名寄帳とは?取り方・見方・課税明細書との違い|親の土地を漏れなく調べる方法

更新日:10月7日
名寄帳(なよせちょう)とは、その市町村内で同一人物が所有する固定資産(土地・家屋)を一覧にした帳簿です。「固定資産課税台帳」を所有者ごとにまとめ直したもので、市町村の税務課で取得できます。
名寄帳が特に重要になるのは相続のときです。毎年届く課税明細書には、非課税の土地や免税点未満の土地が記載されない場合があり、課税明細書だけでは山林や原野を把握しきれないことがあります。名寄帳の非課税資産などの記載範囲は自治体で異なるため、確認したい土地が対象に含まれるか窓口へ確認してください。
この記事では、名寄帳の取り方(必要書類・手数料・郵送請求)、見方、課税明細書・固定資産評価証明書との違いを解説します。
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目次
1. 名寄帳とは?基本をわかりやすく解説
1-1. 名寄帳の定義と読み方
名寄帳(なよせちょう)とは、市区町村が作成している固定資産課税台帳を、所有者ごとに一覧表にまとめた書類です。
名寄帳の写しは、自治体が管理する固定資産の情報を所有者等ごとに確認するための資料です。名称・交付方法・記載範囲は自治体によって異なり、所有している不動産のすべてが必ず載るわけではありません。
名寄帳を取得することで、被相続人が所有していた不動産を一目で確認でき、相続財産の調査を効率的に進めることができます。
1-2. 名寄帳の主な役割
名寄帳は主に以下の目的で活用されます。
【相続財産の調査】
被相続人の不動産を調べるために使います。把握していなかった山林や私道、別荘地などを確認する手がかりになりますが、記載範囲を確認し、手元の登記関係書類や課税明細書とも照合しましょう。
【相続登記の準備】
相続登記を行う際に、登記すべき不動産をすべて特定するために活用されます。2024年4月から相続登記が義務化されたため、名寄帳による不動産調査の重要性は高まっています。
【相続税申告の基礎資料】
相続税の課税対象となる不動産を正確に把握し、申告漏れを防ぐために使用されます。
【固定資産税の確認】
自身が所有する不動産の固定資産税額や評価額を確認するためにも利用できます。
1-3. 名寄帳の別称
名寄帳の名称や、閲覧・写しの交付の方法は自治体によって異なります。次のような名称が使われることがありますが、どの資料が所有者ごとの一覧なのか、窓口で確認してください。
土地・家屋名寄帳
固定資産課税台帳
土地・家屋課税台帳
名寄帳兼課税台帳
固定資産物件一覧
窓口で請求する際は「名寄帳」と伝えれば通じますが、不明な場合は「所有者ごとに不動産を一覧にした書類」と説明すると確実です。
2. 名寄帳と他の書類との違い
相続手続きでは、名寄帳以外にもさまざまな不動産関連書類を扱います。ここでは、それぞれの違いを明確にしておきましょう。
2-1. 名寄帳と固定資産課税台帳の違い
項目 | 名寄帳 | 固定資産課税台帳 |
記載単位 | 所有者ごとに一覧表 | 土地・家屋ごとに個別 |
非課税不動産 | 自治体の取扱いによる | 記載範囲は自治体に確認 |
用途 | 所有不動産の把握 | 固定資産税の課税根拠 |
発行方法 | 市区町村役場で取得 | 市区町村役場で取得 |
確認したい違いは、名寄帳と課税明細書で、記載される不動産の範囲が異なる場合があることです。非課税の土地が名寄帳に載るかは自治体によって異なります。名寄帳に見当たらない土地がある場合は、ほかに確認できる台帳や証明書について窓口へ問い合わせてください。
2-2. 名寄帳と固定資産税納税通知書の違い
項目 | 名寄帳 | 固定資産税納税通知書 |
送付方法 | 申請が必要 | 毎年4〜6月に自動送付 |
記載対象 | 自治体の取扱いによる | 課税対象のみ |
共有不動産 | 共有名義の表示方法を確認 | 代表者のみに送付 |
用途 | 財産調査 | 納税用 |
固定資産税納税通知書の課税明細書だけでは、非課税の土地や免税点未満の土地などを把握しきれない場合があります。名寄帳の記載範囲を自治体に確認し、登記関係の資料とも照合しましょう。
2-3. 名寄帳と固定資産評価証明書の違い
項目 | 名寄帳 | 固定資産評価証明書 |
目的 | 所有不動産の確認 | 評価額の公的証明 |
用途 | 相続財産の調査 | 相続登記・相続税申告 |
法務局への提出 | 資料の取扱いを登記所に確認 | 可能 |
記載内容 | 複数不動産を一覧表示 | 指定した不動産のみ |
固定資産評価証明書は、不動産の評価額を証明する資料です。相続登記の登録免許税を算定する資料として用いられます。必要な資料や名寄帳で代用できるかは、申請先の登記所に確認してください。相続税の評価方法は、不動産の種類や所在地に応じて別に確認します。
2-4. 名寄帳と登記事項証明書の違い
項目 | 名寄帳 | 登記事項証明書 |
発行元 | 市区町村役場 | 法務局 |
記載範囲 | 市区町村内の記載対象資産 | 指定した不動産のみ |
権利関係 | 記載なし | 詳細に記載 |
抵当権等 | 確認不可 | 確認可能 |
名寄帳で所有不動産を特定した後、登記事項証明書を取得して詳細な権利関係を確認するという手順が効率的です。
3. 名寄帳を取得すべき4つのケース
以下のケースに該当する場合は、名寄帳の取得を強くおすすめします。
3-1. 固定資産税納税通知書を紛失した場合
固定資産税納税通知書(課税明細書)があれば、被相続人が所有していた課税対象の不動産を確認できます。しかし、通知書を紛失してしまった場合や、被相続人の自宅から見つからない場合は、名寄帳を取得して不動産の詳細を確認する必要があります。
3-2. 被相続人が非課税の不動産を所有していた(可能性がある)場合
課税されない土地の例と、確認しておきたい点は次のとおりです。
山林:山林であることだけでは非課税になりません。保安林に係る土地は原則として非課税です。
農地:田や畑であることだけで非課税にはなりません。免税点や特例の適用は、課税明細書と自治体の案内で確認します。
私道・公衆用道路:公共の用に供されている道路
墓地:墓地として使用されている土地
免税点未満の土地:同じ市町村内の同じ所有者の土地の課税標準額の合計が30万円未満なら課税されません。1筆ごとに判定するものではなく、非課税とは別の扱いです。
免税点未満の土地や非課税の土地は、課税明細書に記載されない場合があります。固定資産税が課されないことと、相続税や相続登記の扱いは別です。相続税の課税対象かは用途や財産の種類で確認し、相続した不動産の登記も確認しましょう。
3-3. 被相続人が複数の不動産を所有していた(可能性がある)場合
複数の土地・建物がある場合は、名寄帳を取得し、手元の登記関係書類や課税明細書と照合します。共有名義や旧名義、非課税資産の記載方法も確認し、一つの資料だけで調査を終えないことが大切です。
3-4. 被相続人が共有名義の不動産を持っていた(可能性がある)場合
共有名義の不動産がある場合、固定資産税納税通知書は共有者の代表者にのみ送付されます。被相続人が代表者でなかった場合、手元に課税明細書がなく、共有不動産の存在に気づかない可能性があります。
4. 名寄帳の見方・記載内容
名寄帳の書式は市区町村によって異なりますが、記載される基本的な項目は共通しています。
4-1. 名寄帳の基本的な記載項目
【所有者情報】
所有者の氏名・住所:固定資産税の納税義務者の情報
所有形態:単有(単独所有)、共有、区分(マンションなど)の別
【土地に関する情報】
所在地・地番:土地の所在場所(住居表示ではなく地番)
地目:土地の種類(宅地、田、畑、山林、雑種地など)
地積(面積):土地の面積(㎡)
固定資産税評価額:不動産の評価額
課税標準額:固定資産税を計算する基準となる金額
固定資産税額・都市計画税額:年間の税額
【家屋に関する情報】
所在地・家屋番号:建物の所在場所と家屋番号
種類・構造:居宅、店舗などの種類と、木造、鉄骨造などの構造
床面積:建物の延床面積(㎡)
建築年:建物が建築された年
固定資産税評価額・課税標準額・税額:土地と同様
4-2. 名寄帳の見方のポイント
【ポイント1:所在地は「地番」で表示される】
名寄帳に記載される所在地は、一般的に使用される「住所(住居表示)」ではなく、登記のための「地番」で表示されます。地番と住居表示は異なる場合があるため、不動産の特定には注意が必要です。
【ポイント2:「評価額」と「課税標準額」の違い】
評価額(固定資産税評価額):相続登記の登録免許税の基礎になります。倍率方式の地域では、土地の相続税評価で倍率を掛ける基礎として使います。
課税標準額:固定資産税を計算するための基準金額。住宅用地の特例などにより、評価額よりも低くなることがある
相続登記の登録免許税では、固定資産税評価額を基礎として計算します。固定資産税の課税標準額と間違えないようにしましょう。相続税の評価は、路線価方式・倍率方式など所在地と財産の種類に応じて確認してください。
【ポイント3:共有名義の表示方法】
共有名義の不動産は、名寄帳上で「山田太郎 外2名」などの表示で別ページに記載されることがあります。申請書には「共有名義を含む全資産」と記載することをおすすめします。

5. 名寄帳を取得できる人
名寄帳には個人の資産情報が記載されているため、取得できる人は限られています。
5-1. 取得できる人の範囲
【本人(納税義務者)】
固定資産税の納税義務者である不動産の所有者本人は、当然に名寄帳を取得できます。
【相続人】
被相続人が亡くなった場合、法定相続人は被相続人名義の名寄帳を取得できます。相続人であることを証明する書類(戸籍謄本など)が必要です。
【同居の親族】
所有者と同居している親族も、一定の条件のもとで名寄帳を取得できる場合があります。同居を証明する住民票などが必要です。
【代理人(委任状が必要)】
上記の取得権限を持つ人から委任を受けた代理人は、委任状を提出することで名寄帳を取得できます。
【その他】
遺言執行者や相続財産清算人など、法令に基づき財産管理権を有する者も取得できます。
5-2. 取得できない人
所有者や相続人と無関係の第三者は、名寄帳を取得することはできません。
6. 名寄帳の取得方法【窓口・郵送】
6-1. 窓口での取得方法
【申請先】
不動産が所在する市区町村役場の資産税課(課税課、税務課など名称は自治体により異なる)で申請します。東京23区の場合は、各区の都税事務所が申請先となります。
重要:名寄帳は不動産の所在地を管轄する役所でしか取得できません。被相続人の住所地の役所ではなく、不動産がある場所の役所に申請する必要があります。
【申請の流れ】
役所の窓口で「名寄帳交付申請書」を記入
本人確認書類、相続関係を証明する書類を提示
手数料を支払い
名寄帳を受け取り(通常は即日交付)
6-2. 郵送での取得方法
遠方の自治体から名寄帳を取得する場合は、郵送請求が便利です。
【郵送請求に必要なもの】
名寄帳交付申請書:役所のウェブサイトからダウンロードするか、便箋に必要事項を記載
本人確認書類のコピー:運転免許証、マイナンバーカードなど
相続関係を証明する書類のコピー:戸籍謄本、法定相続情報一覧図など
委任状(代理人の場合):原本を送付
手数料分の定額小為替:郵便局で購入(金額は自治体による)
返信用封筒:切手を貼付し、返送先住所を記載
【定額小為替について】
郵送請求の手数料支払いには、郵便局で購入できる「定額小為替」を使用します。購入時に1枚あたり200円の発行手数料がかかります。無記名のまま(何も記入せず)同封します。
7. 名寄帳の取得に必要な書類
7-1. 本人(納税義務者)が申請する場合
必要書類 | 説明 |
名寄帳交付申請書 | 窓口で記入、またはウェブサイトからダウンロード |
本人確認書類 | 運転免許証、マイナンバーカード、パスポートなど |
7-2. 相続人が申請する場合
必要書類 | 説明 |
名寄帳交付申請書 | 窓口で記入、またはウェブサイトからダウンロード |
本人確認書類 | 申請者(相続人)の運転免許証、マイナンバーカードなど |
被相続人の死亡を証明する書類 | 被相続人の除籍謄本、死亡診断書の写しなど |
相続人であることを証明する書類 | 被相続人との関係がわかる戸籍謄本、または法定相続情報一覧図 |
7-3. 代理人が申請する場合
上記の必要書類に加え、以下が必要です。
追加で必要な書類 | 説明 |
委任状 | 委任者(本人または相続人)が作成したもの |
代理人の本人確認書類 | 代理人の運転免許証、マイナンバーカードなど |
7-4. 委任状の書き方
委任状には、以下の事項を記載します。
委任事項:「固定資産(土地・家屋)名寄帳の交付申請および受領に関する一切の件」
対象年度:「令和○年度」
代理人(受任者)の住所・氏名・生年月日
委任者の住所・氏名・生年月日・押印
作成日
日中連絡がとれる電話番号
8. 名寄帳の取得費用
8-1. 手数料の目安
項目 | 費用の目安 |
名寄帳(1通あたり) | 無料〜400円程度 |
固定資産評価証明書 | 200円〜400円程度 |
【自治体による違いの例】
無料の自治体もある
所有者1名につき一律300円
1枚(1ページ)につき200円
縦覧期間中(4月1日〜第1期納期限まで)は無料
8-2. 郵送請求の場合の追加費用
項目 | 費用 |
定額小為替発行手数料 | 1枚あたり200円 |
返信用郵便切手 | 定形郵便は50g以内110円。重量・サイズで異なる |
往信用郵便切手 | 定形郵便は50g以内110円。重量・サイズで異なる |
8-3. 費用対効果について
名寄帳の取得費用は数百円程度であり、相続財産の調査としては非常に低コストです。
不動産が後から見つかった場合は、追加の登記申請や専門家への依頼が必要になることがあります。登録免許税や報酬は、対象不動産と依頼内容によって異なります。
名寄帳の取得は、将来のトラブルを防ぐための「保険料」と考えましょう。
9. 名寄帳取得時の7つの注意点
9-1. 名寄帳は市区町村単位でしか取得できない
名寄帳は、不動産が所在する市区町村ごとに作成されています。そのため、他の市区町村にある不動産は記載されません。
被相続人が複数の市区町村に不動産を所有していた場合は、それぞれの市区町村で名寄帳を取得する必要があります。
9-2. 記載されるのは1月1日時点の情報
名寄帳は、毎年1月1日時点の所有者情報をもとに作成されます。
1月2日以降に購入した不動産:翌年まで名寄帳に記載されない
1月2日以降に売却した不動産:売却後も名寄帳に記載されている
9-3. 先祖名義や相続人代表者の名義も確認する
名寄帳は固定資産税の課税情報を基に作られます。登記名義人が亡くなっている場合は、現に所有する人が納税義務者となるため、登記名義と課税上の名義が一致するとは限りません。先祖名義の土地についても、どの名義の資料を確認すべきか、分かっている氏名と相続関係を窓口に伝えて確認してください。
9-4. 未登記の建物に注意
登記されていない建物(未登記建物)は、登記簿上は存在しませんが、固定資産税は課税されます。未登記建物は、名寄帳の「家屋番号」が空欄になっていたり、「未登記」と表示されていたりします。
9-5. 自治体によっては非課税不動産が記載されない場合がある
非課税資産の記載は自治体によって異なります。例えば、西東京市は課税・非課税を問わず一覧にすると案内していますが、名古屋市は非課税の土地・家屋は記載しないと案内しています。「非課税資産を含む」と書けば必ず載るわけではないため、記載範囲と別途必要な確認方法を窓口へ確認してください。
出典:西東京市「名寄帳の写し」、名古屋市「名寄帳の閲覧・写しの交付」(非課税資産の記載範囲の確認日:2026年9月17日)。
9-6. 共有名義の記載方法を確認する
共有名義の不動産は、自治体によって記載方法が異なります。申請書に「共有名義の不動産を含む」と明記しましょう。
9-7. 名寄帳を発行していない自治体もある
ごく一部の自治体では、「名寄帳」という名称の書類を発行していない場合があります。「固定資産課税台帳」「固定資産物件一覧」などの名称で発行されていないか確認してください。
10. 2024年相続登記義務化と名寄帳の重要性
2024年4月1日から、相続登記が義務化されました。これにより、名寄帳による不動産調査の重要性は一層高まっています。
10-1. 相続登記義務化の概要
項目 | 内容 |
施行日 | 2024年4月1日 |
対象 | 相続により不動産の所有権を取得したすべての方 |
期限 | 相続の開始および所有権を取得したことを知った日から3年以内 |
罰則 | 正当な理由なく期限内に申請しない場合、10万円以下の過料 |
過去の相続への適用 | 2024年4月1日より前の相続も対象。2027年3月31日と、相続による取得を知った日から3年のいずれか遅い日まで |
10-2. 相続登記義務化と名寄帳の関係
相続登記を行うためには、まず被相続人が所有していたすべての不動産を把握する必要があります。不動産の把握漏れがあると、相続登記も漏れてしまい、過料の対象となる可能性があります。
名寄帳を取得することで、以下のリスクを軽減できます。
登記漏れの防止:名寄帳に記載された不動産を、登記関係書類や課税明細書と照合できる
非課税不動産の発見:私道や山林など、見落としやすい不動産を発見できる
共有不動産の確認:相続人が把握していなかった共有不動産を確認できる
10-3. 相続人申告登記という選択肢
遺産分割協議がまとまらないなど、期限内に相続登記を行えない場合は、相続人申告登記を確認します。申出により、その申出をした人は相続登記の申請義務を履行したものとみなされます。ただし、誰がどの不動産を取得したかを公示する登記ではなく、遺産分割後の相続登記の義務は別に残ります。
11. 2026年開始の所有不動産記録証明制度との違い
所有不動産記録証明制度は、2026年2月2日に始まりました。特定の人が所有権の登記名義人として記録されている不動産を、全国の登記記録から検索して一覧にする制度です。
11-1. 所有不動産記録証明制度とは
所有不動産記録証明制度は、検索条件に合う、所有権の登記名義人として記録されている不動産を一覧の証明書にする制度です。未登記建物などは対象外で、すべての財産が必ず分かるわけではありません。
全国の登記記録を一括検索できますが、検索条件の住所・氏名や登記の状況によって漏れる場合があります。名寄帳や手元の資料も併用して確認します。
11-2. 名寄帳と所有不動産記録証明書の比較
項目 | 名寄帳 | 所有不動産記録証明書 |
施行日 | 現在利用可能 | 2026年2月2日〜 |
発行元 | 市区町村役場 | 法務局 |
調査範囲 | 市区町村単位 | 全国 |
非課税不動産 | 自治体の取扱いによる | 検索条件に合う所有権の登記があれば記載 |
未登記建物 | 記載される | 記載されない |
評価額 | 記載される | 記載されない |
11-3. 所有不動産記録証明制度の限界
新制度は非常に便利ですが、以下のような限界があります。
【住所・氏名が変わった場合は旧情報も検索条件に】
所有不動産記録証明書は、登記上の氏名・住所を検索条件として使います。登記が旧住所・旧姓のままなら、その氏名・住所も検索条件に加えてください。現在の氏名・住所だけでは漏れる場合があります。
【相続登記未了の不動産は表示されない】
先祖名義のまま相続登記がされていない土地は、被相続人の氏名・住所だけでは検索されません。先祖の名義を調べる場合は、請求資格と相続関係を証明する資料を登記所に確認してください。
【未登記建物は表示されない】
登記されていない建物は、法務局のシステムに登録されていないため、証明書には記載されません。
11-4. 名寄帳は今後も必要か?
所有不動産記録証明制度が始まっても、名寄帳は引き続き必要です。
未登記建物の確認:名寄帳には未登記建物も記載されるが、所有不動産記録証明書には記載されない
住所変更未了の土地などの確認:名寄帳は課税情報を基にするため、登記記録と内容が異なる場合があります。確認したい名義や資産が記載されるか、自治体に確認します。
固定資産税評価額の確認:名寄帳には評価額が記載される
両方の書類を併用することで、より確実な不動産調査が可能になります。
12. 名寄帳を活用した相続手続きの流れ
12-1. 全体の流れ
被相続人の死亡(相続開始)
相続人の確定(戸籍収集)
相続財産の調査 ← 名寄帳の取得
遺産分割協議
相続登記の申請
相続税の申告(必要な場合)
12-2. 名寄帳を活用した財産調査の手順
【ステップ1:不動産の所在地を把握する】
まず、被相続人がどの市区町村に不動産を所有していたかを把握します。
固定資産税納税通知書を探す
権利証(登記識別情報通知書)を探す
預金通帳を確認(固定資産税の引き落とし記録から所在地を特定)
家族・親族に聞き取り
【ステップ2:各市区町村で名寄帳を取得する】
把握した市区町村それぞれで、名寄帳を取得します。
「共有名義を含む」と明記する
非課税資産や共有資産も含めて交付されるか、申請先に確認する
評価額の資料が必要な場合は、評価証明書など何を取得すべきか申請先に確認する
【ステップ3:名寄帳の内容を確認する】
取得した名寄帳をもとに、以下を確認します。
土地・建物の所在地と地番・家屋番号
単独所有か共有所有か
非課税不動産の有無
固定資産税評価額
【ステップ4:登記事項証明書を取得して権利関係を確認する】
名寄帳で特定した不動産について、法務局で登記事項証明書を取得し、詳細な権利関係を確認します。
【ステップ5:不動産の一覧表を作成する】
調査した結果をもとに、相続対象となる不動産の一覧表を作成します。この一覧表は、遺産分割協議や相続税申告の基礎資料となります。
13. 名寄帳に関するよくある質問
Q1:名寄帳は誰でも取得できますか?
A:いいえ、取得できる人は限られています。名寄帳には個人の資産情報が記載されているため、本人(納税義務者)、相続人、委任を受けた代理人など、取得権限を持つ人のみが取得できます。
Q2:被相続人がどこに不動産を持っているかわからない場合はどうすればよいですか?
A:以下の方法で調査してください。
固定資産税納税通知書を探す
権利証を探す
預金通帳を確認(固定資産税の引き落とし記録から所在地を特定)
郵便物を確認
家族・親族に聞き取り
2026年2月2日に始まった所有不動産記録証明制度も利用できます。登記上の氏名・住所を検索条件にするため、旧住所・旧姓や先祖名義、未登記建物などは別に確認してください。
Q3:名寄帳と固定資産評価証明書は両方取得する必要がありますか?
A:取得の目的によります。財産調査では名寄帳の記載範囲を確認し、相続登記で評価額の資料が必要な場合は、評価証明書など何を提出するか登記所に確認してください。相続税の評価方法は、不動産の種類と所在地に応じて確認します。
Q4:名寄帳の取得にかかる時間はどのくらいですか?
A:窓口申請なら即日、郵送申請なら1〜2週間程度です。
Q5:名寄帳に記載されていない不動産がある場合はどうすればよいですか?
A:以下のような不動産は名寄帳に記載されない可能性があります。
他の市区町村にある不動産
1月2日以降に取得した不動産
登記名義と課税上の名義が異なる土地(先祖名義など):確認すべき名義を自治体に確認する
一部の非課税不動産
Q6:相続放棄をする場合も名寄帳を取得する必要がありますか?
A:相続放棄をする場合でも、名寄帳を取得して相続財産を把握しておくことをおすすめします。相続放棄をするかどうかの判断材料として、財産を把握しておくことは重要です。
Q7:名寄帳は何年分取得できますか?
A:自治体によりますが、通常は現年度を含めて過去5年度分程度です。
Q8:法人名義の不動産は名寄帳で確認できますか?
A:法人名義の不動産は、個人名義の名寄帳には記載されません。法人名義の不動産を確認するには、法人として名寄帳を取得する必要があります。
14. 相続した山林・別荘地の処分でお困りの方へ
名寄帳で山林・原野が見つかった方へ
当社団では、処分困難な不動産についてお悩みのご相談者様が、まず現状と選択肢を把握できるよう、各種公的資料や不動産情報を基に初期調査を無料で行っております。判断材料を提示し、ご相談者様の意思決定を支援いたします。
※地目または現況が田畑、牧場、墓地である土地は対象外です※
まとめ
名寄帳は、相続した不動産を調べる手がかりになる資料です。記載範囲や課税上の名義を確認し、登記関係書類・課税明細書などと照合して、見落としを減らしましょう。
【本記事のポイント】
名寄帳とは:市区町村が作成する、所有者ごとの不動産一覧表
取得すべきケース:課税明細書の紛失、非課税不動産の可能性、複数不動産の所有、共有名義の存在
取得方法:市区町村役場の窓口または郵送で申請。相続人の場合は戸籍謄本等が必要
注意点:市区町村単位の資料で、原則として1月1日時点の情報。登記名義と課税上の名義や、非課税資産の記載範囲も確認
相続登記義務化:2024年4月から義務化。名寄帳で不動産を把握し、登記漏れを防ぐことが重要
2026年の新制度:所有不動産記録証明制度で全国の不動産を一括検索可能に。ただし名寄帳も引き続き必要
相続登記の義務化により、被相続人の所有不動産を正確に把握することは、これまで以上に重要になっています。名寄帳を活用して、相続手続きを確実に進めましょう。
名寄帳で使っていない土地が見つかった場合は、地番・地目・面積と、単独所有か共有かを整理しましょう。場所が分からないときは公図から土地の場所を確認する手順、手放す方法を比較したいときは山林の処分方法、原野の処分・売却方法、別荘地の処分方法をご参照ください。
本記事は2026年1月に作成し、制度・料金の記載を2026年9月30日に更新しました。必要書類や名寄帳の記載範囲、手数料は申請先によって異なるため、取得前に各機関の最新の案内を確認してください。
一般社団法人日本不動産管財

