土砂災害警戒区域の山林|区域の調べ方・所有者責任・処分方法

更新日:10月2日
まず山林の所在地と区域指定を確認し、斜面・樹木・擁壁などの状態と周囲への影響を整理しましょう。区域内であることだけで、所有者の賠償責任や処分の可否が決まるわけではありません。
【目次】
10. よくある質問(FAQ)
1. はじめに|あなたの山林は「土砂災害警戒区域」に入っていませんか?
「ニュースで土砂崩れの映像を見て、ふと思った。うちの実家の裏山は大丈夫だろうか」
「親から相続した山林があるけれど、土砂災害警戒区域に指定されていると聞いて不安になった」
「管理もできないまま放置しているが、もし災害が起きたら責任を取らされるのでは……」
令和7年(2025年)の土砂災害は全国で578件と、昭和57年(1982年)から令和6年(2024年)までの年平均1,116件を下回りました。全国の年間件数が少ない年でも、個々の土地の危険性がなくなるわけではありません。
山林の所在地が区域に含まれるか、近くに住宅・道路・渓流などがあるかを確認することが大切です。区域に指定されていない場所でも、土砂災害が起こらないとは限りません。
本記事では、土砂災害警戒区域の基礎知識、所有者責任の考え方、管理や処分の選択肢を解説します。
2. 土砂災害警戒区域とは?イエローゾーンとレッドゾーンの違い
2-1. 土砂災害防止法の概要
土砂災害警戒区域は、「土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律」(通称:土砂災害防止法)に基づいて、都道府県知事が指定する区域です。この法律は平成13年(2001年)4月に施行され、土砂災害から国民の生命・身体を守ることを目的としています。
土砂災害防止法では、土砂災害の発生原因となる自然現象を以下の3つに分類しています。
種類 | 概要 |
急傾斜地の崩壊(がけ崩れ) | 傾斜度が30度以上である土地が崩壊する自然現象。突発的に発生し、速度が速いため、人的被害が大きくなる傾向がある。 |
土石流 | 山腹の土砂などが水と一体となって渓流を流れ下る自然現象。周辺の人家や道路などに被害を及ぼすことがある。 |
地すべり | 土地の一部が地下水等に起因して滑る自然現象。広範囲にわたって影響し、建物や道路を巻き込む場合がある。 |
2-2. 土砂災害警戒区域(イエローゾーン)とは
土砂災害警戒区域(通称:イエローゾーン)は、土砂災害が発生した場合に「住民の生命または身体に危害が生ずるおそれがある区域」として指定されます。
イエローゾーンでは、市町村などによる警戒避難体制の整備や、取引時の説明などが求められます。
● 市町村地域防災計画への記載:市町村は、土砂災害に関する警戒避難体制を防災計画に組み込む必要があります。
● ハザードマップの作成・配布:土砂災害の危険区域を住民に周知するため、ハザードマップを作成し配布します。
● 不動産取引での重要事項説明:宅地建物取引業者は、対象物件がイエローゾーン内であることを重要事項説明書に記載し、買主に説明する義務があります。
イエローゾーンの指定だけで、土砂災害防止法による建築物の構造規制がかかるわけではありません。ただし、ほかの法令や条例による建築・開発の制限は別に確認が必要です。価格への影響は、立地や用途、災害リスク、需要などによって異なります。
2-3. 土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)とは
土砂災害特別警戒区域(通称:レッドゾーン)は、イエローゾーンの中でもさらに危険度が高く、「建築物に損壊が生じ、住民の生命または身体に著しい危害が生ずるおそれがある区域」として指定されます。
レッドゾーンでは、イエローゾーンの規制に加えて以下のような厳しい制限が課せられます。
規制内容 | 詳細 |
特定開発行為の許可制 | 自己居住用を除く住宅や、一定の社会福祉施設・学校・医療施設などを予定する特定開発行為には、都道府県知事の許可が必要。対象と技術基準は所管窓口で確認する。 |
建築物の構造規制 | 居室を有する建築物は、想定される土砂等の力に対して安全な構造とする必要がある(構造の方法は建築計画に応じて確認)。居室を有する建築物の建築には、都市計画区域外でも建築確認が必要。 |
移転勧告 | 著しい危害が生じるおそれが大きいと認められる建築物について、都道府県知事が移転等を勧告することがある。支援制度の対象・補助額は自治体へ確認する。 |
宅建業者の広告・契約時期 | 宅地建物取引業者は、許可を要する特定開発行為に係る宅地・建物について、工事完了前は許可を受けた後でなければ広告や売買等の契約ができない(宅建業法33条・36条)。区域内の不動産売買すべてに知事の許可が必要という意味ではない。 |
2-4. イエローゾーンとレッドゾーンの比較一覧
項目 | イエローゾーン | レッドゾーン |
危険度 | 土砂災害のおそれがある | 建物損壊・著しい危害のおそれ |
建築制限 | 指定だけでは同法の構造規制なし。ほかの法令・条例は別途確認 | 居室を有する建築物に構造規制 |
開発行為 | ほかの法令・条例の制限は別途確認 | 一定の特定開発行為に知事の許可が必要 |
重要事項説明 | 宅地建物取引業者による取引では区域等の説明が必要 | 宅地建物取引業者による取引では区域等の説明が必要 |
不動産価値への影響 | 立地・用途・需要・災害リスク等による | 立地・用途・需要・災害リスク等による |
住宅ローン | 金融機関・物件・借入条件による | 金融機関・物件・借入条件による |
3. 日本の土砂災害の現状|統計を読む際の注意点
3-1. 過去の土砂災害発生件数の推移
土砂災害の発生件数は年によって異なります。以下は国土交通省が公表した各年の年間件数です。特定の豪雨や地震だけによる件数とは区別して読む必要があります。
年 | 発生件数 | 土石流等 | がけ崩れ | 地すべり |
平成30年 | 3,459件 | 985件 | 2,343件 | 131件 |
令和元年 | 1,996件 | - | - | - |
令和5年 | 1,471件 | - | - | - |
令和6年 | 1,433件 | 155件 | 1,074件 | 204件 |
平成30年(2018年)の年間発生件数は3,459件で、土砂災害による死者・行方不明者は161名でした。これは西日本豪雨だけの集計ではありません。令和6年(2024年)の石川県の年間件数は702件で、同年の能登半島地震に伴う同県424件とは集計範囲が異なります。
3-2. 大雨の発生回数の変化
気象庁「日本の気候変動2025」では、1時間降水量50mm以上の雨の年間発生回数は、1976〜1985年の平均と2015〜2024年の平均を比べると約1.5倍になっています。比較する期間と雨の強さの基準を確認することが大切です。
過去に被害がなかったことだけで安全とは判断できません。雨量、地形・地質、土地の改変状況などを踏まえ、自治体の防災情報と現地の異変を確認しましょう。危険があるときは現地へ近づかないでください。
3-3. 土砂災害の危険性を確認する着眼点
土砂災害の危険性は、森林の割合だけで判断できません。次のような地形・地質や土地の状況は、区域指定や安全対策を確認する際の着眼点になります。
● 傾斜度30度以上の急斜面が含まれる山林
● 渓流や沢に隣接する山林
● 過去に伐採後、手入れされずに放置された山林
● 地質がもろく、風化が進行している山林
● 人工的な盛土や造成が行われた山林
これらに当てはまることだけで区域指定の有無や将来の指定を断定せず、都道府県の指定図や基礎調査の情報を確認してください。
4. 自分の山林が土砂災害警戒区域かどうか調べる方法
4-1. ハザードマップポータルサイトで確認する
最も簡単な方法は、国土交通省が運営する「ハザードマップポータルサイト」(https://disaportal.gsi.go.jp/)を利用することです。このサイトでは、全国の土砂災害警戒区域の情報を地図上で確認できます。
手順:①ハザードマップポータルサイトにアクセス→②「重ねるハザードマップ」を開く→③住所や地図操作で所有地付近を表示→④土砂災害の情報を重ねる→⑤凡例と区域の情報を確認。地番だけでは検索・位置特定できない場合があるため、公図等と照合し、不明点は自治体に確認します。
4-2. 不動産情報ライブラリで確認する
国土交通省の「不動産情報ライブラリ」でも、土砂災害警戒区域等の情報を確認できます。こちらは不動産取引に特化した情報が得られるため、売却を検討している方に特におすすめです。
4-3. 各都道府県の砂防課に問い合わせる
ハザードマップで判断がつかない場合は、山林が所在する都道府県の砂防課(または土木事務所)に直接問い合わせるのが確実です。基礎調査の結果や、今後の指定予定についても教えてもらえる場合があります。
4-4. 固定資産税の課税明細書を確認する
課税明細書の所在地・地番などを手がかりに、登記記録や公図、自治体の地図情報を照合します。課税明細書だけで正確な境界や危険区域との位置関係が分かるとは限りません。非課税の土地など、明細書に載らない土地にも注意が必要です。
5. 山林所有者の法的責任と確認すべき条件
自然災害による被害でも、工作物や樹木の瑕疵、行為の故意・過失などによって責任が問題になることがあります。所有していることや区域指定だけで、すべての被害の責任が自動的に生じるわけではありません。
5-1. 民法717条に基づく工作物責任
民法717条1項は、土地の工作物の設置・保存に瑕疵があり、それによって他人に損害を生じた場合、まず占有者が賠償責任を負うと定めています。占有者が損害の発生を防ぐために必要な注意をした場合は、所有者が責任を負います。
同条2項は、竹木の栽植・支持に瑕疵がある場合にも同じ規定を適用します。倒木や土砂の流出については、対象となる樹木・擁壁などの状態、瑕疵と損害の因果関係などを個別に確認する必要があります。
717条による所有者の責任は、所有者自身の過失を要しない無過失責任です。所有者が自ら山林を占有している場合は、占有者として必要な注意を尽くしたと主張しても、所有者としての責任が問題になります。ただし、瑕疵や損害との因果関係などの要件がなくても責任を負うという意味ではありません。故意・過失による行為については、民法709条の責任が問題になる場合もあります。
5-2. 責任を判断する際の確認事項
確認対象 | 確認する内容 | 注意点 | 相談先の例 |
樹木や工作物 | 倒木・擁壁等の状態と事故までの経過 | 所有しているだけで責任が決まるわけではない | 弁護士・樹木や土木の専門家 |
被害との関係 | どの状態や行為が被害につながったか | 瑕疵・故意過失・因果関係などを区別する | 弁護士 |
請求・訴訟の段階 | 請求された額と判決で認められた額 | 請求額を賠償確定額として扱わない | 弁護士・保険会社 |
費用の範囲 | 修復・撤去等の必要性と見積り | 負担者や保険適用を個別に確認する | 弁護士・保険会社・所管窓口 |
損害賠償が請求された場合でも、請求額がそのまま支払義務として確定するわけではありません。土地・樹木・工作物の状態、事故の経緯、契約や保険の内容を整理して相談してください。
5-3. 土砂の撤去費用と負担者の確認
流出した土砂やがれきの撤去については、被害の場所、原因、法令上の責任、行政による対応などにより、実施者や費用負担が異なります。山林の所有者が常に全額を負担するとは限りません。まず所管する自治体・道路管理者等へ連絡し、必要に応じて弁護士や保険会社に確認してください。
5-4. 刑事責任を問われる可能性
刑事責任は、具体的な行為や不作為、予見可能性、注意義務、被害との因果関係など、犯罪の成立要件に照らして判断されます。区域内の山林を所有していることや、災害が起きたことだけで犯罪が成立するわけではありません。
6. 土砂災害警戒区域の山林を放置したときの主なリスクと確認事項
リスク①:損害賠償リスクの増大
樹木や擁壁などの異変を放置すると、周囲への被害につながるおそれがあります。賠償責任の有無や範囲は、前章の要件と具体的な事情によって判断されます。
リスク②:固定資産税などの保有費用
利用していない山林でも、固定資産税がかかる場合があります。ただし、同じ市町村内で同じ所有者が持つ土地の課税標準額の合計が30万円未満なら、原則として土地の固定資産税は課税されません。非課税などの扱いもあるため、実際の課税明細等で負担を確認します。
リスク③:不法投棄のリスク
不法投棄を見つけたら、投棄物に不用意に触れず、自治体や警察に相談してください。投棄した人が不明でも、土地所有者に撤去費用の全額負担が自動的に生じるわけではありません。措置命令等の対象になるかは、関与の有無や法令上の要件などによります。
リスク④:価格や需要を把握しないまま保有すること
土地の価格や売れやすさは、区域指定だけでなく、立地・用途・接道・周辺需要・管理状態などで変わります。将来の値上がりや値下がりを決めつけず、現状の需要と保有費用を確認しましょう。
リスク⑤:相続時のトラブル
相続する人が所在地や管理状況を把握できるよう、地番、名義、資料、費用、近隣との連絡事項を整理しておくことが役立ちます。取得や処分の方法は、相続人の意向やほかの財産も含めて検討します。
リスク⑥:令和6年4月施行の相続登記義務化
2024年4月1日から相続登記が義務化されています。自己のために相続の開始があったことを知り、かつ所有権を取得したことを知った日から3年以内に申請する必要があります(2024年4月1日より前の相続は、2027年3月31日と知った日から3年のいずれか遅い日まで)。正当な理由なく怠ると、10万円以下の過料の対象となることがあります。
リスク⑦:精神的な負担
管理できないことへの不安がある場合は、管理を依頼する方法と、売却・寄付・国庫帰属・引取りなどの処分方法を、条件と費用を確認しながら比較しましょう。
7. 土砂災害警戒区域の山林を売るときに確認する3つの点
7-1. 区域指定の説明と買主の判断
宅地建物取引業者による取引では、区域指定等について重要事項説明が必要です。買主は災害リスクや利用上の制限を踏まえて検討するため、売主も所在地と指定の内容を整理しておきましょう。
7-2. 買主の融資の条件
融資の可否は、金融機関の基準、物件の担保評価、用途や借入条件によって異なります。区域指定がある物件を検討するときは、利用する金融機関へ具体的な条件を確認してください。
7-3. 山林の需要と相談先
山林は、林業利用や隣接地との一体利用など、需要を探す必要があります。取り扱う不動産会社や森林組合の事業内容も異なるため、所在地・面積・接道・区域指定などを伝えて相談します。
8. 土砂災害警戒区域の山林を手放す4つの方法
「売れない」からといって、手放す方法が一切ないわけではありません。ここでは、土砂災害警戒区域の山林を手放すために検討すべき4つの方法を解説します。
方法①:森林組合に相談する
地元の森林組合が売買のあっせんや相談を扱っているか確認します。森林組合が必ず自ら買い取るわけではなく、取扱事業や山林の状況によって対応は異なります。
方法②:自治体への寄付を検討する
自治体への寄付は、公共の用途や受入基準などに合う場合に検討されます。区域指定、境界、管理上の問題を伝えて担当窓口へ確認してください。寄付の相談だけで所有権や管理上の責任が移るわけではありません。
方法③:相続土地国庫帰属制度を利用する
令和5年(2023年)4月に開始された「相続土地国庫帰属制度」を利用して、相続した山林を国に引き渡す方法です。ただし、この制度にはさまざまな要件があり、土砂災害警戒区域の山林が対象となるかどうかは慎重な確認が必要です(詳しくは次章で解説します)。
方法④:不動産会社などに売却を相談する
山林を扱う不動産会社などに、買取または仲介の対応可否を確認します。買取は買主との直接取引、仲介は買主探しを依頼する取引です。相手が価格を支払う買取と、所有者が費用を支払う有償引取りは区別して、契約内容を比較してください。
【4つの方法の比較表】
方法 | 費用の確認点 | 利用できる条件 | 期間の確認先 | 移転後の確認点 |
森林組合への相談 | あっせん等の料金と別途費用 | 取扱事業・山林の条件・買主の需要 | 各森林組合 | 所有権移転と契約上の条件 |
自治体への寄付 | 測量・整備・登記等の負担者 | 用途・受入基準・土地の状態 | 寄付先の担当窓口 | 寄付成立と移転登記 |
国庫帰属制度 | 審査手数料・負担金・準備費用 | 申請資格と土地の要件 | 管轄法務局 | 負担金納付による国庫帰属 |
不動産会社等への売却 | 直接買取か仲介かで確認 | 買主の需要と契約条件 | 取引相手・仲介会社 | 移転登記と契約上の責任 |
9. 相続土地国庫帰属制度は山林に使えるか?
9-1. 制度の概要
相続土地国庫帰属制度は、相続または相続人に対する遺贈で土地を取得した人が、要件を満たして承認を受け、負担金を納付すると土地が国に帰属する制度です。共有の場合は、この取得要件を満たす共有者がいれば、売買等で持分を取得した共有者も含め、全員で共同申請できます。
9-2. 山林で利用する場合の要件と注意点
この制度を山林に利用する場合、以下の点に注意が必要です。
● 不承認要件の確認:勾配30度以上かつ高さ5m以上の崖があり、通常の管理に過分な費用・労力を要する土地は不承認の対象です。土砂災害警戒区域等に指定されていることだけで判断されるわけではなく、土地の状況に応じて法務局が審査します。
● 土地の状態の確認:通常の管理・処分を阻害する地上の有体物や、除去しなければ通常の管理・処分ができない地下埋設物などは、不承認の要件になり得ます。森林は樹木があることだけで不承認ではなく、森林整備計画との整合や追加の整備の必要性なども確認されます。
● 費用の確認:審査手数料は1筆14,000円です。承認後の負担金は、現況に応じた土地の区分で算定され、森林では面積に応じて変わります。例えば森林3,000㎡の負担金は299,000円で、1筆分の審査手数料と合わせると313,000円です。資料取得・境界表示・必要な整備等の費用は別途かかります。
● 審査期間の確認:法務省が示す標準処理期間は、申請から承認等の判断まで8か月です。補正や現地調査などで延びる場合があり、承認後の負担金納付まで含めた完了期限を保証するものではありません。
9-3. 制度を利用できない場合の選択肢
国庫帰属の利用が難しい場合は、森林組合への相談、売却、寄付、有償引取りなどを、対応条件と費用を確認して比較します。まず利用できない理由と、解消に必要な作業を整理することが大切です。
10. よくある質問(FAQ)
Q1. 土砂災害警戒区域に指定されていない山林でも、土砂災害は起こりますか?
はい、起こります。土砂災害警戒区域の指定は、すべての危険箇所をカバーしているわけではありません。区域に指定されていない場所でも、地形や地質の条件によっては土砂災害が発生する可能性があります。国土交通省も、土砂災害警戒区域等でない区域でも土砂災害が発生する場合があるとして、注意を呼びかけています。
Q2. 土砂災害警戒区域に入っている山林でも売却は可能ですか?
区域内の土地も売却できます。レッドゾーン内の不動産売買すべてに都道府県知事の許可が必要なわけではありません。ただし、一定の開発行為には許可が必要で、建築物の構造規制もあります。宅地建物取引業者が取引を行う場合は、区域指定等について重要事項説明が必要です。
Q3. 山林の固定資産税はどのくらいですか?
固定資産税は、課税標準額や市町村の税率、免税点・非課税の扱いなどによって異なります。土地は同じ市町村内の同一所有者分を合算して免税点を判断するため、面積や地目だけで年額を決めつけず、課税明細書や市町村で確認してください。
Q4. 相続放棄すれば山林を手放せますか?
相続放棄は、自己のために相続の開始があったことを知った時から原則3か月以内に家庭裁判所へ申述します。山林だけを選んで放棄することはできません。放棄時にその財産を現に占有している人は、相続人または相続財産清算人へ引き渡すまで保存義務を負う場合があります(民法940条)。
Q5. 山林を放置した場合、近隣住民から訴えられることはありますか?
近隣への被害について請求を受ける可能性はありますが、民法717条の瑕疵・因果関係や709条の故意・過失など、適用される要件によって判断されます。山林を所有していることや、不法投棄されたことだけで、すべての損害の責任を負うわけではありません。
Q6. 土砂災害警戒区域の指定は解除されることはありますか?
区域指定の事由がなくなったと認められる場合には、都道府県知事による指定解除があります。対策工事をすれば必ず解除されるわけではありません。工事の必要性、費用負担、支援制度や解除の見通しは、所管する都道府県・市町村へ確認してください。
まとめ|区域・管理状況・処分条件を確認する
ここまで、土砂災害警戒区域の山林に関するリスクと対処法を詳しく解説してきました。最後に、重要なポイントをおさらいします。
● 土砂災害の件数は年によって変わる。過去に被害がない場所も、区域指定と地形・周辺状況を確認する
● 所有者責任は、樹木・工作物の瑕疵や被害との因果関係など、具体的な要件に照らして判断される
● 売却の見込みは、区域指定だけでなく、用途・需要・土地の条件によって異なる
● 管理を続ける方法と処分する方法を、利用条件・費用・移転後に残る契約上の責任などを確認して比較する
所在地・区域指定・現地の状況・保有費用を整理し、必要な管理や処分方法を検討しましょう。大雨や地震の直後など危険があるときは現地へ近づかず、自治体の防災情報や避難の呼びかけを確認してください。
※本記事の内容は、執筆時点の法令・制度に基づくものであり、最新の情報と異なる場合があります。具体的な法的判断については、弁護士等の専門家にご相談ください。
