【2026年最新】所有不動産をすべて調べる方法-所有不動産記録証明制度とは?制度の概要・手続き方法・費用・メリット・注意点まで徹底解説
- 一般社団法人日本不動産管財

- 6 日前
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「亡くなった親がどこに不動産を持っていたのか、全くわからない」「名寄帳を取り寄せても、すべての不動産を把握できない」——こうした相続時の悩みを解消するために、2026年(令和8年)2月2日から「所有不動産記録証明制度」がスタートしました。
この制度は、法務局に請求するだけで、特定の人が全国で所有する不動産を一括でリスト化した証明書を受け取れる画期的な仕組みです。相続登記の義務化(2024年4月施行)とあわせて、所有者不明土地問題の解消に向けた重要な施策として位置づけられています。
本記事では、所有不動産記録証明制度の概要から、手続き方法、費用、メリット、注意点まで、2026年最新の情報を網羅的に解説します。相続で不動産調査にお困りの方、終活として資産を整理したい方は、ぜひ最後までお読みください。
目 次
所有不動産記録証明制度とは?わかりやすく解説
■ 所有不動産記録証明制度の定義
所有不動産記録証明制度とは、不動産の登記簿に記録された名義人の氏名と住所をもとに、その人が所有する全国の不動産を一括で検索し、証明書として交付する制度です。改正不動産登記法第119条の2に基づいて新設されました。
具体的には、法務局の登記官が登記記録のデータベースを検索し、指定した人物が所有権の登記名義人として記録されている不動産をリスト化して「所有不動産記録証明書」として交付します。
💡 ポイント:これまで土地や建物ごとに個別に調べる必要があった不動産情報を、1回の請求で全国横断的に把握できるようになりました。
■ 施行日は2026年(令和8年)2月2日
所有不動産記録証明制度は、2026年(令和8年)2月2日に施行されました。2021年(令和3年)4月に成立した不動産登記法改正法において新設された制度で、公布から5年以内の施行が定められていました。
なお、本制度の施行と近い時期に、以下の関連制度も順次施行されています。
制度名 | 施行日 | 概要 |
相続登記の義務化 | 2024年4月1日 | 相続による不動産取得を知った日から3年以内の登記申請が義務化 |
所有不動産記録証明制度 | 2026年2月2日 | 全国の所有不動産を一括リスト化して証明書として交付 |
住所等変更登記の義務化 | 2026年4月1日 | 住所・氏名変更があった日から2年以内の変更登記が義務化 |
スマート変更登記 | 2026年4月1日 | 法務局が職権で住所変更登記を行う仕組み |
■ 法的根拠(改正不動産登記法 第119条の2)
所有不動産記録証明制度の法的根拠は、改正不動産登記法第119条の2です。この条文では、所有権の登記名義人本人またはその相続人等が、法務局に対して所有不動産の一覧を証明する証明書の交付を請求できることが規定されています。
この制度は、2024年4月に施行された相続登記の義務化を支える環境整備策の一つとして位置づけられており、相続人が被相続人名義の不動産を漏れなく把握し、円滑に相続登記を行えるようにすることを目的としています。
所有不動産記録証明制度が導入された背景
■ 深刻化する「所有者不明土地」問題
所有不動産記録証明制度が導入された最大の背景は、日本全国で深刻化する「所有者不明土地」問題です。
国土交通省の調査によると、登記簿等で所有者が直ちに判明しない、または連絡がつかない「所有者不明土地」は、全国の土地の約24%にのぼります。面積にして約410万ヘクタール——これは九州本島の面積(約367万ヘクタール)を上回る規模です。
⚠ 対策を講じなければ、2040年には所有者不明土地は約720万ヘクタール(北海道本島に匹敵)にまで拡大し、累計経済損失は約6兆円に達するとの試算もあります。
所有者不明土地が増加する原因は、大きく2つあります。
原因 | 割合 | 内容 |
相続登記の未了 | 約63% | 不動産の所有者が死亡しても、相続人が登記の名義変更を行わないまま放置されるケース |
住所変更登記の未了 | 約33% | 所有者が引っ越しても、登記上の住所を変更しないまま放置されるケース |
所有者不明土地は、公共事業や復旧・復興事業の妨げになるだけでなく、管理不全による周辺環境の悪化、不法投棄、防災対策の阻害など、さまざまな社会問題を引き起こしています。
■ 相続登記の義務化(2024年4月施行)との関係
所有者不明土地問題を解消するため、2024年4月1日から相続登記の申請が義務化されました。相続により不動産を取得した相続人は、相続の開始を知った日から3年以内に相続登記を行わなければなりません。正当な理由なく怠った場合は、10万円以下の過料の対象となります。
しかし、相続登記を行うためには、まず被相続人がどの不動産を所有していたのかを正確に把握する必要があります。従来の調査方法では、この「不動産の把握」に大きなハードルがありました。
■ 従来の不動産調査方法の限界
所有不動産記録証明制度が導入される以前、不動産の所有状況を調べるには主に以下の3つの方法がありましたが、いずれにも問題がありました。
調査方法 | 特徴 | 問題点 |
名寄帳(なよせちょう) | 市区町村ごとの固定資産課税台帳に基づく不動産の一覧 | 市区町村ごとにしか作成されないため、他の自治体の不動産を調べるには各自治体に個別請求が必要。非課税の不動産は記載されない場合がある |
固定資産税納税通知書 | 毎年届く納税通知書に記載された不動産情報 | 通知書が届く不動産しか把握できない。共有持分のみの場合や免税点以下の不動産は通知書が届かないこともある |
登記事項証明書(登記簿謄本) | 不動産ごとの詳細な権利関係を確認できる公的証明書 | 不動産の所在地と地番がわからないと請求できない。全国の不動産を網羅的に把握する手段にはならない |
このように、従来の方法では「被相続人がどこに不動産を持っているか見当がつかない」というケースに対応できませんでした。この課題を解消するために創設されたのが、所有不動産記録証明制度です。
所有不動産記録証明制度の詳細
■ 証明書に記載される情報
所有不動産記録証明書には、検索の結果抽出された不動産について、以下の情報が一覧的に記載されます。
記載項目 | 内容 |
不動産の種別 | 土地または建物の区分 |
不動産番号 | 各不動産に付与される固有の番号 |
所在・地番等 | 土地の場合は所在・地番、建物の場合は所在・家屋番号 |
地目/種類 | 土地の場合は地目(宅地、田、畑など)、建物の場合は種類(居宅、店舗など) |
地積/床面積 | 土地の面積または建物の床面積 |
💡 注意:所有不動産記録証明書には、不動産の「評価額」や「抵当権の有無」は記載されません。これらを確認するには、リストで判明した不動産番号を使って、別途「登記事項証明書」を取得する必要があります。
■ 証明書を請求できる人
プライバシー保護の観点から、所有不動産記録証明書を請求できる人は厳格に限定されています。第三者が他人の不動産情報を勝手に調べることはできません。
請求できる人 | 具体例・利用場面 |
所有権の登記名義人本人(法人を含む) | 自身の資産管理や終活の一環として、所有不動産を確認する場合 |
相続人その他の一般承継人(法人を含む) | 被相続人の遺産調査として利用する場合。戸籍謄本等で相続関係の証明が必要 |
代理人 | 本人または相続人から委任を受けた司法書士・弁護士など。委任状と印鑑証明書が必要 |
なお、相続人が請求する場合は、他の相続人の同意は不要です。相続人であれば単独で請求できます。ただし、取得した情報は遺産分割協議のために他の相続人と共有することが望ましいでしょう。
■ 検索の仕組み(システムの仕様)
所有不動産記録証明制度では、請求書に記載された氏名(または名称)と住所を検索条件として、登記官がシステムに入力し検索を行います。システムは以下のルールで不動産を抽出します。
検索条件 | 抽出ルール |
氏名+住所(基本) | 氏名の前方一致 かつ 住所の市区町村までが一致、または住所の末尾5文字が一致 |
ローマ字氏名を追加した場合 | ローマ字氏名の完全一致 かつ 住所の市区町村一致または末尾5文字一致 |
会社法人等番号を追加した場合 | 会社法人等番号の完全一致 |
また、システムには異体字の自動変換(文字の縮退)機能が搭載されています。たとえば「澤」と「沢」のように読みが同じで字形が異なる文字が含まれていても、MJ縮退マップに基づいて自動変換され、検索の網羅性が高められています。
所有不動産記録証明書の請求方法【手続きガイド】
■ 請求方法は3つ
所有不動産記録証明書の請求は、以下の3つの方法で行うことができます。いずれの方法でも、全国どこの法務局・地方法務局(支局・出張所含む)でも請求可能です。不動産の所在地に関わらず、最寄りの法務局で手続きできます。
請求方法 | メリット | デメリット |
窓口請求 | その場で書類の不備を確認できる。相談しながら記入可能 | 平日の開庁時間(8:30〜17:15)に出向く必要がある |
郵送請求 | 来庁不要。全国どこからでも請求可能 | 往復の日数がかかる。書類不備の場合は補正に時間を要する |
オンライン請求 | 手数料が最も安い(1件あたり最大130円安い)。平日21時まで請求可能 | 申請用総合ソフトのダウンロードと電子署名が必要。必要書類もすべてオンラインで提出する必要がある |
■ 手続きの流れ(3ステップ)
▶ ステップ1:請求書の作成・提出
法務省所定の「所有不動産記録証明書交付請求書」に、請求者の情報と検索条件(名義人の氏名・住所)を記載して提出します。請求書様式は法務省のウェブサイトからダウンロードできます(Excel形式・PDF形式)。
請求書記載のポイント:
請求書の裏面にある「検索条件」欄に、調べたい名義人の氏名と住所を記入します。1つの検索条件欄に複数の氏名・住所をまとめて記載することはできませんので、それぞれ別の欄に記載してください。
被相続人が過去に引っ越しをしている場合や、旧姓で登記している不動産がある可能性がある場合は、過去の住所や旧姓を追加の検索条件として指定することが非常に重要です。
▶ ステップ2:法務局での検索・審査
法務局の登記官が、請求書に記載された検索条件をもとにシステムで全国の登記データを検索し、条件に合致する不動産を選定します。
検索から交付までにかかる日数は登記所ごとに異なります。制度開始当初は、交付まで2週間程度要する場合があるとされていますので、余裕を持って請求しましょう。
▶ ステップ3:証明書の受領
証明書は、窓口での受領または郵送による受領のいずれかを選択できます。郵送による受領の場合は、請求時に返送用封筒と切手の提出が必要です(オンライン請求の場合は不要)。
■ 必要書類一覧
必要書類は、請求者の立場によって異なります。
▶ 本人(登記名義人)が請求する場合
必要書類 | 備考 |
所有不動産記録証明書交付請求書 | 実印での押印が必要 |
印鑑証明書 | 有効期限なし。原本還付不可(コンビニ等で取得可能) |
本人確認書類 | 運転免許証、マイナンバーカード等(窓口提示のみ・書面請求の場合) |
▶ 相続人が請求する場合
必要書類 | 備考 |
所有不動産記録証明書交付請求書 | 実印での押印が必要 |
印鑑証明書 | 原本還付不可 |
被相続人の死亡がわかる書類 | 除籍謄本・死亡届の記載事項証明書など |
相続関係がわかる書類 | 戸籍謄本または法定相続情報一覧図の写し |
本人確認書類 | 窓口提示のみ(書面請求の場合) |
💡 法定相続情報一覧図を使えば便利!:法定相続情報一覧図の写しを利用すれば、大量の戸籍謄本を提出する代わりに1枚の書面で相続関係を証明できます。法務局で無料発行されるため、事前に取得しておくことをおすすめします。
■ 手数料(費用)
所有不動産記録証明書の請求には手数料がかかります。手数料は検索条件1件につき、証明書1通あたりで以下の金額です。
請求方法 | 手数料(1件1通あたり) | 支払方法 |
書面請求(窓口・郵送) | 1,600円 | 収入印紙 |
オンライン請求(郵送交付) | 1,500円 | 電子納付(ネットバンキング・クレジットカード等) |
オンライン請求(窓口交付) | 1,470円 | 電子納付 |
【計算例】窓口請求で検索条件を4件指定し、証明書1通を請求する場合:
検索条件4件 × 1通 × 1,600円 = 6,400円
⚠ 該当する不動産がなかった場合でも手数料はかかります。「該当不動産がない旨の証明」が交付されますが、手数料は返却されませんのでご注意ください。
所有不動産記録証明制度の5つのメリット
■ メリット1:全国の不動産を一括で把握できる
最大のメリットは、1回の請求で全国に散在する不動産を一括で把握できる点です。従来の名寄帳では市区町村ごとに個別請求が必要でしたが、この制度では法務局1か所への請求で、北海道から沖縄まで全国の不動産が網羅的にリスト化されます。
特に、被相続人が転居を繰り返していた場合や、地方に別荘地・山林などを所有していた場合に、この制度の価値は非常に大きくなります。
■ メリット2:相続登記の漏れを防げる
相続登記の義務化により、正当な理由なく3年以内に相続登記を行わないと10万円以下の過料が科される可能性があります。所有不動産記録証明制度を利用すれば、被相続人の不動産を漏れなく把握できるため、「後から知らない土地が出てきた」という事態を防ぎ、登記漏れによる過料リスクを軽減できます。
■ メリット3:遺産分割協議がスムーズになる
遺産の全容を早期に把握できることで、遺産分割協議をスムーズに進められます。「後から相続対象の不動産が見つかったため、再度協議をやり直す」という手間やトラブルを防ぐことができるでしょう。
また、相続放棄を検討する場合は、相続開始から3か月以内に判断する必要があります。早い段階で不動産の全容を把握することは、相続放棄の判断にも役立ちます。
■ メリット4:終活・生前整理に活用できる
所有不動産記録証明制度は、相続人だけでなく名義人本人も利用できるため、終活の一環として自身の不動産を正確に棚卸しする場面でも活用できます。遺言書を作成する際に、所有不動産を明確にリスト化しておくことで、相続人同士のトラブルを予防できます。
■ メリット5:法人の不動産調査にも対応
個人だけでなく法人名義の不動産も調査可能です。会社の清算・解散手続きや、M&Aに伴うデューデリジェンスの場面でも活用が期待されています。法人の場合は、会社法人等番号を検索条件に追加することで、より正確な検索が可能です。
所有不動産記録証明制度の注意点・限界
⚠ 所有不動産記録証明制度は画期的な制度ですが、万能ではありません。以下の注意点を理解した上で活用しましょう。
■ 注意点1:住所・氏名が一致しないと抽出されない
システムは登記簿上の氏名・住所と、請求書に記載された検索条件を照合して検索します。そのため、以下のようなケースでは不動産が検索結果に表示されない可能性があります。
ケース | 具体例と対策 |
住所変更未登記 | 引っ越し後に住所変更登記をしていない場合、旧住所で登記されたまま。→ 対策:戸籍の附票を取得し、過去のすべての住所を検索条件に追加する |
氏名変更未登記 | 結婚・離婚等で氏名が変わったが変更登記をしていない場合。→ 対策:旧姓も検索条件に追加する |
異体字の不一致 | MJ縮退マップで変換されない異体字が使われている場合。→ 対策:複数の字体で検索を試みる |
💡 重要:検索漏れを防ぐために、被相続人の過去の住所と旧姓を事前に調査し、可能な限りすべてを検索条件に含めることが非常に大切です。戸籍の附票を取得すれば、過去の住所履歴を確認できます。
■ 注意点2:未登記の不動産は検索されない
所有不動産記録証明制度の検索対象は、所有権の登記がされている不動産のみです。以下の不動産は検索結果に表示されません。
未登記建物(登記されていない家屋)は対象外です。地方の農家では、母屋は登記されていても離れや納屋が未登記であることが珍しくありません。また、表示に関する登記のみで所有権の登記がされていない不動産も対象外です。登記簿がコンピュータ化されていない不動産も抽出されません。
■ 注意点3:名寄帳との併用がベスト
所有不動産記録証明制度は「登記データ」に基づく検索であるのに対し、名寄帳は「課税データ」に基づく情報です。未登記建物は、課税データである名寄帳にしか記載されていない場合があります。
したがって、完全な不動産調査のためには、所有不動産記録証明制度と名寄帳を併用する「二段構え」の調査が最も確実です。所有不動産記録証明書で全国の登記済み不動産を把握し、判明した所在地の市区町村で名寄帳を取得して未登記建物の有無を確認するという流れが理想的です。
■ 注意点4:即日交付ではない
所有不動産記録証明書は、請求後すぐに受け取れるわけではありません。法務局での検索・審査に時間がかかるため、交付までに数日〜2週間程度要する場合があります。特に制度開始直後や年度末は混雑が予想されますので、余裕を持ったスケジュールでの請求をおすすめします。
■ 注意点5:評価額や抵当権情報は記載されない
所有不動産記録証明書はあくまで「所有不動産の一覧」です。不動産の評価額(価値)や、抵当権(ローンの担保)の有無は記載されません。これらの情報が必要な場合は、証明書で判明した不動産番号を使って「登記事項証明書」を別途取得する必要があります。
所有不動産記録証明書と名寄帳の違い【徹底比較】
所有不動産記録証明制度と名寄帳は、いずれも不動産の一覧を把握するための制度ですが、データの出所と対象範囲が根本的に異なります。
比較項目 | 所有不動産記録証明書 | 名寄帳 |
データの出所 | 登記記録(法務局管理) | 固定資産課税台帳(市区町村管理) |
対象範囲 | 全国の登記済み不動産 | 当該市区町村内の不動産のみ |
未登記建物 | 対象外(検索されない) | 対象(課税対象であれば記載) |
評価額の記載 | なし | あり |
非課税不動産 | 対象(登記されていれば記載) | 記載されない場合がある |
共有持分 | 対象 | 代表者以外は記載されないことがある |
手数料 | 検索条件1件につき1,470〜1,600円 | 自治体により異なる(200〜400円程度が多い) |
請求先 | 全国どの法務局でもOK | 各市区町村の窓口 |
💡 最も確実な調査方法は「併用」です。所有不動産記録証明書で全国の登記済み不動産を網羅的に把握し、判明した所在地の名寄帳で未登記建物や評価額を補完するのが理想的なアプローチです。
所有不動産記録証明制度の活用シーン
■ 活用シーン1:相続発生時の遺産調査
最も典型的な活用場面です。被相続人が亡くなった後、相続人が被相続人名義の不動産を漏れなく把握し、遺産分割協議や相続登記に備えるために利用します。特に、被相続人が複数の都道府県に不動産を所有していた場合や、不動産の全容が把握できていない場合に大きな効果を発揮します。
■ 活用シーン2:遺言書の作成(終活)
終活の一環として、自身が所有する不動産を正確に把握し、遺言書に反映させる際に活用できます。「どの不動産を誰に相続させるか」を明確にしておくことで、相続人同士のトラブルを予防し、スムーズな資産承継を実現できます。
■ 活用シーン3:成年後見業務
成年後見人が被後見人の財産を管理する際に、被後見人名義の不動産を網羅的に把握する必要があります。所有不動産記録証明制度は、この場面でも有効です。
■ 活用シーン4:法人の清算・M&A
法人名義の不動産調査にも対応しているため、会社の清算手続きやM&A(合併・買収)に伴うデューデリジェンス(資産調査)の場面でも活用が期待されます。特に、長年にわたって不動産を取得してきた法人で、社内の管理台帳が不完全な場合に有用です。
■ 活用シーン5:相続土地国庫帰属制度の前段階
2023年4月に開始された相続土地国庫帰属制度(不要な土地を国に返す制度)を利用する場合、まず相続した土地の全容を把握する必要があります。所有不動産記録証明制度で被相続人の所有不動産を確認し、その中から国庫帰属の申請対象となる土地を選定するという流れが考えられます。
よくある質問(FAQ)
▶ Q1. 制度開始前の相続でも利用できますか?
はい、利用できます。施行日(2026年2月2日)以降であれば、被相続人の死亡時期に関わらず請求可能です。数十年前に発生した相続未登記案件の解決にも活用できます。
▶ Q2. 相続人であれば、他の相続人の同意なく請求できますか?
はい、単独で請求できます。ただし、取得した情報は遺産分割協議のために他の相続人と共有することが望ましいでしょう。
▶ Q3. 該当する不動産がなかった場合はどうなりますか?
「該当不動産がない旨の証明」が交付されます。ただし、手数料は返却されませんのでご注意ください。
▶ Q4. 抵当権や借金の情報もわかりますか?
いいえ、わかりません。証明書には所有権の情報のみ記載されます。抵当権等の情報は、リストで判明した不動産番号を使い、別途「登記事項証明書」を取得して乙区を確認する必要があります。
▶ Q5. オンライン請求の具体的な方法は?
法務局の「登記・供託オンライン申請システム」を利用します。申請用総合ソフトをダウンロードし、「所有不動産記録証明書交付請求書」の請求様式を選択して、必要事項を入力・電子署名のうえ請求します。オンライン請求の場合、手数料が窓口請求より安くなるメリットがあります。
▶ Q6. 名寄帳は不要になりますか?
完全には不要になりません。所有不動産記録証明制度は「登記データ」、名寄帳は「課税データ」に基づいています。未登記建物は名寄帳にしか記載されていない場合があるため、万全を期す場合は併用がおすすめです。
▶ Q7. 司法書士に依頼した場合の費用は?
法務局への手数料のほかに、司法書士への報酬が別途発生します。報酬額は事務所によって異なりますが、一般的には数千円〜数万円程度が目安です。手続きに不安がある場合は、専門家への相談を検討しましょう。
相続不動産の処分・管理でお困りの方へ
所有不動産記録証明制度を利用して被相続人の不動産を把握した結果、「知らない土地が出てきた」「処分に困る不動産がある」というケースは少なくありません。
特に、以下のような不動産は、一般的な不動産市場では買い手がつかず、処分方法に頭を悩ませる方が多くいらっしゃいます。
山林・原野などの遠方の土地、別荘地の土地・建物、過去の原野商法で購入してしまった土地、境界が不明確な土地、共有持分のみの不動産——こうした「負動産」と呼ばれる不動産は、所有し続けるだけで固定資産税や管理費が発生し、相続人にとって大きな負担となります。
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一般社団法人日本不動産管財は、山林・原野・別荘地・相続不動産など、処分が困難な不動産の調査をおこなっております。
まとめ
所有不動産記録証明制度は、2026年2月2日に施行された画期的な制度です。最後に、本記事のポイントを整理します。
項目 | ポイント |
制度の概要 | 全国の所有不動産を一括でリスト化した証明書を法務局から取得できる制度 |
施行日 | 2026年(令和8年)2月2日 |
請求できる人 | 登記名義人本人、相続人、代理人(司法書士等)に限定 |
手数料 | 検索条件1件1通あたり1,470円〜1,600円 |
主なメリット | 全国一括検索、相続登記の漏れ防止、遺産分割の円滑化、終活に活用可能 |
主な注意点 | 住所・氏名の不一致で漏れが生じる可能性、未登記建物は対象外、名寄帳との併用推奨 |
相続登記の義務化が進む中、所有不動産記録証明制度は相続人にとって非常に心強いツールとなります。制度を正しく理解し、上手に活用して、スムーズな相続手続きにお役立てください。
