top of page

相続登記の義務化で何が変わる?罰則・期限・費用を解説

執筆者の写真: 一般社団法人日本不動産管財
一般社団法人日本不動産管財
2024年1月12日
読了時間: 7分

更新日:10月7日

2024年4月1日から相続登記が義務化されました。これまで任意だった不動産の名義変更が、法律で必須となったのです。

相続でその不動産の所有権を取得したことを知った日から、原則3年以内に登記を申請する義務があります。

2024年4月1日より前の相続も対象です。期限は、2027年3月31日と、その不動産の所有権を相続で取得したことを知った日から3年を経過する日の、いずれか遅い日です。


相続登記の期限を取得を知った時期で場合分けした図。その不動産の所有権を相続で取得したことを知った日から原則3年以内。2024年4月1日より前の相続では、同日より前から取得を知っていた場合は2027年3月31日まで、同日以降に知った場合は知った日から3年以内

なぜ相続登記が義務化されたのか?所有者不明土地問題の深刻さ

所有者不明土地は、登記簿だけでは所有者が分からない、または所有者の所在が分からない土地です。公共事業や土地利用、管理に支障を生じさせることがあります。

所有者不明土地が引き起こす主な問題:

• 公共事業の遅延(道路建設、災害復旧工事などが進まない)

• 空き家問題の深刻化(管理者不在による倒壊リスク)

• 土地の有効活用の妨げ(再開発や売買ができない)

• 固定資産税の徴収困難(自治体の税収減少)

これらの問題を解決するため、国は相続登記の義務化に踏み切りました。



相続登記をしないとどうなる?10万円以下の過料と実務上のデメリット

法的な罰則

正当な理由なく3年以内に相続登記をしない場合、10万円以下の過料が科される可能性があります。

「正当な理由」に該当するかは個別に判断されます。法務省は、次のような事情を例として示しています:

• 相続人が極めて多数に上り、戸籍関係書類などの収集に多くの時間を要する場合

• 遺言の有効性が争われている場合

• 申請義務を負う相続人自身に重病などの事情がある場合

• 相続人がDV被害者で避難している、または経済的に困窮して費用を負担できないなどの場合


実務上の重大なデメリット

1. 売却手続きに支障が出る 相続関係と取得者を整理し、相続登記を進めてから買い手への所有権移転登記を行います。売買契約を結べるかと、登記手続きが完了できるかは別の問題です。

2. 担保設定に必要な整理が進まない 金融機関に相続関係・取得者・登記状況を伝え、相続登記と担保設定に必要な手続きを確認します。

3. 相続関係が複雑化するリスク 登記をしない間に次の相続が起こると、相続人や必要書類が増え、手続きが複雑になる場合があります。

4. 第三者に権利を主張できない場合がある 法定相続分を超える部分の取得は、登記などの対抗要件がないと第三者に主張できません(民法899条の2)。



相続登記の手続き方法と必要書類一覧

基本的な必要書類

【主な書類の例】必要書類は、法定相続分・遺産分割・遺言など登記の方式によって異なります。法務局の記載例で確認してください。

• 被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本

• 被相続人の住民票の除票または戸籍の附票

• 相続人全員の現在の戸籍謄本

• 遺産分割協議による場合:協議書に押印した相続人の印鑑証明書(登記申請人を除く)

• 不動産を取得する相続人の住民票

• 固定資産評価証明書

• 登記申請書

【ケースによって必要な書類】

• 遺産分割協議書(遺産分割をした場合)

• 遺言書(遺言がある場合)

• 相続放棄申述受理証明書(相続放棄者がいる場合)


手続きの流れ

1. 相続人の確認 戸籍関係の書類を収集し、法定相続人を確認

2. 相続財産の調査 不動産の登記事項証明書などを取得し、現在の登記状況を確認

3. 遺産分割協議(必要な場合) 相続人全員で不動産の分け方を決定

4. 必要書類の収集 登記の方式と状況に応じた書類を取得

5. 登記申請 管轄法務局に申請書と必要書類を提出。完了までの期間は補正などによって異なる



相続登記にかかる費用の内訳と節約方法

登録免許税・実費を確認する

1. 登録免許税 原則として固定資産税評価額に0.4%を掛けます。ただし、価額100万円以下の土地の相続登記などには、2027年3月31日までの免税措置があります。適用には申請書への根拠条文の記載が必要です。持分を取得する場合の価額の判定などは、法務局の案内で確認してください(2026年10月7日確認)。

(例)評価額3,000万円の不動産 → 12万円

2. 必要書類の取得費用 • 戸籍謄本(全部事項証明書):通常1通450円

• 除籍謄本・改製原戸籍謄本:通常1通750円

交付方法によって手数料が異なる場合があります。請求先の自治体で確認してください。

• 住民票:請求先の自治体の手数料を確認

• 印鑑証明書:必要な相続人の範囲と、請求先の手数料を確認

• 固定資産評価証明書:自治体の取扱い・手数料を確認

必要な書類の種類・通数、郵送費を合わせて見込む


専門家に依頼した場合の費用

司法書士報酬の確認

• 不動産の数、相続人の数、登記の状況を伝える

• 書類収集・遺産分割協議書作成など、依頼する範囲を確認

• 報酬と登録免許税・実費を合わせた総額を確認


費用を節約する方法

1. 自分で手続きを行う 法務局の無料相談を活用すれば、専門家費用を節約できます。

2. 自治体の支援制度を確認 相続登記などの補助制度を設ける自治体もあります。対象、補助額、申請時期を所在地の自治体に確認しましょう。

3. 法定相続情報証明制度を利用 一度の手続きで複数の相続手続きに使える証明書を無料で取得できます。



「相続人申告登記」制度で義務を簡単に果たす方法

相続登記の申請義務を簡易に履行する方法として、「相続人申告登記」があります。

相続人申告登記のメリット

• 相続人一人で申出可能(他の相続人の協力不要)

• 必要書類が少ない(戸籍謄本と住民票程度)

• 費用が安い(登録免許税不要)

• オンラインでの申出が可能

注意点

期限内の申出で、申出をした人の相続登記の申請義務を履行できます。ただし、所有権や持分を確定する登記ではありません。

• 誰がどの不動産を取得したかは登記されない

• 売却や担保設定には、別途相続登記が必要

• 後に遺産分割が成立した場合は、その成立日から3年以内に、取得した不動産の登記が別途必要



相続登記義務化に関するよくある質問(Q&A)

Q1. 相続登記の期限3年を過ぎてしまったらどうなりますか?

A. 期限を過ぎるとすぐに過料が科されるわけではありません。登記官が違反を把握した場合、相当の期間を定めて申請を催告します。正当な理由なくその期間内に申請しなかった場合に、管轄の地方裁判所へ事件が通知されます。気づいた時点で速やかに手続きを進めましょう。

Q2. 相続した不動産が遠方にある場合はどうすればいいですか?

A. オンライン申請や郵送申請が可能です。また、不動産所在地の司法書士に依頼することもできます。

Q3. 相続人の一人が行方不明の場合はどうすればいいですか?

A. 連絡が取れない理由や相続関係によって対応が異なります。所在の調査、不在者財産管理人の選任などについて専門家に相談し、期限内の相続人申告登記も確認しましょう。行方不明の相続人がいることだけで、必ず正当な理由と認められるとは限りません。

Q4. 固定資産税評価額が低い不動産も登記が必要ですか?

A. 評価額に関わらず、すべての不動産で相続登記が義務となります。山林や農地も対象です。

Q5. 共有名義の不動産はどうなりますか?

A. 亡くなった人の共有持分も相続登記の対象です。遺産分割前に法定相続分で登記する場合は、1人の相続人が全員分を申請できますが、自分の法定相続持分だけを登記することはできません。自分だけで申請義務を履行したい場合は、相続人申告登記も確認してください。



まとめ:相続登記は早めの対応が重要

相続登記は、原則として相続でその不動産の所有権を取得したことを知った日から3年以内の申請が義務です。義務化前の相続にも経過措置があります。

正当な理由なく義務を怠った場合の過料だけでなく、売却や担保設定の手続きに支障が出たり、次の相続で関係が複雑になったりするリスクがあります。

今すぐ確認すべきこと:

□ 相続した不動産の有無を確認

□ 登記簿上の名義人を確認

□ 取得を知った日と、2024年4月1日より前の相続に対する経過措置を確認

□ 必要に応じて専門家に相談


相続関係や必要書類によって手続きの難しさは異なります。法務局の相談や司法書士への依頼、相続人申告登記などを状況に応じて利用し、期限内の対応を進めましょう。

早めの対応で、将来のトラブルを防ぎましょう。

確認した一次資料

法務省「相続登記の申請義務化について」(義務・期限・過料):https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00599.html

法務局「相続登記の登録免許税の免税措置について」:https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/page7_000017.html

港区「手数料一覧」(戸籍・除籍・改製原戸籍の通常の手数料。コンビニ交付は別料金):https://www.city.minato.tokyo.jp/shibamadochou/kurashi/todokede/tesuryo.html

確認日:2026年10月7日

関連記事

すべて表示
遺贈とは?【相続土地国庫帰属制度との関係もわかりやすく解説】

相続との違い・種類・税金・手続きの基本 【相続土地国庫帰属制度との関係もわかりやすく解説】 「遺贈」という言葉をご存じでしょうか。相続土地国庫帰属制度について調べていると、「相続又は遺贈(相続人に対する遺贈に限る)により土地を取得した者」という要件を目にすることがあります。 遺贈とは遺言によって財産を譲ることです。受け取る人との関係、遺贈の種類、土地の取得経緯によって、税金や手続き、国庫帰属制度の

 
 
bottom of page