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森林組合を通じた山林売却の完全ガイド|税制優遇・売却手順・売れない場合の対処法まで徹底解説

  • 執筆者の写真: 一般社団法人日本不動産管財
    一般社団法人日本不動産管財
  • 2025年12月30日
  • 読了時間: 13分

更新日:5 日前

「相続した山林を売却したいけれど、どこに相談すればいいかわからない」「森林組合に相談すると何かメリットがあるの?」——このような疑問を抱えている山林所有者の方は少なくありません。

実は、森林組合を通じて山林を売却すると、最大800万円の所得税控除を受けられる可能性があることをご存知でしょうか。

本記事では、森林組合の役割から山林売却の具体的な手順、税制優遇措置の詳細、そして売却できなかった場合の対処法まで、山林処分に関する情報を網羅的に解説します。相続で山林を取得した方、固定資産税の負担に悩んでいる方は、ぜひ最後までお読みください。


目次



1. 森林組合とは?山林所有者にとっての重要な相談窓口

森林組合の基本的な役割

森林組合とは、森林組合法に基づいて設立された森林所有者の協同組合です。営利を目的とした組織ではなく、組合員である森林所有者の経済的・社会的地位の向上と、森林の保続培養・森林生産力の増進を目的としています。

林野庁の統計によると、2024年現在、全国に約607の森林組合が存在し、約146万人の組合員が加入しています。全国の施業受託面積のうち約5割を森林組合が担っており、日本の森林整備において中心的な役割を果たしています。

森林組合は市町村・郡単位で組織されており、その上部団体として都道府県森林組合連合会、さらに全国森林組合連合会(愛称:JForest)が設置されています。

森林組合が提供する主なサービス

  • 森林経営に関する相談・指導

  • 森林施業(植林、下刈り、間伐など)の受託

  • 林産物の生産・加工・販売

  • 林業資材の共同購入

  • 資金融資の窓口業務

  • 森林災害共済

  • 補助金申請手続きのサポート

  • 山林の売買あっせん(林地供給事業)


注目すべきは、森林組合の中には山林の売買をあっせんする「林地供給事業」を実施しているところがあることです。この事業を通じて山林を売却すると、所得税の特例措置を受けられる可能性があります。


2. 森林組合を通じた山林売却のメリット

メリット①:最大800万円の所得税特別控除

森林組合のあっせん(林地供給事業)を通じて山林を売却すると、租税特別措置法第34条の3に基づき、譲渡所得から最大800万円を控除できる税制特例措置が適用される可能性があります。

この特例を受けるためには、以下の要件を満たす必要があります。

  • 都道府県知事のあっせんにより林地を譲渡すること

  • 譲渡先が林業経営改善計画の認定を受けた者(認定者)であること

  • 市町村森林整備計画に定められた間伐・保育の基準に従った施業がなされていない山林であること

  • 林地の保有または森林施業の合理化に寄与することが確実であること


この特例は一般的な不動産売却では適用されないものであり、森林組合を通じた売却ならではの大きなメリットです。

メリット②:登録免許税・不動産取得税の軽減

森林組合のあっせんによる林地の取得については、登録免許税(所有権移転登記)および不動産取得税についても特例措置が設けられています。これにより、買主側の税負担が軽減されるため、売買がスムーズに進む可能性が高まります。

メリット③:専門家のネットワークによるマッチング

森林組合には、その地域で林業に従事する事業者や山林の購入を希望する方からの相談が集まります。一般の不動産会社と比較して、山林売買に関する専門知識とネットワークを持っているため、条件に合う買い手を見つけやすいという利点があります。

特に1ヘクタール(10,000㎡)以上の山林については、林業事業体からの需要が見込めるケースもあり、森林組合への相談価値が高いといえます。

メリット④:補助金申請のサポート

森林組合は、森林整備に関する各種補助金の申請手続きを代行してくれます。売却前に適切な森林整備を行うことで、山林の価値を高められる可能性があります。また、森林経営計画の策定支援を受けることで、より有利な条件での売却が期待できます。


3. 森林組合を通じた山林売却の具体的な手順

ステップ1:必要書類の準備

森林組合に相談する前に、以下の書類を準備しておくとスムーズです。

  • 固定資産税納税通知書(毎年自治体から届くもの)

  • 登記簿謄本または登記事項証明書(法務局で取得可能)

  • 森林簿・森林計画図(市区町村または都道府県の林務担当課で取得)

  • 公図(法務局で取得可能)

  • 地積測量図(存在する場合)


特に「森林簿」は重要な書類です。森林簿には山林の所在、所有者、面積、樹種、林齢、保安林の種類などが詳しく記載されており、山林の価値を判断するための基礎資料となります。

ステップ2:地元の森林組合を探す

お住まいの地域または山林の所在地を管轄する森林組合を探します。探し方は以下の2通りです。

ステップ3:森林組合への相談・現地調査

森林組合に連絡し、山林売却について相談します。多くの森林組合では、以下のような流れで対応してくれます。

  • 書類の確認と概要のヒアリング

  • 現地調査の日程調整

  • 現地調査(立木の状態、境界、林道の有無、搬出可能性などを確認)

  • 売却可能性の判断と概算価格の提示


現地調査では、登記簿や図面だけではわからない山林の実態を確認します。風害・雪害による倒木の有無、林道の管理状況、実際の境界線なども重要な確認ポイントです。

ステップ4:買い手の募集・マッチング

森林組合が買い手を探してくれます。組合に登録されている林業事業体や、山林購入希望者の情報をもとに、条件に合う買い手とのマッチングを行います。

なお、森林組合は直接山林を買い取る機関ではありません。あくまで売り手と買い手をつなぐ「あっせん」を行う立場です。

ステップ5:売買条件の交渉・契約

買い手が見つかったら、売買価格や条件について交渉を行います。境界の明示方法、立木の取り扱い、引き渡し時期などを決定し、売買契約を締結します。

ステップ6:所有権移転登記・届出

売買契約が成立したら、法務局で所有権移転登記を行います。また、森林の土地を取得した者は、市町村長への届出義務があります(森林の土地の所有者届出制度)。

なお、2024年4月1日から相続登記が義務化されました。相続で山林を取得した場合は、相続の開始を知った日から3年以内に相続登記を行わなければなりません。違反すると10万円以下の過料が科される可能性があります。

ステップ7:税務申告

山林を売却して利益が出た場合は、確定申告が必要です。山林の売却による所得は、土地部分は「譲渡所得」、立木部分は「山林所得」として計算します。

山林所得には「5分5乗方式」という特別な計算方法が適用され、長期間保有した山林については「概算経費控除」が認められるなど、一般の不動産とは異なる税制が適用されます。


4. 山林売却の税金と特例措置を詳しく解説

山林所得とは

所有期間が5年を超える山林(立木)を伐採して譲渡したり、立木のままで譲渡した場合に発生する所得が「山林所得」です。なお、山林を土地とともに譲渡した場合は、山林の部分は山林所得、土地の部分は譲渡所得として区分して計算します。

山林所得の計算方法

山林所得は以下の計算式で算出します。

山林所得 = 総収入金額 − 必要経費 − 概算経費控除 − 森林計画特別控除 − 特別控除額(最高50万円)

  • 必要経費:植林費、育成費、管理費、森林組合費、伐採費、搬出費、仲介手数料など

  • 概算経費控除:15年前の12月31日以前から所有している山林については、(収入金額-譲渡費用)×50%+譲渡費用を必要経費にできる

  • 森林計画特別控除:森林経営計画に基づいて伐採・譲渡した場合に適用される特別控除

5分5乗方式による税額計算

山林所得は、他の所得と分離して「5分5乗方式」で税額を計算します。

税額 = 山林所得 × 1/5 × 税率 × 5

この方式により、長期間かけて成長した山林を一度に売却しても、税負担が過度に重くならないよう配慮されています。

【計算例】山林所得が500万円の場合500万円 × 1/5 × 5%(税率)× 5 = 25万円(所得税額)

森林組合あっせんによる800万円控除

先述のとおり、都道府県知事のあっせん(森林組合の林地供給事業を通じたもの)により林業経営改善計画の認定者に山林を譲渡した場合、譲渡所得から800万円を控除できる特例があります。

この特例を受けるためには、確定申告時に以下の書類を添付する必要があります。

  • あっせんにより林地を譲渡した旨を証する都道府県知事の証明書

  • 土地の所有権移転に係る契約書の写し

  • 譲受人が森林施業計画の認定を受けた(または1年以内に受けることが確実である)旨を証する書類


5. 森林組合で売却できなかった場合の対処法

森林組合に相談しても、すべての山林が売却できるわけではありません。特に以下のような山林は買い手が見つかりにくい傾向があります。

  • 面積が1ヘクタール未満の小規模な山林

  • 林道がなく木材の搬出が困難な山林

  • 境界が不明確で確定に多額の費用がかかる山林

  • 保安林に指定されており利用制限がある山林

  • 急傾斜地で林業作業が困難な山林

  • 荒廃が進み、手入れに多大な費用がかかる山林


このような山林を所有している場合、以下の選択肢を検討してください。


対処法①:山林専門の売買サイトを利用する

近年、山林売買に特化した専門サイトが登場しています。「山いちば」「山林バンク」「山林売買.net」などのサイトでは、山林の売買情報が掲載されており、キャンプ場として利用したい個人や、林業事業者とマッチングできる可能性があります。

ただし、境界未確定や接道条件等の立地条件によっては、これらのサイトでも取り扱いが難しい場合があります。

対処法②:隣接地の所有者に打診する

法務局で公図を取得し、隣接する土地の登記簿から所有者を特定して、買い取りの意向がないか打診する方法があります。隣接地の所有者であれば、自身の山林と一体的に管理できるメリットがあるため、購入に興味を示す可能性があります。

対処法③:相続土地国庫帰属制度を利用する

2023年4月27日から施行された「相続土地国庫帰属制度」は、相続または遺贈により取得した土地について、一定の要件を満たせば国に引き取ってもらえる制度です。

相続放棄とは異なり、「山林だけ」「農地だけ」など、特定の土地のみを選んで手放すことができます。

ただし、この制度には以下のような要件・制限があります。

  • 相続または遺贈で取得した土地であること(購入した土地は対象外)

  • 建物がない更地であること

  • 担保権や使用収益権が設定されていないこと

  • 境界が明らかであること

  • 土壌汚染がないこと

  • 通路など他人による使用が予定されていないこと

  • 審査手数料(14,000円/筆)と負担金の納付が必要


山林の場合、負担金は面積に応じて算定され、最低20万円からとなります。具体的な金額は法務局への事前相談で確認できます。

対処法④:不動産引き取りサービスを利用する

相続土地国庫帰属制度の要件を満たさない場合や、より迅速に手放したい場合は、民間の不動産引き取りサービスを利用する方法があります。

これは所有者が引き取り料金を支払って、専門事業者に山林を引き取ってもらうサービスです。売却とは逆に、所有者側が費用を負担する形となりますが、固定資産税の負担や管理責任から解放されるメリットがあります。

ただし、引き取りサービスを選ぶ際は、以下の点に注意が必要です。

  • 引き取り後の土地管理体制が明確であること

  • 引き取り費用が適正であること

  • 契約内容を十分に確認すること

  • 原野商法などの二次被害に注意すること


国民生活センターでも、山林売却を装った詐欺的な勧誘についての注意喚起がなされています。「別の山林を担保として差し出す」などの話には特に警戒が必要です。


6. 山林売却で失敗しないためのポイント

ポイント①:現地確認は必ず行う

書類だけで判断せず、必ず現地を確認しましょう。崖や急傾斜、不法投棄の形跡、境界標の有無など、現地でしか確認できない情報が多くあります。森林組合に依頼すれば、専門家による現地調査を受けられます。

ポイント②:境界確定の費用を把握する

山林は土地面積が広大なため、境界確定のための測量費用は数百万円単位になることもあります。買い手から境界明示を求められた場合の費用負担について、事前に見積りを取っておくことをお勧めします。

なお、公募面積(登記簿上の面積)での売買も可能です。測量費用が売却価格を上回るような場合は、公募面積での売買を検討しましょう。

ポイント③:共有名義は早めに解消する

山林が複数人の共有名義になっている場合、売却には共有者全員の同意が必要です。遺産分割で安易に共有にすると、後々の処分が困難になります。相続の段階で、できるだけ単独名義にすることを検討してください。

ポイント④:保安林かどうかを確認する

保安林に指定されている山林は、伐採や土地の形質変更に制限があります。売却する際も、買い手にとってはマイナス要素となるため、事前に確認しておきましょう。保安林の指定状況は、不動産登記簿や森林簿、都道府県の林務担当課で確認できます。

ポイント⑤:売却を急ぎすぎない

山林は一般的な不動産と比較して流動性が低く、売却に時間がかかることが一般的です。焦って不利な条件で売却するよりも、複数の相談先(森林組合、山林専門サイト、不動産会社など)に並行して相談し、最も良い条件を探すことをお勧めします。


7. 山林の売却・処分でお困りの方へ

山林の売却は、一般的な不動産取引とは異なる専門知識が必要です。森林組合への相談は最初の一歩として有効ですが、売却できなかった場合の対処法も含めて、総合的な視点でのアドバイスが重要です。

当社団「一般社団法人日本不動産管財」では、山林を含む処分困難な不動産の無料調査サービスを提供しています。

  • 詳細不明な山林

  • 相続土地国庫帰属制度の要件を満たさない山林

  • 原野商法で取得してしまった土地

  • 管理費がかかり続ける別荘地

  • 固定資産税の負担に困っている土地


これらの不動産でお困りの方は、まずはお気軽にご相談ください。相続税対策として生前に山林を手放したいという方からのご相談も承っております。


まとめ

本記事では、森林組合を通じた山林売却について詳しく解説しました。重要なポイントをまとめます。

  • 森林組合は山林売却の相談窓口として有効。林地供給事業を通じた売却では税制優遇(最大800万円控除)の可能性がある

  • 売却前に固定資産税通知書、登記簿謄本、森林簿などの書類を準備する

  • 森林組合は買い取りではなく「あっせん」を行う機関。買い手探しには時間がかかることも

  • 山林所得には「5分5乗方式」「概算経費控除」「森林計画特別控除」などの特例がある

  • 売却できない場合は、山林専門サイト、隣接所有者への打診、相続土地国庫帰属制度、引き取りサービスを検討

  • 2024年4月から相続登記が義務化。3年以内に登記しないと10万円以下の過料


山林の売却・処分は複雑で時間がかかることが多いですが、適切な相談先を選び、計画的に進めることで、負担を軽減することができます。まずは地元の森林組合に相談することから始めてみてはいかがでしょうか。

なお、当記事は2024年12月時点の情報に基づいています。税制や制度は変更される可能性がありますので、実際に売却を進める際は、税理士や法務局、森林組合などの専門機関にご確認ください。



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