成番号
□ 現在の所有権の登記名義人(亡くなった方の氏名)
□ 土地の地番・地目・地積
2. 詐欺ではないことの確認方法
通知の真偽が心配な場合は、記載されている法務局に直接電話で確認しましょう。法務局の連絡先は通知書に明記されています。詐欺の場合、振込みを要求されることがありますが、正式な通知では金銭の要求は一切ありません。
3. 法定相続人情報の無料取得
通知に記載されている**「法定相続人情報の作成番号」を使えば、法務局で無料**で法定相続人の一覧を取得できます。これにより、誰が相続人なのかを正確に把握できます。
相続登記の対応期限と罰則
義務化による期限設定
相続開始を知った日から3年以内に相続登記を申請する義務があります。
通知が届いた場合の期限:
2024年4月1日より前に相続が発生:2027年3月31日まで
2024年4月1日以降に相続が発生:相続開始を知った日から3年以内
期限を過ぎた場合の罰則
正当な理由なく期限内に登記を行わない場合、10万円以下の過料が科される可能性があります。
すぐに登記できない場合の緊急対応策
遺産分割協議が長引く場合は、「相続人申告登記」という簡易的な手続きで義務を一時的に履行できます。この手続きは無料で、必要書類も少なく済みます。
相続登記に必要な書類一覧【ケース別完全版】
基本的な必要書類(全ケース共通)
被相続人(亡くなった方)関連:
□ 出生から死亡までの連続した戸籍謄本
□ 住民票の除票または戸籍の附票
相続人関連:
□ 相続人全員の現在の戸籍謄本
□ 不動産を取得する相続人の住民票
不動産関連:
□ 固定資産評価証明書(最新年度分)
□ 登記事項証明書(登記簿謄本)
遺産分割協議による相続の場合
上記の基本書類に加えて:
□ 遺産分割協議書(相続人全員の実印押印)
□ 相続人全員の印鑑証明書(3か月以内のもの)
遺言書による相続の場合
基本書類に加えて:
□ 遺言書の原本
□ 検認済証明書(公正証書遺言以外の場合)
法定相続分による相続の場合
基本書類のみで申請可能ですが、相続人全員の共有名義となります。
相続登記の具体的な手続き手順【5ステップ】
ステップ1:相続人の確定(1~2週間)
法務局で法定相続人情報の作成番号を使って相続人一覧を取得し、全員に連絡を取ります。
ステップ2:必要書類の収集(2~4週間)
各市区町村役場で戸籍謄本等を取得。郵送請求も可能です。
ステップ3:遺産分割協議の実施(1~3か月)
相続人全員で話し合い、誰がどの不動産を相続するかを決定します。
ステップ4:登記申請書の作成
法務局のホームページから申請書のひな形をダウンロードして記入します。
ステップ5:法務局への申請(1~2週間)
管轄法務局の窓口またはオンライン申請で手続きを行います。
相続登記にかかる費用の目安
自分で手続きする場合
登録免許税:固定資産評価額の0.4%
戸籍謄本等の取得費用:約1~3万円
合計:5~10万円程度(不動産評価額1,000万円の場合)
司法書士に依頼する場合
司法書士報酬:5~15万円
登録免許税・実費:上記と同じ
合計:10~25万円程度
よくあるトラブルと解決方法
相続人の一部と連絡が取れない場合
不在者財産管理人の選任を家庭裁判所に申し立てる必要があります。手続きには3~6か月かかります。
相続人の中に認知症の方がいる場合
成年後見人の選任が必要です。家庭裁判所への申立てから選任まで2~3か月程度かかります。
遺産分割協議がまとまらない場合
まずは相続人申告登記で義務を果たし、その後じっくり協議を続けるか、家庭裁判所の調停を利用します。
必要書類が揃わない場合
古い戸籍が廃棄されている場合は、**「廃棄証明書」**を取得し、代替書類で対応します。
専門家に相談すべきケース【無料相談窓口あり】
司法書士への相談が推奨される場合
相続人が5人以上いる
不動産が複数ある
相続人の中に海外居住者がいる
数次相続が発生している(相続人も亡くなっている)
必要書類の収集が困難
無料相談窓口一覧
法務局の無料相談:予約制、各地域の法務局で実施
司法書士会の無料相談会:定期的に開催
市区町村の無料法律相談:月1~2回程度実施
2025年以降の相続登記制度の重要な変更点
住所変更登記の義務化(2026年4月施行予定)
所有者の住所や氏名に変更があった場合、2年以内の登記が義務化されます。
相続土地国庫帰属制度の活用
相続した土地が不要な場合、一定の要件を満たせば国に引き取ってもらえる制度が2023年からスタートしています。負担金(10年分の管理費相当)の納付が必要です。
所有者不明土地の新たな管理制度
所有者不明土地について、裁判所が管理人を選任し、売却や活用ができる制度が拡充されています。
まとめ:今すぐ行動すべき3つの理由
1. 罰則リスクの回避
2027年3月31日の期限を過ぎると、10万円以下の過料のリスクがあります。
2. 相続がさらに複雑化する前の対応
時間が経つほど相続人が増え、手続きが複雑になります。
3. 不動産の売却・活用の準備
相続登記が完了していないと、不動産の売却や賃貸ができません。
通知が届いたら、まず法務局で法定相続人情報を確認し、早めに行動を開始しましょう。手続きが複雑な場合は、迷わず専門家に相談することをお勧めします。
