土地を放置してはいけない理由|越境樹木の伐採が教えてくれる所有者の責任

更新日:10月7日
空き地や山林、誰も住まなくなった家。「しばらく放っておいても大丈夫だろう」と思っていませんか?
しかし、不動産を所有するということは、たとえ利用していなくても管理責任が発生します。とくに都市部や幹線道路沿いでは、放置したことで他人の権利や安全に影響を与えるケースも少なくありません。
■ 実例:越境樹木によるリスク
下の写真は、引き取り後の土地で実際に行われた「越境樹木の伐採工事」のビフォーアフターです。


放置された樹木の枝葉が歩道や道路へはみ出し、歩行者の安全や車両の通行を妨げていました。このような状態は、通行人との接触事故、電線トラブル、行政からの指導などにつながる重大なリスクです。
■ 所有者・管理者に問われる責任
倒木や枝の落下で他人に損害が生じても、所有しているだけで必ず賠償責任が生じるわけではありません。民法第717条は、工作物の設置・保存に瑕疵(安全性の欠陥)がある場合の責任を定め、竹木の栽植・支持に瑕疵がある場合にも適用されます。原則として占有者(土地や樹木を事実上支配・管理する人)が責任を負い、占有者が損害を防ぐために必要な注意をしたときは所有者が責任を負うという仕組みです。上記の瑕疵によって損害が生じ、所有者として責任を負うときは、所有者自身が占有者でも、見回りなど必要な注意をしていたというだけでは免責されません。故意・過失による権利侵害には民法第709条も関係します。責任の有無は、樹木の状態や管理状況、損害との因果関係などによって判断されます。
道路への張り出しなどが道路法第43条の禁止行為に当たる場合には、道路管理者が同法第71条に基づいて樹木の移転・伐採等を命ずることがあります。道路沿いの作業は通行や電線への影響もあるため、道路管理者や専門業者へ事前に相談してください。
■ 管理を怠った場合の主なリスク
他人の敷地や道路への越境(樹木・建物・ゴミ等)
損害賠償請求や訴訟のリスク
道路管理者からの伐採等の命令や、その対応費用
管理が不適当で他人の権利・利益が侵害され、又はそのおそれがあるとき、利害関係人の請求により裁判所が必要と認めて管理不全土地管理人を選任する場合があること(民法第264条の9)。放置しただけで所有者不明土地になったり、所有権を失ったりする制度ではありません。管理に必要な費用と管理人の報酬は所有者が負担します(同法第264条の13)。
■ 定期的な管理がトラブルを防ぐ
土地を利用していなくても、周囲への影響を把握し、必要な管理を検討することが大切です。点検の頻度は樹木や周囲の状況に応じて決め、強風・大雨・積雪の後などにも安全な場所から異常の有無を確認しましょう。危険な木に近づいたり、自分で無理に伐採したりせず、道路管理者や専門業者に相談してください。
■ まとめ
「使っていない土地だから」と放置しておくことは、思わぬトラブルの火種となります。
土地は“資産”であると同時に、“責任”ある所有物です。管理が難しい場合には、専門業者や団体への相談・引き取りを含めた検討も重要です。
確認した一次資料
e-Gov法令検索「民法」第709条・第717条・第264条の9・第264条の13:https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089
e-Gov法令検索「道路法」第43条・第71条:https://laws.e-gov.go.jp/law/327AC1000000180
国土交通省・仙台西国道維持出張所「樹木管理のお願い」:https://www.thr.mlit.go.jp/sendai/nishikoku/jyumoku.html
確認日:2026年10月7日
