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【日本一わかりやすく解説】相続土地国庫帰属制度とは?制度の仕組み・条件・費用・手続き

  • 執筆者の写真: 一般社団法人日本不動産管財
    一般社団法人日本不動産管財
  • 2月10日
  • 読了時間: 10分

「親から相続した土地があるけど、使い道がない…」「遠方の山林や農地を相続したけど、管理できない…」「固定資産税だけがかかり続けて困っている…」


こうしたお悩みを抱えている方のために、2023年(令和5年)4月27日からスタートした「相続土地国庫帰属制度」について、どこよりもわかりやすく解説します。


この制度は、相続した「いらない土地」を国に引き取ってもらえる画期的な制度です。

しかし、「名前が難しくて何の制度かわからない」「条件が複雑でよくわからない」という声が非常に多く聞かれます。

本記事では、制度の仕組みから、利用できる条件、かかる費用、申請の手順、さらには最新の統計データまで、専門用語をできるだけ使わずに徹底的に解説します。


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目 次

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13.  まとめ


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1. 相続土地国庫帰属制度とは?【30秒でわかる要点まとめ】

相続土地国庫帰属制度を一言でいうと、「相続した土地を国に引き取ってもらえる制度」です。

正式名称は「相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律」(令和3年法律第25号)に基づく制度で、2023年(令和5年)4月27日からスタートしました。

これまで、相続した土地が「いらない」と思っても、その土地だけを手放す方法はほとんどありませんでした。選択肢は「全部相続する」か「すべての財産をまとめて相続放棄する」かの二択しかなかったのです。

この制度ができたことで、「預費金や自宅は相続したいけど、田舎の山林だけは手放したい」といった柔軟な対応が可能になりました。


制度の要点を5つにまとめると

項目

内容

誰が使える?

相続や遺贈で土地を取得した人

どんな土地が対象?

一定の条件を満たした土地(建物がない、境界が明確など)

いくらかかる?

審査手数料14,000円(1筆あたり)+負担金(原則20万円)

どこに申請する?

土地を管轄する法務局・地方法務局

審査期間は?

約半年〜1年



2. なぜこの制度ができたのか?【背景と目的】

日本が抱える「所有者不明土地」問題

この制度が生まれた最大の理由は、日本全国で「所有者不明土地」が急増しているという深刻な社会問題です。

所有者不明土地とは、不動産登記簿を見ても所有者がわからない、あるいは所有者はわかっても連絡がつかない土地のことです。国土交通省の調査によると、所有者不明土地の面積は九州全土の面積を上回ると推計されており、日本の国土の約2割にも及びます。


なぜ所有者不明土地が増えるのか?

① 相続しても登記しない人が多かった

これまで相続登記は義務ではなかったため、親の名義のまま放置されるケースが非常に多くありました。それが2代、3代と続くうちに、相続人がねずみ算式に増え、もはや誰が所有者なのかわからなくなってしまったのです。

※2024年(令和6年)4月1日から相続登記が義務化されました。正当な理由なく3年以内に相続登記を行わない場合、10万円以下の過料が科される可能性があります。

② 地方から都市部への人口移動

地方に住んでいた親世代が亡くなり、都市部に住む子世代が田舎の土地を相続するケースが増えています。遠方の土地は管理が難しく、結果として放置されてしまいます。

③ 土地の価値の下落

少子高齢化や人口減少により、地方の土地は買い手がつかないことが珍しくありません。固定資産税や管理費だけがかかり続ける「負動産」となってしまう土地が増えています。



3. 制度を利用できるのはどんな人?【対象者の条件】

基本的な条件

① 相続によって土地を取得した人

親や祖父母が亡くなり、法定相続によって土地を取得した方が対象です。

② 遺贈によって土地を取得した相続人

遺言書によって土地を譲り受けた場合も対象です。ただし、「相続人に対する遺贈」に限られます。


利用できない人

  • 売買で土地を取得した人

  • 生前贈与で土地を取得した人

  • 相続人以外への遺贈で土地を取得した人


重要:制度が始まった2023年4月27日より前に相続した土地でも利用できます。


共有持分の場合

土地を複数の人で共有している場合でも、共有者全員が共同で申請すれば利用できます。ただし、共有者のうち1人でも反対している場合は申請ができません。



4. 国に引き取ってもらえる土地・引き取ってもらえない土地

引き取れない土地の要件は、「却下要件」と「不承認要件」の2段階に分かれています。

【却下要件】申請した時点で受け付けてもらえない土地

No.

却下される土地

具体例・補足

1

建物がある土地

家屋、小屋、倉庫など。解体して更地にすれば申請可能

2

抵当権・賃借権等がある土地

抵当権、地上権、賃借権など。事前に権利抹消が必要

3

他人の利用が予定されている土地

通路、水道用地、ため池、墓地内の土地など

4

土壌汚染されている土地

ヒ素、鉛、水銀などの特定有害物質で汚染されている土地

5

境界が明らかでない土地

隣地との境界が不明、所有権について争いがある土地


【不承認要件】審査の結果、引き取りを拒否される土地

No.

不承認となる土地

具体例・補足

1

崖がある土地

勾配30度以上・高さ5m以上の崖で管理に過大な費用がかかる土地

2

地上に障害物がある土地

放置車両、廃棄物、管理困難な樹木、古い工作物など

3

地下に埋設物がある土地

コンクリートがら、古い浄化槽、産業廃棄物など

4

隣地との訴訟が必要な土地

通行権が妨害されている、所有権に基づく利用が妨害されている土地

5

その他管理に過大な費用がかかる土地

災害危険地、鳥獣被害地、未整備森林、賦課金がかかる農地など



5. いくらかかる?費用の全体像【審査手数料と負担金】

① 審査手数料:1筆あたり14,000円

  • 金額:土地1筆(登記簿上の1区画)あたり14,000円

  • 支払方法:申請書に14,000円分の収入印紙を貼付

  • 注意点:却下・不承認・取下げの場合でも返金されません


② 負担金:原則20万円(10年分の管理費用相当額)

土地の種類

負担金の金額

宅地(市街化区域外)

20万円(面積に関わらず一律)

宅地(市街化区域内)

面積に応じて算定(最低208,000円〜)

農地(一般的な農地)

20万円(面積に関わらず一律)

農地(市街化区域内等)

面積に応じて算定(最低208,000円〜)

森林

面積に応じて算定(最低約21万円〜)

その他(原野、雑種地等)

20万円(面積に関わらず一律)


森林の負担金の計算例

森林の面積

おおよその負担金

500㎡

約24万円

1,000㎡(約0.1ha)

約26万円

10,000㎡(約1ha)

約37万円

50,000㎡(約5ha)

約60万円



6. 申請の流れ【5つのステップで完全ガイド】

ステップ1:法務局に相談する

まずは、土地の所在地を管轄する法務局・地方法務局(本局)に相談しましょう。相談は予約制で、無料で利用できます。相談は土地の所在地以外の法務局でも対応可能です。

ステップ2:必要書類を準備する

  • 承認申請書

  • 土地の位置および範囲を明らかにする図面

  • 印鑑証明書(発行から3か月以内)

  • 相続で土地を取得したことを証する書面(戸籍謄本等)

  • 土地の形状を明らかにする写真

ステップ3:承認申請書を提出する

土地が所在する都道府県の法務局・地方法務局(本局)の不動産登記部門に提出します。窓口持参または郵送で提出可能です。申請書には14,000円分の収入印紙を貼付します。

ステップ4:法務局による審査(約半年〜1年)

書類の内容確認、法務局職員による実地調査(現地調査)が行われます。審査中に法務局から問い合わせの電話が入ることがあります。

ステップ5:負担金を納付 → 国庫帰属完了

承認されると、法務局から承認通知書と納入告知書が届きます。通知到達の翌日から30日以内に金融機関で負担金を納付します。納付した時点で土地の所有権が国に移転し、手続き完了です。所有権移転の登記は国が行います。



7. 【最新データ】申請件数・承認件数・承認率の実態

法務省が公表している最新の統計データ(令和7年9月30日時点)をもとに、制度の利用実態をご紹介します。

地目別の申請件数(2025年9月末時点)

地目

申請件数

割合

田・畏(農地)

1,688件

38.6%

宅地

1,520件

34.7%

山林

687件

15.7%

その他

479件

11.0%

合計

4,374件

100%


帰属(承認)件数(2025年9月末時点)

種目

帰属件数

割合

宅地

743件

36.5%

農用地

658件

32.3%

その他

510件

25.0%

森林

128件

6.3%

合計

2,039件

100%


審査完了案件の承認率は約94%と非常に高い水準です。

ただし山林の承認率は約18.6%と著しく低く、未整備森林が多い点が主な理由です。



8. 相続土地国庫帰属制度のメリット・デメリット

メリット

  • 「いらない土地」だけを手放せる(他の財産はそのまま相続可能)

  • 引き取り先を自分で探す必要がない

  • 固定資産税の負担がなくなる

  • 管理責任から完全に解放される

  • 国に引き取ってもらうため、安全な処分が保証される

  • 次の世代に負担を引き継がせない

デメリット

  • 費用がかかる(審査手数料+負担金+専門家費用)

  • 引き取ってもらえない土地がある(却下・不承認要件)

  • 審査に半年〜1年かかる(その間も固定資産税が発生)

  • 審査手数料14,000円は返金されない

  • 建物がある場合は自費で解体が必要



9. 相続土地国庫帰属制度と相続放棄の違い

項目

国庫帰属制度

相続放棄

手放せる範囲

特定の土地だけ手放せる

すべての財産を放棄

期限

特になし

相続を知って3か月以内

費用

14,000円+負担金20万円〜

収入印紙800円+通信費

手続先

法務局

家庭裁判所



10. 相続土地国庫帰属制度が使えない場合の対処法

制度の条件を満たさない場合でも、以下の方法で土地を手放せる可能性があります。

① 民間の土地引き取りサービスを利用する

近年、相続した不要な土地を有料で引き取る民間サービスが増えています。建物がある土地や境界が不明な土地でも対応可能な場合があります。


② その他の方法

  • 自治体の空き地バンクを利用する

  • 隣地の所有者に引き取りを打診する

  • 地元の不動産会社に相談する



11. 2028年の制度見直しについて

財務省では、2028年を目途に制度の見直しを進めるとされています。境界要件の緩和、土地管理の効率化、国庫帰属後の土地活用方法などが検討項目に挙がっています。

ただし、具体的な改正スケジュールは未定です。見直しを待つ間も固定資産税は発生し続けるため、現時点で条件を満たしている方は早めの申請をおすすめします。



12. よくある質問(FAQ)

Q1. 制度開始前に相続した土地でも申請できますか?

はい、申請できます。相続した時期に関わらず、条件を満たしていれば利用可能です。

Q2. 申請書類は自分で作成しなければいけませんか?

弁護士・司法書士・行政書士に書類作成を依頼することもできます。費用は10万〜50万円程度が相場です。

Q3. 遠方の土地はどうすればいいですか?

申請書は郵送で提出可能です。相談は土地の所在地以外の法務局でも対応しています。

Q4. 共有持分だけを国に引き取ってもらえますか?

いいえ。共有者全員が共同で申請する必要があります。

Q5. 農地の申請に農業委員会の許可は必要ですか?

不要です。国庫帰属は農地法の許可は不要とされています。

Q6. 却下・不承認になった場合、再申請できますか?

はい。却下・不承認の原因を解消した上で、改めて申請することができます。

Q7. 譲渡所得税はかかりますか?

国庫帰属は「譲渡」に該当しないため、譲渡所得税はかかりません。

Q8. 相続登記をまだしていない場合は?

先に相続登記を行うか、相続を証明できる書面を用意する必要があります。2024年4月から相続登記は義務化されていますので、早めの対応をおすすめします。



13. まとめ

相続土地国庫帰属制度は、相続した不要な土地を国に引き取ってもらえる画期的な制度です。2025年9月末時点で累計4,374件の申請があり、2,039件が承認されています。審査完了案件の承認率は約94%と非常に高い水準です。

ただし、すべての土地が対象になるわけではなく、費用も発生するため、ご自身の状況に合った方法を検討することが大切です。


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