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売れる山林と売れない山林の違いを徹底解説・価格相場から売却方法まで完全ガイド

  • 執筆者の写真: 一般社団法人日本不動産管財
    一般社団法人日本不動産管財
  • 2024年12月13日
  • 読了時間: 7分

更新日:10月20日



この記事で分かること

  • 売れる山林と売れない山林の決定的な違い

  • 山林売却の最新価格相場と市場動向

  • 山林を高く早く売るための具体的な方法

  • 売却時の注意点と税金の計算方法


相続した山林の管理に困っている、固定資産税の負担が重い、売却したいが方法が分からない…そんな悩みを抱えていませんか?

山林は管理費や固定資産税などのランニングコストがかかるだけでなく、地球温暖化が進む日本では土砂崩れなどの被害も。手放したいと思っても売却できないことが多く、手放すために苦労されている方が多いのが現状です。

しかし、売れる山林には明確な特徴があります。この記事では、山林売買の専門家の知見をもとに、売却成功のポイントを分かりやすく解説します。


目次

  1. 売れる山林の5つの特徴

  2. 売れない山林の共通点

  3. 山林売却の価格相場

  4. 山林を高く売るための戦略

  5. 売却の流れと必要書類

  6. 山林売却にかかる費用・税金

  7. 売却できない場合の対処法



売れる山林の5つの特徴

1. アクセス性が良好

最重要ポイント:車でアクセス可能

接道条件の悪さが大きな要因となりがち。車両の乗り入れができない場所となると、キャンプ用途にしても伐採時にしても利用しづらく需要が期待しにくくなってしまう

売れる山林の立地条件:

  • 幹線道路から車で30分以内

  • 最寄り駅から1時間以内

  • 林道が整備されている

  • 公共交通機関からのアクセスが可能


2. 立地・用途の多様性

山林の土地を探している人の多くは、別荘用の家を建てたい人や太陽光発電の開発業者、林業事業者などです。

人気の用途ランキング

  1. 太陽光発電用地(10〜50万円/反)

  2. キャンプ場・グランピング施設

  3. 別荘地・セカンドハウス

  4. 企業研修施設・福利厚生施設


3. 適正な面積

3,000坪以下の山もなかなか難しいとされています。

売却しやすい面積の目安

  • 1ha(約3,025坪)以上が理想的

  • 最低でも3,000坪以上

  • 面積が広いほど伐採時の単価を抑えられる


4. 価値のある立木

ヒノキやスギ、アカマツ、カラマツなどの優良な木材がある場合、売却価格は上がる傾向にある

高価値の立木

  • スギ・ヒノキ:建築用材として需要高

  • アカマツ・カラマツ:構造材として利用価値あり

  • 樹齢30年以上の成木が理想


5. 法的制限の少なさ

開発可能性が高い山林

  • 保安林指定を受けていない

  • 自然保護区域外

  • 建築基準法上の制限が緩い

  • 都市計画区域外で開発しやすい



売れない山林の共通点

接道条件が悪い

車両の乗り入れができない場所となると、キャンプ用途にしても伐採時にしても利用しづらく需要が期待しにくくなってしまう

売れない立地の例

  • 最寄り道路から徒歩でしか入れない

  • 急斜面で重機が入れない

  • 冬季は雪で孤立する

  • 他人の土地に囲まれた袋地


人工林の放置状態

「人工林の放置林」は厳しい。何十年も人が入っていないような人工林ですと、伐採ができない・陽当たりが悪く木がひ弱・土壌が健全でないなどあります


面積が小さすぎる

3,000坪以下の山もなかなか難しい

  • 1ha(約3,025坪)未満

  • 細分化された山林

  • 境界が不明確


法的制約が多い

  • 保安林指定で伐採制限

  • 自然保護区域で開発不可

  • 土砂災害警戒区域に指定

  • 境界が不明確で隣地トラブルあり



山林売却の価格相場

地域別価格相場

都道府県の地価調査では、山林を「都市近隣山地」「農村山地」「林業本場山地」「山村奥地山地」の4つの評価区分に分類しています。

1. 都市近隣山地

  • 相場:1,000〜1,500円/㎡

  • 市街地の近郊にある山林は、交通の便はもとより電気やガス、水道などのインフラ面でも条件がよいので、当然ながら価格相場は高くなります。宅地への転換可能性が高いことから取引の象になりやすく、1平米当たり1000円から1500円程度がおおよその相場

2. 農村山地

  • 相場:300〜800円/㎡

  • 農村部に位置する山林

  • キャンプ場等の開発可能性あり

3. 林業本場山地

  • 相場:100〜500円/㎡

  • 林業が盛んな地域

  • 立木の価値が重要

4. 山村奥地山地

  • 相場:50〜200円/㎡

  • 最も売却困難

  • 特殊な用途での需要のみ


最新価格データ

林地価格2,482円/坪2025年(令和7年3月31日時点)2,394件の平均(全国平均)

坪単価換算

  • 都市近隣山地:3,300〜5,000円/坪

  • 農村山地:1,000〜2,600円/坪

  • 林業本場山地:300〜1,600円/坪

  • 山村奥地山地:150〜650円/坪


価格決定の要因

宅地等と比べて山林は売り手も買い手も絶対数が少なく、価格相場が形成されるほどに市場が成熟していないのが実情

立木価格の影響

  • 山の価格はそのほとんどが立木の値段、つまり木材価格で決まる

  • スギ・ヒノキ:15,000〜25,000円/㎥

  • その他針葉樹:8,000〜15,000円/㎥

  • 広葉樹:3,000〜8,000円/㎥



山林を高く売るための戦略

ステップ1:現状把握と価値向上

必要な調査項目

  • 正確な面積・境界の確認

  • 法的制限の調査

  • アクセス状況の評価

  • 周辺開発計画の情報収集

価値向上の方法

  • 間伐・整備で見た目を改善

  • 測量で正確な境界を明確化

  • 複数の用途提案を準備


ステップ2:専門業者の選定

山林を取り扱っている不動産会社を見つけ、そこに依頼することです。山林がある地元の不動産会社や、山林売買専門の不動産会社であれば、ノウハウがある可能性が高い

おすすめの相談先

  1. 山林専門の不動産会社

  2. 地元の不動産会社

  3. 森林組合

  4. 山林売買専門サイト


ステップ3:効果的な売却活動

売却方法の比較

方法

メリット

デメリット

不動産会社仲介

専門知識・ネットワーク活用

仲介手数料が発生

直接売買

仲介手数料不要

買い手探しが困難

森林組合

地域密着の情報

限定的な買い手

オンライン掲示板

幅広い買い手にアプローチ

詐欺リスク


売却の流れと必要書類

基本的な売却手順

1. 査定依頼 準備した書類をもとに、山林仲介業者または不動産業者などに査定を依頼します

2. 現地調査 査定業者は、現地調査を行い、山林の状況や特性を考慮して査定金額を確定します

3. 売買契約 売主と買主が合意し、売買契約を締結します

4. 引き渡し 契約条件に従って、引き渡し手続きが行われます


必要書類一覧

基本書類

  • 登記簿謄本(土地・建物)

  • 固定資産税納税通知書

  • 測量図・境界確認書

  • 身分証明書・印鑑証明書

山林特有の書類

  • 森林簿は、森林の所在、森林の所有者、森林面積及び樹齢や材積等の森林資源情報を取りまとめた帳簿

  • 森林計画図

  • 伐採届・伐採計画書(該当する場合)



山林売却にかかる費用・税金

売却時の諸費用

1. 仲介手数料 仲介手数料については、売買金額800万円以下の仲介手数料の上限は30万円+消費税となる特例があります※宅建業法に則った場合

2. 登記費用

  • 所有権移転登記:土地評価額×2%

  • 司法書士報酬:5〜10万円

3. 印紙税 売買契約書に貼る印紙の代金です。売却額によって印紙税は違いますが、売買契約書の原本に貼ればいいものです


税金の計算方法

1. 譲渡所得税(土地部分) 譲渡所得=売却価格ー取得費(山林を購入した価格)ー譲渡費用(仲介手数料、諸経費等)

2. 山林所得税(立木部分) 山林所得 = 立木等の売却収入 – 必要経費 – 特別控除額 (最大50万円)

所有期間による税率の違い

  • 短期譲渡所得(5年以下):39.63%

  • 長期譲渡所得(5年超):20.315%



売却できない場合の対処法

代替手段の検討

1. 自治体への寄付 所有している山林の立地条件が良く、キャンプ場などで利用できる場合には売却できるケースもありますが、大半の山林は活用することが難く買い手を見つけるのが困難

2. 相続土地国庫帰属制度 相続等により取得した不要な土地で、一定の要件を満たす場合には国に引き取ってもらえる制度

3. 山林引き取りサービス 民間の有償引き取りサービス(要注意:原野商法の二次被害のリスクあり)



まとめ:山林売却成功の3つのポイント

1. 立地とアクセスを最優先で評価

車でのアクセス可能性が売却成功の最重要要因

2. 専門業者に相談

山林売買専門の不動産会社であれば、ノウハウがある可能性が高いでしょう。既に山林を購入したいと考えている購入希望者とのつながりもある場合がある

3. 適正価格での早期売却

売れそうであっても売買手数料の方が高くなってしまうようなケースすら珍しくないため、上を見すぎず現実的な価格設定を


山林の売却は複雑ですが、適切な準備と専門家のサポートがあれば成功の可能性は十分にあります。まずは現在所有している山林の特徴を正しく把握し、それに応じた売却戦略を立てることから始めましょう。

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