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原野の処分・売却・相続ガイド|"原野商法"物件も確実に手放せる

  • 執筆者の写真: 一般社団法人日本不動産管財
    一般社団法人日本不動産管財
  • 2025年5月16日
  • 読了時間: 21分

更新日:5 日前

高度経済成長期から1980年代にかけて全国で販売された"原野商法"の土地──。当時は「将来リゾート地になる」「値上がり確実」と勧誘されたものの、実際は開発計画が存在せず、購入者の多くが「使えない土地」を抱え込むことになりました。

現在、これらの土地を相続した子世代・孫世代から「所在地すら分からない」「固定資産税だけ払い続けている」「売却したいが買い手がいない」という深刻な相談が急増しています。

本記事では、原野の処分でお困りの方が確実な出口を見つけられるよう、売却相場から相続手続き、国庫帰属制度、有料引取まで、専門家の視点で網羅的に解説します。


目次



1. 原野とは?定義と現状


1-1. 法律上の定義

原野とは、不動産登記法における地目の一つで、「耕作の方法によらないで雑草、かん木類の生育する土地」と定義されています。

農地でもなく、宅地でもなく、山林(立木のある森林)でもない──利用価値の低い荒れ地が「原野」に分類されます。

主な地目との違い

地目

定義

主な用途

課税対象

原野

耕作・建築利用のない荒れ地

利用なし

土地のみ

山林

立木がある森林(保安林含む)

林業・森林保全

土地+立木評価

雑種地

いずれの地目にも該当しない土地

駐車場・資材置場等

用途により変動

畑・田

農地(農業利用)

農業

農地法の制限あり


1-2. 日本国内の原野の状況

国土交通省の統計によれば、日本全国に約70万haの原野が存在し、そのうち半数以上が北海道に集中しています。

原野が多い都道府県トップ5

  1. 北海道:約40万ha(全国の57%)

  2. 岐阜県:約3万ha

  3. 長野県:約2.5万ha

  4. 栃木県:約1.8万ha

  5. 群馬県:約1.5万ha

これらの地域では、1970年代の原野商法により大量の土地が細分化されて販売され、現在も多くの所有者が処分に困っています。



2. 原野商法の歴史と被害実態


2-1. 原野商法とは

原野商法とは、ほとんど利用価値のない原野や山林を「将来リゾート地になる」「道路が通る予定」などと虚偽の説明をして高額で販売する詐欺的商法です。

典型的な販売手口

  • 「将来、観光地として開発される予定」

  • 「新幹線の駅ができる」

  • 「大企業が買い取りに来る」

  • 「地価が10倍になる確実な投資」

  • 電話勧誘や自宅訪問による強引な営業

実際には開発計画は存在せず、購入者は利用も売却もできない土地を抱えることになりました。


2-2. 歴史的経緯

第一次原野商法ブーム(1970年代〜1980年代)

高度経済成長期、「土地は必ず値上がりする」という土地神話が広まった時代です。北海道や長野県などの原野が、現地を見ずに購入されるケースが続出しました。

  • 販売価格:坪単価5万円〜30万円

  • 実際の価値:坪単価数百円〜数千円

  • 被害総額:推定1兆円以上

第二次原野商法(2000年代〜現在)

「以前購入した土地を高く買い取る」と偽り、その手数料名目で金銭を騙し取る二次被害が発生しています。

  • 「あなたの土地を買いたい業者がいる」

  • 「買取には測量費が必要」

  • 「名義変更費用を先払いしてほしい」

→実際には買取業者は存在せず、手数料だけを騙し取られるケースです。


2-3. 現在の被害者数

消費者庁の調査では、原野商法の被害者は推定50万人以上とされ、そのうち3割が二次被害に遭っています。被害者の多くは高齢者で、相続により子世代にも問題が引き継がれています。



3. 原野が"負動産"化する6つの理由


理由1:インフラ未整備

多くの原野は、道路・上下水道・電気などのインフラが整備されておらず、建物を建てることも困難です。

具体例:北海道某所の原野

  • 最寄り道路まで:徒歩1時間(約4km)

  • 電気:引込不可

  • 上下水道:なし

  • 携帯電波:圏外


理由2:境界不明

長年放置された原野は、草木が生い茂り境界杭が消失しているケースがほとんどです。

測量・境界確定費用

  • 平地の場合:30万円〜80万円

  • 山地・起伏がある場合:80万円〜150万円

  • 隣接地多数の場合:150万円〜300万円

土地の価値よりも測量費の方が高額になることが多く、経済的に見合いません。


理由3:買い手が限定的

原野は住宅用途にも農業にも適さないため、一般的な不動産市場では需要がほぼゼロです。

購入する可能性がある層

  • 隣接地主(境界整理目的)

  • 山林投資家(極めて限定的)

  • 太陽光発電事業者(立地次第)

  • 産業廃棄物業者(違法ダンプ目的・注意)


理由4:維持管理費用

所有しているだけで継続的に費用が発生します。

年間コスト例(1,000㎡の原野)

  • 固定資産税:5,000円〜3万円

  • 草刈り費用(年1回):3万円〜8万円

  • 交通費(現地確認):往復5,000円〜5万円

  • 年間合計:4万円〜14万円

10年で40万円〜140万円の負担になります。


理由5:法的リスク

放置された原野は様々な法的リスクを抱えます。

  • 不法投棄:産廃が捨てられ、撤去命令が所有者に

  • 山火事の延焼:隣接地へ被害を及ぼし損害賠償請求

  • 倒木被害:道路や隣地に倒れ込み責任追及

  • 動物被害:野生動物の生息地化により近隣から苦情


理由6:相続登記義務化の影響

2024年4月から相続登記が義務化され、相続発生から3年以内に登記しないと最大10万円の過料が科される可能性があります。

これにより「放置できない」状況となり、処分ニーズが急増しています。



4. 原野の売却相場と評価方法


4-1. 評価方法の基礎知識

原野の価値を判断する主な指標は以下の3つです。

① 固定資産税評価額

市町村が決定する評価額。固定資産税の課税標準となります。

原野の評価額目安

  • 1㎡あたり:10円〜100円

  • 1,000㎡の場合:1万円〜10万円

ただし、この金額では実際に売買されることはほぼありません。

② 近隣取引事例

国土交通省の「不動産取引価格情報検索」で確認できますが、原野の取引事例は極めて少数です。

取引事例の傾向

  • 北海道:1㎡あたり1円〜10円

  • 長野県・岐阜県:1㎡あたり5円〜50円

  • 取引件数:直近10年で0〜数件程度

③ 収益還元法(投資物件の場合)

太陽光発電や木質バイオマス事業などで収益が見込める場合のみ適用されます。


4-2. 地域別の売却相場

地域

1㎡あたり単価

1,000㎡の想定価格

売却可能性

北海道(道央)

1円〜20円

1,000円〜2万円

北海道(道東・道北)

1円〜5円

1,000円〜5,000円

岐阜県

5円〜50円

5,000円〜5万円

★★

長野県

10円〜80円

1万円〜8万円

★★

栃木県・群馬県

5円〜60円

5,000円〜6万円

その他地方

10円〜100円

1万円〜10万円

★★


4-3. 評価額を左右する要素

プラス要素

  • 道路に接している(車でアクセス可能)

  • 平坦地である

  • 上下水道が近い

  • 携帯電波が入る

  • 景観が良い(観光地近く)

  • 太陽光発電に適している

マイナス要素

  • 崖地・急傾斜地

  • 道路から遠い(徒歩のみアクセス)

  • 境界不明

  • 不法投棄されている

  • 産廃や土壌汚染の可能性

  • 土砂災害警戒区域に指定



5. 原野を処分する7つの方法【比較表付】


方法1:隣接地主への無償譲渡・低額売却

概要

隣接する土地の所有者に譲渡・売却する方法。境界整理や土地の有効活用のため、引き取ってもらえる可能性があります。

メリット

  • 早期処分の可能性が高い

  • 登記費用のみで処分できる

  • トラブルが少ない

デメリット

  • 隣接地主に購入意思がない場合は不可

  • 隣接地主が不明な場合がある

  • 無償でも引き取りを断られることもある

成功率:★☆☆☆☆

費用:登記費用5万円〜15万円程度

向いているケース

  • 隣接地主が農家や林業事業者

  • 境界がある程度明確

  • 小規模な原野(数百㎡程度)

具体的手順

  1. 法務局で公図を取得し、隣接地主を特定

  2. 登記情報で隣接地主の住所・氏名を確認

  3. 手紙または訪問で譲渡の意思を伝える

  4. 承諾が得られれば、贈与契約書を作成

  5. 司法書士に依頼し所有権移転登記

成功事例

長野県A市の事例 相続した1,200㎡の原野を、隣接する農家に無償譲渡。農家側は将来の農地拡大を見据えており、快諾。登記費用8万円のみで処分完了。

方法2:一般の不動産仲介業者に依頼

概要

通常の不動産売買と同様、仲介業者に売却依頼する方法。

メリット

  • 適正価格での売却の可能性

  • 宅建業法に基づく安全な取引

デメリット

  • 原野は取扱いを断られることが多い

  • 売却まで数年かかることも

  • 仲介手数料が発生(売却価格の3%+6万円+消費税・または33万円)

成功率:★☆☆☆☆

費用:仲介手数料、測量費等

向いているケース

  • 比較的アクセスの良い原野

  • 周辺に宅地化の可能性がある

  • 最低でも100万円以上の価値がある土地


方法3:ネットオークション・土地マッチングサイト

概要

ヤフオク、楽天不動産、ラクマ、ジモティーなどのプラットフォームで原野を出品する方法。

主なサイト

  • ヤフオク(Yahoo!オークション)

  • 楽天不動産

  • ラクマ

  • ジモティー

  • メルカリ(不動産カテゴリ)

メリット

  • 低価格(1万円〜)でも出品可能

  • 全国の投資家にリーチできる

  • 手数料が比較的安い

デメリット

  • 測量図や境界確定が必要な場合が多い

  • トラブルのリスク(詐欺、契約不履行)

  • 売却後のクレーム対応

成功率:★★☆☆☆

費用:出品手数料、測量費30万円〜

実際の出品事例

北海道の原野 3,000㎡ 出品価格:10万円 落札価格:3万円 購入者:関東在住の山林投資家

方法4:山林・原野専門の買取業者

概要

原野や山林を専門に扱う買取業者に売却する方法。一般の不動産業者では断られる物件でも対応してくれます。

メリット

  • 買取実績が豊富で安心

  • 境界未確定でも買取可能な場合あり

  • 名義変更まで一括対応

  • 最短1〜2ヶ月で処分完了

デメリット

  • 買取価格は低額(1筆数千円〜数万円)

  • 業者によっては手数料を請求される

  • 悪質業者に注意が必要

成功率:★★☆☆☆

費用:買取の場合は無料〜数十万円

選定ポイント

  1. 買取実績の公開有無

  2. 明確な料金体系

  3. 行政処分歴の確認

  4. 口コミ・評判のチェック


方法5:相続土地国庫帰属制度

概要

2023年4月27日に開始された制度で、一定の要件を満たす相続土地を国に引き取ってもらえます。

対象となる土地の要件

以下の要件をすべて満たす必要があります。

要件項目

詳細

取得原因

相続または遺贈により取得

共有

共有者全員の同意が必要

境界

筆界(境界)が明確であること

担保権

抵当権等の担保権が設定されていないこと

通路等

他人の通行・使用が制限されていないこと

建物なし

建物が存在しないこと

土壌汚染なし

土壌汚染や地下埋設物がないこと

境界争いなし

境界についての争いがないこと

管理容易

通常の管理・処分に過分な費用・労力を要しないこと

崖なし

崖地でないこと(勾配30度以上、高さ5m以上)

権利なし

通路、墓地、境内地、現況が道路でないこと

原野が不承認になる主なケース

  • 境界が不明確(測量・境界確定が必要)

  • 道路の通行・掘削等が必要

  • 急傾斜地・崖地

  • 不法投棄されている

  • 管理に過分な費用がかかる

費用

項目

金額

審査手数料

1筆あたり14,000円

負担金(承認時)

原野:1筆あたり約20万円

測量費用(事前準備)

30万円〜150万円

境界確定費用

隣接者数による(10万円〜)

手続きの流れ

  1. 法務局で事前相談(必須)

  2. 必要書類の準備(登記事項証明書、公図、地積測量図等)

  3. 申請書の提出(審査手数料の納付)

  4. 法務局による審査(現地調査含む)

  5. 承認の場合、負担金の納付

  6. 国への所有権移転登記

審査期間:約6ヶ月〜1年

成功率:★☆☆☆☆(原野は要件を満たしにくい)

制度の問題点

原野の場合、以下の理由で承認されないケースが多数あります。

  • 測量・境界確定だけで数十万円〜100万円超

  • 道路負担金等が必要な場合は不承認

  • 急傾斜地は不承認

  • 結果的に経済的メリットが少ない

成功事例

栃木県B町の事例 相続した800㎡の平坦な原野。隣接地主の協力を得て境界確定済み。審査期間8ヶ月で承認。測量費45万円+負担金20万円で国庫帰属完了。

方法6:自治体への寄付

概要

市町村に土地を寄付する方法。公共事業や公園用地として活用してもらうことを期待します。

メリット

  • 費用負担が少ない

  • 公共の利益に貢献できる

デメリット

  • ほとんどの自治体は原野の寄付を受け付けない

  • 公共性がない土地は断られる

  • 手続きに時間がかかる

成功率:★☆☆☆☆

向いているケース

  • 学校や公園の隣接地

  • 道路拡幅に必要な土地

  • 災害対策に活用できる土地

自治体の判断基準

  • 公共事業での利用予定があるか

  • 維持管理コストが過大でないか

  • 地域住民の要望があるか


方法7:有料引取サービス(最終手段)

概要

専門業者に費用を支払い、土地を完全に引き取ってもらう方法。他のすべての方法で処分できない場合の最終手段です。

メリット

  • 確実に処分できる

  • 測量・境界確定不要の場合もある

  • 登記手続きを一括代行

  • 固定資産税・管理費用から解放される

デメリット

  • 高額な費用がかかる

  • 悪質業者のリスク

成功率:★★★★★

費用相場

土地の条件

引取費用の目安

平坦地・アクセス良好

50万円〜80万円

傾斜地・アクセス普通

80万円〜120万円

急傾斜地・アクセス困難

120万円〜200万円

大規模・特殊条件

200万円〜

※登記費用、書類作成費用含む

信頼できる業者の見極め方

  1. 実績の公開:引取件数、事例の掲載

  2. 明確な料金体系:見積もりあり

  3. 法人登記の確認:会社の実態があるか

  4. 行政処分歴なし:国土交通省で確認

  5. 契約書の内容:不明瞭な条項がないか

  6. 前払い全額は避ける:分割払いや成功報酬型

注意すべき悪質業者の特徴

  • 「必ず売却できる」と断言する

  • 高額な手数料を前払いで要求

  • 契約を急がせる

  • 実績が不明確

  • 連絡先が携帯電話のみ



6. 地域別の原野処分事情


6-1. 北海道

特徴

  • 全国の原野の57%が集中

  • 原野商法の被害が最も多い

  • 広大な面積(数千〜数万㎡)の物件が多い

処分の難易度:★★★★★(非常に困難)

主な原野商法エリア

  • 後志地方(ニセコ周辺)

  • 十勝地方

  • 釧路・根室地方

処分方法の傾向

  • 隣接地主への譲渡:可能性低い(隣接地主自体が不明なケースも)

  • 買取業者:1筆数千円〜2万円程度

  • 有料引取:50万円〜150万円

成功事例

後志地方の原野 5,000㎡ 固定資産税評価額:3万円 買取業者への売却:1万5,000円 所有者負担:登記費用8万円 結果:実質6万5,000円の持ち出しで処分完了

6-2. 岐阜県

特徴

  • 中部地方で原野商法被害が多い

  • 比較的アクセスが良い物件もある

  • 山林との混在が多い

処分の難易度:★★★☆☆(やや困難)

主なエリア

  • 恵那市

  • 中津川市

  • 郡上市

処分方法の傾向

  • ネットオークション:数万円での売却事例あり

  • 山林業者:買取可能性あり

  • 有料引取:50万円〜100万円


6-3. 長野県

特徴

  • 別荘地開発の失敗物件が多い

  • 観光地近くは需要がある場合も

  • 標高が高く冬季は積雪

処分の難易度:★★★☆☆(やや困難)

主なエリア

  • 八ヶ岳周辺

  • 軽井沢周辺(ただし軽井沢町内は高値)

  • 木曽地方

処分方法の傾向

  • 別荘地近くは不動産業者が扱うことも

  • 観光地近くはキャンプ場経営者などの需要あり

  • 有料引取:50万円〜120万円


6-4. 栃木県・群馬県

特徴

  • 首都圏から比較的近い

  • リゾート開発の失敗物件

  • 那須・草津などの温泉地周辺

処分の難易度:★★☆☆☆(普通)

処分方法の傾向

  • 隣接地主への譲渡が比較的成功しやすい

  • ネット販売での売却事例あり

  • 有料引取:50万円〜90万円



7. 相続した原野の手続き完全フロー

相続が発生した場合、以下のステップで原野の調査と処分を進めます。


STEP1:所在地・地番の特定(1〜2週間)

① 権利証・固定資産税納税通知書の確認

被相続人の書類を探し、土地の所在と地番を特定します。

  • 権利証(登記済証または登記識別情報)

  • 固定資産税納税通知書

  • 売買契約書

② 固定資産税の課税明細で確認

毎年4〜6月に送付される固定資産税納税通知書に添付されている「課税明細書」に、所有する全ての土地が記載されています。※固定資産税が発生していない場合、送付されません。

③ 名寄帳の取得

市町村役場で「名寄帳」を取得すると、被相続人名義の全不動産が一覧で分かります。

  • 手数料:300円〜500円程度

  • 必要書類:相続人であることを証明する戸籍謄本等

④ 登記事項証明書(登記簿謄本)の取得

法務局またはオンライン(登記情報提供サービス)で取得します。

  • 手数料:600円(窓口)、480円(オンライン)


STEP2:現地調査(1日〜数日)

① Googleマップ・Google Earthで事前確認

地番が分かれば、法務局の公図と照合してGoogleマップでおおよその位置を特定できます。

② 現地訪問

可能であれば現地を訪問し、以下を確認します。

  • 道路からのアクセス

  • 土地の形状・傾斜

  • 境界杭の有無

  • 不法投棄の有無

  • 周辺環境

③ 写真撮影

処分の際に必要になるため、土地の状況を複数枚撮影しておきます。


STEP3:法定相続人の確定(2週間〜1ヶ月)

① 被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本を取得

本籍地の市町村役場で取得します。転籍している場合は、すべての市町村で取得が必要です。

② 相続関係説明図の作成

法定相続人を図式化します。法務局のWebサイトにひな形があります。

③ 遺産分割協議

相続人全員で話し合い、誰が原野を相続するか決定します。

  • 遺産分割協議書の作成

  • 相続人全員の署名・実印押印

  • 印鑑証明書の添付


STEP4:相続登記(1〜2ヶ月)

① 必要書類の準備

  • 登記申請書

  • 被相続人の戸籍謄本一式

  • 相続人全員の戸籍謄本

  • 相続人全員の印鑑証明書

  • 遺産分割協議書

  • 固定資産評価証明書

  • 相続関係説明図

② 登記申請

法務局の窓口またはオンラインで申請します。

③ 登録免許税の納付

固定資産評価額の0.4%を納付します。

  • 評価額10万円の場合:400円

  • 評価額50万円の場合:2,000円

④ 登記完了(約1〜2週間後)

登記識別情報通知(権利証)が発行されます。

STEP5:処分方法の選定と実行(1ヶ月〜)

STEP1〜4で得た情報をもとに、本記事の「5. 原野を処分する7つの方法」から最適な方法を選択し、実行します。



8. 費用シミュレーション【実例3パターン】


パターン1:隣接地主への無償譲渡(最も安価)

前提条件

  • 土地:栃木県内の原野 800㎡

  • 固定資産税評価額:5万円

  • 境界:おおむね明確

  • 隣接地主:農家(受け入れ意思あり)

項目

費用

登記事項証明書取得

600円

公図・地積測量図取得

900円

贈与契約書作成(自作)

0円

司法書士報酬(所有権移転登記)

5万円

登録免許税(固定資産税評価額の2%)

1,000円

合計

約5万2,500円

結果:最小の費用負担で処分完了


パターン2:専門業者への買取(中程度)

前提条件

  • 土地:北海道の原野 3,000㎡

  • 固定資産税評価額:2万円

  • 境界:不明確(測量不要の条件で買取)

  • 買取価格:1万円

項目

費用

登記事項証明書取得

600円

公図取得

450円

売買契約書作成(業者対応)

0円

司法書士報酬(所有権移転登記)

6万円

登録免許税

2,000円

小計

約6万3,000円

買取価格(収入)

-1万円

実質負担

約5万3,000円

結果:小さな持ち出しで処分完了


パターン3:相続土地国庫帰属制度(高額)

前提条件

  • 土地:長野県の原野 1,200㎡

  • 固定資産税評価額:12万円

  • 境界:不明確のため測量実施

項目

費用

境界確定測量

60万円

隣接地主との立会い交通費

3万円

審査手数料

1万4,000円

負担金(承認時)

20万円

司法書士報酬

10万円

合計

約94万4,000円

結果:高額だが国に確実に処分できる



9. よくあるトラブルと解決策


トラブル1:境界が全く分からない

状況

  • 草木が生い茂り境界杭が見つからない

  • 隣接地主も境界を知らない

  • 公図と現況が異なる

解決策

筆界特定制度の利用

法務局が公的に筆界(境界)を特定する制度です。

  • 申請先:法務局

  • 手数料:土地の価格により変動(数万円〜)

  • 期間:約6ヶ月〜1年

  • メリット:裁判より費用が安い

  • デメリット:相手方の同意は不要だが、結果に不服でも変更できない

境界なしでも買い取る業者を探す

一部の専門業者は、境界未確定でも買取や引取に応じます。


トラブル2:相続人が多数で連絡が取れない

状況

  • 相続人が10人以上いる

  • 海外在住者がいる

  • 音信不通の相続人がいる

解決策

不在者財産管理人の選任

音信不通の相続人について、家庭裁判所に不在者財産管理人を選任してもらいます。

  • 申立先:家庭裁判所

  • 費用:数万円+予納金(数十万円)

  • 期間:約3〜6ヶ月

相続放棄を検討

原野以外にも負債が多い場合、相続放棄も選択肢です。

  • 期限:相続開始を知ってから3ヶ月以内

  • 申立先:家庭裁判所

  • 費用:約1万円(司法書士報酬別途)


トラブル3:固定資産税を長年滞納している

状況

  • 被相続人が税金を数年分滞納

  • 延滞金が発生している

  • 差押えの通知が来た

解決策

分納の相談

市町村役場の税務課に相談し、分割納付を認めてもらいます。

滞納分込みで引取業者に依頼

一部の業者は、滞納税金を清算した上で引取に応じます(費用は増加)。

相続放棄

滞納額が高額な場合、相続放棄を検討します。


トラブル4:二次被害(原野商法の再勧誘)

状況

  • 「あなたの土地を高く買いたい業者がいる」と電話

  • 「買取には測量費が必要」と要求される

  • 実際には買取業者は存在しない

解決策

すぐに断る

  • 「買取に手数料が必要」は詐欺の典型

  • 正当な業者は買取費用を売主に請求しない

消費者センターに相談

  • 電話番号:188(いやや)

  • 無料で相談可能

警察に被害届

金銭を支払ってしまった場合は、すぐに警察に相談します。


トラブル5:不法投棄されている

状況

  • 産業廃棄物が大量に捨てられている

  • 行政から撤去命令が来た

  • 撤去費用が数百万円

解決策

不法投棄者の特定

警察に被害届を出し、投棄者を特定してもらいます。投棄者に撤去費用を請求できる可能性があります。

行政の支援制度を確認

一部の自治体では、不法投棄の撤去費用を補助する制度があります。

現状のまま引取業者に相談

撤去せずに現状で引き取ってくれる業者もあります(費用は高額化)。



10. FAQ(よくある質問15選)


Q1:原野商法で買った土地に価値はありますか?

A: 立地次第です。観光地近くやアクセスが良い場合は数十万円で売却できる事例もありますが、大半は1万円以下の価値しかありません。まずは固定資産税評価額と近隣取引事例を確認しましょう。


Q2:相続放棄すれば原野の責任から逃れられますか?

A: 相続放棄をすれば所有権は引き継ぎませんが、次の相続人または相続財産清算人が管理義務を負います。完全に責任から逃れることはできません。また、相続放棄は相続開始を知ってから3ヶ月以内にしなければならず、原野だけを放棄することはできません(全ての相続財産を放棄)。


Q3:固定資産税が未納でも売却できますか?

A: 可能ですが、通常は滞納分を清算してから名義変更します。買主が滞納分を負担することはまずありません。


Q4:境界が不明でも国庫帰属制度に申請できますか?

A: できません。筆界(境界)が明確であることが要件です。測量と隣接者の同意が必要で、これには30万円〜150万円の費用がかかります。


Q5:原野を放置するとどうなりますか?

A:

  • 固定資産税が毎年課税される

  • 草木が生い茂り、境界がさらに不明確に

  • 不法投棄のリスク

  • 山火事や倒木の損害賠償リスク

  • 相続登記義務化により、3年以内に登記しないと過料(10万円以下)


Q6:原野を寄付して税金対策できますか?

A: 原野を寄付しても、寄付金控除の対象にはなりません。また、自治体や法人への寄付はほとんど受け入れられません。


Q7:原野で太陽光発電はできますか?

A: 立地次第です。以下の条件を満たせば可能性があります。

  • 日照条件が良い

  • 送電線が近い

  • 道路からアクセス可能

  • 平坦地または南斜面

ただし、固定価格買取制度(FIT)の買取価格が年々下がっており、投資としての魅力は減少しています。


Q8:原野を共有で相続した場合、勝手に売却できますか?

A: 共有名義の場合、全員の同意がなければ売却できません。ただし、自分の持分だけを売却することは可能です(買い手がいればの話)。


Q9:原野の固定資産税は払わなくてもいいですか?

A: 所有者である限り納税義務があります。滞納すると延滞金が発生し、最終的に差押えの可能性もあります。ただし、実務上は原野の換価(競売)は困難なため、滞納が長期化するケースも多いですが、推奨できません。


Q10:登記簿上の地目が「原野」でなければ大丈夫ですか?

A: いいえ。地目が「山林」「雑種地」でも、現況が荒れ地で利用価値がなければ原野と同様の問題を抱えます。地目よりも現況が重要です。


Q11:測量しないと売却できませんか?

A: 買主次第です。一般の個人購入者は測量図を求めますが、専門の買取業者や引取業者は測量なしでも対応するケースがあります。


Q12:原野の名義を変更せず放置するとどうなりますか?

A: 2024年から相続登記が義務化されました。相続発生から3年以内に登記しないと、最大10万円の過料が科される可能性があります。また、次の相続が発生すると相続人が増え、手続きが複雑化します。


Q13:原野でも農地転用は必要ですか?

A: 登記地目が「田」「畑」の場合は農地法の規制があり、農業委員会の許可が必要です。地目が「原野」であれば農地法の適用はありません。


Q14:原野を買い取る業者は信頼できますか?

A: 業者の選定が重要です。以下を確認してください。

  • 会社の実在性(法人登記)

  • 行政処分歴の有無

  • 買取実績の公開

  • 契約書の内容(不明瞭な条項がないか)

  • 口コミ・評判

前払い全額を要求する業者は避けましょう。


Q15:原野を相続したくない場合、どうすればいいですか?

A: 相続放棄(相続開始から3ヶ月以内)が唯一の方法です。ただし、原野だけでなく全ての遺産を放棄することになります。他に価値ある遺産がある場合は、遺産分割協議で原野を引き取る人を決めるか、相続人全員の共有とした上で売却・処分する方法もあります。



11. 専門家への相談タイミング

以下の状況に該当する場合は、専門家(司法書士、弁護士、土地家屋調査士、不動産鑑定士等)への相談を検討しましょう。


司法書士に相談すべきケース

  • 相続登記の手続きが複雑(相続人多数、古い相続等)

  • 遺産分割協議がまとまらない

  • 権利関係が複雑(抵当権、差押え等)


弁護士に相談すべきケース

  • 相続人間で紛争がある

  • 原野商法の二次被害に遭った

  • 不法投棄の損害賠償請求

  • 隣地とのトラブル


土地家屋調査士に相談すべきケース

  • 境界確定測量が必要

  • 筆界特定制度の申請

  • 地積更正登記が必要


不動産鑑定士に相談すべきケース

  • 正確な評価額を知りたい

  • 相続税申告のため

  • 遺産分割で適正価格が争点


税理士に相談すべきケース

  • 相続税の申告が必要

  • 譲渡所得税の計算

  • 固定資産税の滞納整理



まとめ:原野処分の3つのポイント


ポイント1:現状把握が第一歩

まずは所在地・地番・面積・固定資産税評価額を正確に把握しましょう。権利証や固定資産税納税通知書を確認し、可能であれば現地を訪問します。


ポイント2:複数の処分ルートを検討

売却、譲渡、国庫帰属、有料引取──それぞれにメリット・デメリットがあります。費用対効果を比較し、自分の状況に合った方法を選びましょう。

処分方法

成功率

費用負担

処分期間

隣接地主へ譲渡

★☆☆☆☆

5〜15万円

1〜3ヶ月

買取業者

★★☆☆☆

5〜10万円(買取価格で相殺)

1〜2ヶ月

国庫帰属制度

★☆☆☆☆

50〜200万円

6ヶ月〜1年

有料引取

★★★★★

50〜200万円

1〜3ヶ月


ポイント3:早めの行動がコスト削減

相続登記義務化により、放置のリスクが増大しています。固定資産税の負担も毎年続きます。早めに相談・行動することで、選択肢が広がり、結果的にコスト削減につながります。



お困りの際は一般社団法人日本不動産管財へ

原野の処分は複雑で、ケースバイケースの判断が必要です。一般社団法人日本不動産管財 では原野の無料調査を実施しております。お気軽にお問い合わせください。

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