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【2026年最新】山林の処分・放棄完全ガイド|売れない山林を手放す7つの方法と費用・手続きを徹底解説

  • 執筆者の写真: 一般社団法人日本不動産管財
    一般社団法人日本不動産管財
  • 18 分前
  • 読了時間: 35分

「相続した山林をどうすればいいかわからない」「売れない山林を手放したい」「山林の処分方法を知りたい」

このようなお悩みを抱えていませんか?

近年、相続などで取得した山林の処分に困る方が急増しています。国土交通省の調査によると、所有者不明土地は全国で約410万ヘクタール(九州の面積に匹敵)に達し、その多くが山林であることがわかっています。

本記事では、山林処分の専門機関として数多くの案件を手がけてきた経験をもとに、山林を手放すためのあらゆる方法と、それぞれのメリット・デメリット、費用、手続きの流れを徹底的に解説します。

2024年4月から施行された相続登記義務化や、2023年4月から始まった相続土地国庫帰属制度など、最新の法改正情報も網羅しています。

この記事を読めば、あなたの山林に最適な処分方法が必ず見つかります。


目次



1. 山林を放置するとどうなる?知っておくべき5つのリスク

「固定資産税も安いし、とりあえず放置しておこう」

このように考えて山林を放置する方は少なくありません。しかし、山林の放置には深刻なリスクが潜んでいます。

1-1. 固定資産税・都市計画税の永続的な負担

山林の固定資産税は、1ヘクタール(10,000㎡)あたり年間数千円程度と、宅地に比べれば安価です。

山林の固定資産税計算式

固定資産税 = 固定資産税評価額 × 1.4%

例えば、評価額100万円の山林であれば、年間14,000円の固定資産税がかかります。

「数千円なら大したことない」と思われるかもしれません。しかし、問題はこの負担が永続することです。

30年間所有し続けた場合の総額

年間固定資産税

10年間

20年間

30年間

5,000円

50,000円

100,000円

150,000円

10,000円

100,000円

200,000円

300,000円

20,000円

200,000円

400,000円

600,000円

さらに、この負担はあなたの子供、孫へと永遠に引き継がれていくのです。


1-2. 管理責任と損害賠償リスク

山林を所有しているだけで、民法上の管理責任が発生します。

民法第717条(土地工作物責任)では、土地の所有者は、その土地に起因する損害について責任を負うとされています。

具体的には以下のようなケースで損害賠償責任を問われる可能性があります。

  • 倒木による被害:隣地や道路に木が倒れ、車や建物を破損させた場合

  • 土砂崩れ:適切な管理がされていないことで土砂崩れが発生し、下流の住宅や農地に被害を与えた場合

  • 山火事:不法投棄されたゴミが原因で山火事が発生し、延焼した場合

  • 害虫・病害の拡散:管理不足により害虫が大量発生し、周辺の山林に被害を与えた場合

実際に、2018年の西日本豪雨では、放置された山林からの土砂崩れにより、山林所有者に対する損害賠償請求が行われたケースがあります。


1-3. 不法投棄のターゲットになる

管理されていない山林は、産業廃棄物の不法投棄のターゲットになりやすいです。

不法投棄された廃棄物の処理責任は、原則として土地所有者にあります。たとえ知らないうちに投棄されたものであっても、行政から撤去命令が出されることがあり、その費用は数十万円から数百万円に及ぶこともあります。

環境省の統計によると、不法投棄の約70%が山林や原野で発生しています。


1-4. 相続時のトラブル

山林を放置したまま相続が発生すると、以下のようなトラブルが起こりやすくなります。

①境界の不明確化

長年放置された山林は、隣地との境界がわからなくなっていることが多いです。境界が不明確な土地は:

  • 売却が困難になる

  • 相続土地国庫帰属制度が利用できない

  • 相続人間で争いが起こる

②相続人の増加

山林を放置したまま何代も相続が続くと、相続人がねずみ算式に増加します。

例えば、3代にわたり各代で子供が2人いた場合:

  • 1代目:相続人2人

  • 2代目:相続人4人

  • 3代目:相続人8人

8人全員の同意がなければ売却も処分もできなくなり、事実上身動きが取れなくなるのです。

③相続登記義務化による過料

2024年4月1日から相続登記が義務化されました。相続を知った日から3年以内に登記しなければ、10万円以下の過料が科される可能性があります。


1-5. 子孫への負の遺産

山林を処分せずに放置することは、子供や孫に「負の遺産」を押し付けることを意味します。

現在の日本では、山林の価値は下落傾向にあり、将来的にさらに処分が難しくなる可能性が高いです。

「自分の代で処分しておけばよかった」と後悔される相続人の方を、私たちは数多く見てきました。

今この記事を読んでいるあなたの代で、山林の問題を解決しておくことを強くお勧めします。



2. 山林の処分が難しい3つの理由

山林の処分が難しいのには、明確な理由があります。

2-1. 買い手がいない

山林は一般的な不動産と異なり、需要が極めて限られています

林業の衰退により、木材生産を目的とした山林購入者は激減しました。林野庁の統計によると、林業就業者数は1980年の約14万人から2020年には約4万人へと約70%減少しています。

近年はキャンプブームにより一部の山林に需要が生まれていますが、それも以下の条件を満たす限られた物件のみです。

需要がある山林の条件

  • 都市部から車で2時間以内

  • アクセス道路が整備されている

  • 平坦地がある程度確保できる

  • 電気・水道が引ける可能性がある

  • 1ヘクタール以上の面積がある

逆に言えば、これらの条件を満たさない山林は、売却困難と考えてよいでしょう。


2-2. 不動産会社が取り扱わない

一般的な不動産会社は、山林の売買を取り扱いません

その理由は明確です。

仲介手数料の計算例

山林の売買価格:50万円
仲介手数料:50万円 × 5% = 25,000円(税別)

不動産会社にとって、わずか2〜3万円の手数料のために、境界確認や登記手続き、現地調査などの手間をかけることは採算が合わないのです。

一方、一般的な住宅であれば:

住宅の売買価格:3,000万円
仲介手数料:(3,000万円 × 3% + 6万円) = 96万円(税別)

この差を見れば、不動産会社が山林を敬遠する理由がわかるでしょう。


2-3. 境界が不明確

山林の境界は、多くの場合不明確です。

宅地であれば境界杭や境界標が設置されていることが多いですが、山林では以下の理由から境界が曖昧になりがちです。

  • 自然の地形変化:土砂崩れや河川の流れの変化で地形が変わる

  • 目印の消失:境界として認識されていた木や岩が失われる

  • 測量記録の不備:古い山林は正確な測量がされていないことが多い

  • 国土調査の未実施:山間部は地籍調査の進捗率が低い

国土交通省のデータによると、林地の地籍調査進捗率は全国平均で約45%にとどまっています。

境界が不明確な山林は:

  • 売却が困難(買い手がリスクを負いたがらない)

  • 相続土地国庫帰属制度が利用できない

  • 引き取りサービスでも高額な費用がかかる

という問題が生じます。



3. 山林を手放す7つの方法|メリット・デメリット完全比較

山林を手放す方法は、大きく分けて7つあります。それぞれの特徴を詳しく見ていきましょう。

3-1. 森林組合への売却あっせん依頼

おすすめ度:★★★☆☆

森林組合は、地域の林業者のための協同組合です。山林の売買をあっせんしてくれる場合があります。

メリット

  • 地元の林業関係者とのネットワークがある

  • 林業向きの山林であれば買い手が見つかりやすい

  • 無料で相談できる

デメリット

  • 林業に適さない山林は取り扱ってもらえない

  • 買い手が見つかるまで時間がかかる

  • 価格は期待できない

向いている山林

  • 面積が1ヘクタール(10,000㎡)以上

  • 林道が近くにある

  • スギ・ヒノキなど有用樹種が植林されている

  • 境界が明確

森林組合の探し方

お住まいの都道府県の森林組合連合会に問い合わせるか、「〇〇市 森林組合」で検索してください。


3-2. 山林専門の売買サイトへの出品

おすすめ度:★★★☆☆

山林専門売買サイトに出品する方法です。

メリット

  • 一般の不動産会社では扱わない山林を出品できる

  • 全国の買い手にアピールできる

  • キャンプや別荘用途の買い手も探せる

デメリット

  • 掲載料や仲介手数料がかかる場合がある

  • 売れるまで時間がかかる(数ヶ月〜数年)

  • アクセスが悪い山林は需要が少ない

向いている山林

  • アクセス道路がある

  • 1ヘクタール以上の面積がある

  • レジャー利用に適した特徴がある


3-3. 隣接地所有者への売却・譲渡

おすすめ度:★★★★☆

隣接する山林の所有者に買い取りを依頼する方法です。

メリット

  • 隣接地所有者には山林を拡大するメリットがある

  • 境界問題が起きにくい

  • 交渉がまとまりやすい

デメリット

  • 隣接地所有者が誰かわからないことがある

  • 相手にも山林を増やす意欲がないことが多い

  • 無償譲渡でも断られることがある

アプローチ方法

  1. 法務局で隣接地の登記簿を取得し、所有者を確認

  2. 手紙や直接訪問で意向を確認

  3. 無償譲渡または低価格での売却を提案


3-4. 自治体への寄付

おすすめ度:★★☆☆☆

山林を自治体に寄付する方法です。

メリット

  • 受け入れてもらえれば無料で手放せる

  • 公有地として適切に管理される

デメリット

  • ほとんどの自治体は受け入れない

  • 受け入れ条件が厳しい

  • 手続きに時間がかかる

現実的な可能性

正直に申し上げると、自治体への寄付はほぼ期待できません

自治体にとって山林を受け入れるメリットはほとんどなく、むしろ管理コストという負担が増えるだけです。

ただし、以下のような例外的なケースでは受け入れられる可能性があります。

  • 自治体が計画している公園・緑地に隣接している

  • 防災上重要な位置にある

  • 文化財・史跡がある

  • 希少な動植物の生息地である


3-5. 相続土地国庫帰属制度の利用

おすすめ度:★★★★☆

2023年4月27日から始まった、相続した土地を国に引き取ってもらえる制度です。

メリット

  • 国が引き取るため安心・確実

  • 一定の条件を満たせば利用できる

  • 引き取り後の管理責任から完全に解放される

デメリット

  • 審査手数料(14,000円/筆)と負担金(山林は面積に応じて算定)がかかる

  • 審査に半年〜1年かかる

  • 要件を満たさない山林は利用できない

詳細は後述の「4. 相続土地国庫帰属制度を徹底解説」をご覧ください。


3-6. 山林引き取りサービスの利用

おすすめ度:★★★★★

民間の山林引き取りサービスを利用する方法です。

メリット

  • 売却できない山林でも引き取ってもらえる

  • 相続土地国庫帰属制度より要件が緩い

  • 比較的早く処分できる(1〜3ヶ月程度)

  • 建物がある土地も対応可能な業者がある

デメリット

  • 引き取り費用がかかる

  • 悪質な業者も存在する

  • 引き取り後の管理状況が不透明な場合がある

詳細は後述の「5. 山林引き取りサービスの選び方」をご覧ください。


3-7. 相続放棄

おすすめ度:★★☆☆☆

相続発生時に、山林を含む全ての相続財産を放棄する方法です。

メリット

  • 山林を引き継がずに済む

  • 費用がほとんどかからない(専門家に依頼しない場合)

デメリット

  • 山林だけでなく全ての財産を放棄しなければならない

  • 相続開始を知った日から3ヶ月以内に手続きが必要

  • 既に相続している場合は利用できない

詳細は後述の「7. 山林の相続放棄という選択肢」をご覧ください。


【比較表】山林を手放す7つの方法

方法

費用

期間

難易度

おすすめ度

森林組合あっせん

無料〜低額

数ヶ月〜数年

★★★☆☆

★★★☆☆

山林売買サイト

掲載料等

数ヶ月〜数年

★★★☆☆

★★★☆☆

隣接地所有者への譲渡

無料〜低額

1〜6ヶ月

★★★★☆

★★★★☆

自治体への寄付

無料

数ヶ月

★★★★★

★★☆☆☆

相続土地国庫帰属制度

20万円〜

6ヶ月〜1年

★★★★☆

★★★★☆

山林引き取りサービス

10万円〜

1〜3ヶ月

★★☆☆☆

★★★★★

相続放棄

数千円

3ヶ月以内

★★★☆☆

★★☆☆☆



4. 相続土地国庫帰属制度を徹底解説|山林を国に返す方法

2023年4月27日から始まった「相続土地国庫帰属制度」は、相続した土地を国に引き取ってもらえる画期的な制度です。山林も対象となるため、詳しく解説します。

4-1. 相続土地国庫帰属制度とは

相続土地国庫帰属制度は、「相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律」に基づく制度です。

相続や遺贈により取得した土地を、一定の負担金を納付することで国に引き取ってもらうことができます。

制度創設の背景

  • 所有者不明土地の増加(全国で約410万ヘクタール)

  • 管理不全の土地による近隣への悪影響

  • 相続した土地の管理に困る相続人の増加


4-2. 利用できる人(申請権者の要件)

相続土地国庫帰属制度を利用できるのは、以下の人です。

①相続または相続人に対する遺贈により土地を取得した人

売買や贈与で取得した土地は対象外です。

②共有地の場合は共有者全員で申請

共有者の中に相続で取得した人がいれば、共有者全員で共同申請することで利用できます。

利用できない人

  • 売買で土地を取得した人

  • 法人

  • 生前贈与で土地を取得した人(相続人に対する遺贈を除く)


4-3. 利用できる土地の要件(却下事由・不承認事由)

全ての土地が引き取ってもらえるわけではありません。以下の要件を満たす必要があります。

【却下事由】申請段階で却下される土地

  1. 建物がある土地

  2. 担保権や使用収益権が設定されている土地

  3. 通路など他人の利用が予定されている土地

  4. 土壌汚染がある土地

  5. 境界が明らかでない土地・所有権の争いがある土地

【不承認事由】審査の結果不承認となる土地

  1. 一定の勾配・高さの崖があり管理に過大な費用・労力がかかる土地

  2. 土地の管理・処分を阻害する有体物(廃棄物、車両等)がある土地

  3. 土地の管理・処分のために除去が必要な有体物(樹木等)がある土地

  4. 隣接地所有者等と争訟をしなければ管理・処分できない土地

  5. その他通常の管理・処分に過大な費用・労力がかかる土地


4-4. 山林特有の注意点

山林で相続土地国庫帰属制度を利用する場合、特に以下の点に注意が必要です。

①境界の明示

山林は境界が不明確なことが多いですが、申請には境界を明示する必要があります。

境界の明示方法:

  • 杭や目印を設置する

  • 隣接地所有者と境界を確認する

  • 測量を行う(任意)

②樹木の扱い

山林には当然樹木がありますが、通常の管理の範囲内の樹木であれば問題ありません

ただし、以下のような場合は不承認となる可能性があります:

  • 倒木が大量にある

  • 竹林が繁茂して管理困難な状態

  • 有害な植物が生育している

③傾斜地の扱い

急傾斜地は「管理に過大な費用がかかる土地」として不承認となる可能性があります。

ただし、山林は元々傾斜地が多いため、一般的な傾斜であれば問題ありません。土砂崩れの危険性が高い崖地などが該当します。


4-5. 費用(審査手数料と負担金)

相続土地国庫帰属制度の利用には、以下の費用がかかります。

①審査手数料:14,000円/筆

申請時に収入印紙で納付します。審査の結果、不承認となっても返還されません。

②負担金:土地の種類・面積により算定

承認後、30日以内に納付します。山林の場合は面積に応じて算定されます。

山林の負担金計算式

面積

負担金額

〜500㎡

約24万円

〜1,000㎡

約26万円

〜1,500㎡

約29万円

〜2,000㎡

約31万円

〜3,000㎡

約34万円

〜5,000㎡

約40万円

〜10,000㎡(1ha)

約53万円

〜50,000㎡(5ha)

約97万円

〜100,000㎡(10ha)

約113万円

※上記は概算です。正確な金額は法務局にお問い合わせください。

隣接する複数の筆をまとめて申請する場合

同一の土地区分(山林同士など)で隣接する土地は、申出により1筆とみなして負担金を算定できます。これにより負担金を軽減できる場合があります。


4-6. 手続きの流れ

Step 1:事前相談(任意)

法務局本局で事前相談を受けられます。申請前に利用の可否について相談することをお勧めします。

Step 2:書類準備

必要書類:

  • 承認申請書

  • 登記事項証明書

  • 土地の位置・範囲を明らかにする図面

  • 土地の形状を明らかにする写真

  • 境界を明らかにする写真

  • 固定資産税評価証明書

  • 印鑑証明書

  • その他法務局が求める書類

Step 3:承認申請

土地を管轄する法務局本局に申請書類を提出し、審査手数料を納付します。

Step 4:審査・実地調査

法務局による書類審査と実地調査が行われます。期間は6ヶ月〜1年程度です。

Step 5:承認・負担金納付

承認されると負担金の通知が届きます。通知到達から30日以内に負担金を納付します。

Step 6:国庫帰属

負担金の納付をもって、土地の所有権が国に移転します。登記は国が行います。


4-7. 相続土地国庫帰属制度のメリット・デメリット

メリット

  • 国が引き取るため安心:詐欺等のリスクがない

  • 適切に管理される:国有地として適切に管理される

  • 近隣にも安心:民間業者に引き取られるより近隣住民も安心

  • 相続税対策:相続前に利用すれば相続財産から除外できる

デメリット

  • 費用がかかる:審査手数料14,000円+負担金(山林は面積に応じて)

  • 時間がかかる:審査に6ヶ月〜1年

  • 要件が厳しい:境界不明確な土地は利用できない

  • 審査手数料は返還されない:不承認でも審査手数料は戻らない


4-8. 相続土地国庫帰属制度の利用実績

法務省の統計によると、2025年9月30日現在:

  • 申請件数:4,374件

  • 帰属件数:2,039件

  • 却下・不承認件数:約500件

承認率は約80%程度で推移しており、要件を満たせば比較的高い確率で承認されています。

申請が多い土地の種類

  1. 山林

  2. 原野

  3. 農地

  4. 宅地(空き地)

山林は申請件数が最も多く、制度の主なターゲットとなっています。



5. 山林引き取りサービスの選び方|悪質業者を見抜くポイント

相続土地国庫帰属制度の要件を満たさない山林や、早く処分したい場合は、民間の山林引き取りサービスの利用が現実的な選択肢となります。

しかし、残念ながら悪質な業者も存在します。被害に遭わないために、業者選びのポイントを詳しく解説します。

5-1. 悪質業者の手口

①原野商法の二次被害

国民生活センターには、以下のような相談が寄せられています。

「相続した山林を手放したいと思っていたところ、業者から『買いたい』と電話勧誘を受けた。しかし、後日契約書を見たところ、売却と併せて別の山林を買う契約になっていた。」

1970〜80年代に流行した「原野商法」の被害者を狙った二次被害が後を絶ちません。

②高額な手数料の請求

  • 「測量が必要」として高額な測量費用を請求

  • 「整地が必要」として高額な造成費用を請求

  • 契約後に追加費用を次々と請求

③引き取り後の放置

引き取った山林を適切に管理せず、不法投棄のターゲットにしたり、さらに転売したりする業者もいます。

近隣住民から苦情が来ても、「もう自分の土地ではない」と言って逃げられてしまいます。


5-2. 信頼できる業者を見分けるポイント

①会社情報の確認

  • 会社の所在地、代表者名が明確か

  • 設立からの年数

  • 国税庁の法人番号公表サイトで実在を確認

  • 登記されている事業内容

②契約内容の透明性

  • 契約書の内容が明確か

  • 追加費用の有無が明記されているか

③引き取り後の管理体制

  • 引き取り後にどのように管理するのか説明があるか

  • 実際の管理実績を確認できるか

  • 近隣への配慮について言及があるか

④口コミ・評判

  • インターネット上の口コミ

  • 実際に利用した人の体験談

  • 消費者センターへの相談事例

⑤弁護士・司法書士等の関与

  • 契約に専門家が関与しているか

  • 契約書のリーガルチェックがされているか


5-3. 契約前に確認すべきこと

チェックリスト

□ 引き取り費用の総額(追加費用の有無) □ 支払いのタイミング □ 契約書の内容(別の土地の購入契約が含まれていないか) □ 引き取り後の管理方針 □ 会社の実態(所在地、代表者、設立年数) □ 引き取り実績 □ 万が一のトラブル時の対応


5-4. こんな業者には要注意

以下のような特徴がある業者には注意が必要です。

危険信号

🚨 「今すぐ契約しないと無効になる」と急かす 🚨 契約書を見せてくれない、持ち帰らせない 🚨 「測量」「整地」などの追加工事を強く勧める 🚨 引き取り費用が不自然に安い(後から追加請求される可能性) 🚨 会社の実態が不明確🚨 担当者が頻繁に変わる 🚨 電話でしか連絡が取れない


5-5. 被害に遭ってしまったら

万が一被害に遭ってしまった場合は、以下の窓口に相談してください。

  • 消費者ホットライン:188

  • 国民生活センター:03-3446-1623

  • 警察相談窓口:#9110

  • 法テラス:0570-078374

契約から8日以内であれば、クーリングオフが可能な場合があります。



6. 山林処分にかかる費用を徹底比較

山林を処分する際にかかる費用を、方法別に詳しく比較します。

6-1. 相続土地国庫帰属制度の費用

①審査手数料

  • 14,000円/筆(収入印紙で納付)

②負担金(山林の場合)

面積

負担金の目安

500㎡

約24万円

1,000㎡

約26万円

5,000㎡

約40万円

10,000㎡(1ha)

約53万円

50,000㎡(5ha)

約97万円

③その他かかる可能性のある費用

  • 境界確認のための測量費用:50万円~

  • 登記事項証明書等の取得費用:数千円

  • 専門家(司法書士等)への依頼費用:5万円〜15万円

合計の目安

1,000㎡の山林の場合:

審査手数料 14,000円
負担金 約260,000円
書類取得費用 約5,000円
---
合計 約279,000円

※境界が明確な場合


6-2. 山林引き取りサービスの費用

民間の山林引き取りサービスの費用は、業者や山林の状態によって大きく異なります。

一般的な相場

山林の状態

引き取り費用の目安

境界明確・アクセス良好

35万円~

境界不明確

35万円〜100万円

遠隔地・アクセス困難

50万円〜150万円

建物・廃棄物あり

100万円〜

費用が高くなる要因

  • 境界が不明確

  • アクセス道路がない

  • 建物や廃棄物がある

  • 面積が広大

  • 急傾斜地

  • 共有者が多い

  • 樹木の越境

費用が安くなる要因

  • 境界が明確

  • アクセス良好

  • 更地状態

  • 単独所有

  • 需要がある立地(キャンプ向きなど)


6-3. 相続放棄の費用

相続放棄は最も費用がかからない方法です。

自分で手続きする場合

  • 戸籍謄本等の取得費用:数千円

  • 収入印紙:800円

  • 郵送費用:数百円

  • 合計:5,000円程度

司法書士に依頼する場合

  • 報酬:3万円〜5万円

  • 実費:数千円

  • 合計:3万円〜5万円程度


6-4. 売却できた場合

山林が売却できた場合は、費用ではなく収入が得られます。

売却価格の相場

山林の売却価格は、立地や条件によって大きく異なります。

条件

売却価格の目安(1㎡あたり)

純山林(山間部)

数円〜数十円

中間山林(郊外)

数十円〜数百円

市街地近郊

数百円〜数千円

例えば、1ヘクタール(10,000㎡)の純山林が1㎡あたり50円で売れた場合:

10,000㎡ × 50円 = 500,000円

ただし、仲介手数料(売買価格の5%程度)がかかります。

売却時にかかる費用

  • 仲介手数料:売買価格の5%〜

  • 登記費用:5万円〜10万円

  • 測量費用(必要な場合):50万円〜


6-5. 費用比較まとめ

方法

費用の目安

特徴

相続土地国庫帰属制度

25万円〜60万円

国が引き取るため安心

山林引き取りサービス

35万円〜150万円

要件が緩い、早い

相続放棄

5,000円〜5万円

全財産を放棄する必要あり

売却

仲介手数料等(収入あり)

買い手が見つかれば最善

どの方法が最もお得か?

一概には言えませんが、以下の順序で検討することをお勧めします。

  1. まず売却を試みる:森林組合や山林売買サイトに相談

  2. 売れなければ相続土地国庫帰属制度:要件を満たすか確認

  3. 要件を満たさなければ引き取りサービス:業者から見積もり



7. 山林の相続放棄という選択肢|メリット・デメリットと手続き

相続が発生した段階であれば、「相続放棄」という選択肢があります。

7-1. 相続放棄とは

相続放棄とは、被相続人(亡くなった方)の財産を一切相続しないことを家庭裁判所に申述する手続きです。

相続放棄をすると、その人は最初から相続人ではなかったものとして扱われます。


7-2. 相続放棄のメリット

①山林を引き継がなくて済む

相続放棄をすれば、山林を所有することなく、固定資産税や管理責任から免れることができます。

②費用がほとんどかからない

相続放棄の費用は、自分で手続きすれば5,000円程度、司法書士に依頼しても3〜5万円程度です。

③借金も相続しなくて済む

被相続人に借金があった場合、それも相続しなくて済みます。


7-3. 相続放棄のデメリット

①全ての財産を放棄しなければならない

相続放棄の最大のデメリットは、山林だけを放棄することができない点です。

預貯金や有価証券、不動産など、全ての相続財産を放棄することになります。

「山林だけ相続したくない」という場合は、相続放棄ではなく、相続土地国庫帰属制度や引き取りサービスを利用する必要があります。

②期限がある

相続放棄は、相続の開始を知った日から3ヶ月以内に手続きしなければなりません。

この期間を「熟慮期間」といいます。3ヶ月を過ぎると、原則として相続放棄はできなくなります。

ただし、特別な事情がある場合は、家庭裁判所に期間伸長の申立てをすることができます。

③次順位の相続人に負担が移る

あなたが相続放棄をすると、次順位の相続人に相続権が移ります。

例えば:

  • 子が全員相続放棄 → 親(直系尊属)に相続権が移る

  • 親もいない場合 → 兄弟姉妹に相続権が移る

山林の問題を次の人に押し付けることになるため、事前に相談・調整することをお勧めします。

④相続放棄しても管理責任が残る場合がある

2023年4月の民法改正により、相続放棄後の土地の管理について規定が変わりました。

改正民法第940条では、相続放棄をした者は、その放棄の時に相続財産に属する財産を現に占有している場合、相続人または相続財産清算人に引き渡すまで、自己の財産におけるのと同一の注意をもって保存しなければならないとされています。

つまり、山林を「現に占有」していた場合は、相続放棄後も一定の管理責任が残る可能性があります。


7-4. 相続放棄の手続き

Step 1:必要書類の準備

  • 相続放棄申述書

  • 被相続人の住民票除票または戸籍附票

  • 被相続人の死亡が記載された戸籍謄本

  • 申述人の戸籍謄本

  • 収入印紙800円分

  • 郵便切手(各家庭裁判所による)

Step 2:家庭裁判所への申述

被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に、書類を提出します。

Step 3:照会書への回答

家庭裁判所から照会書が届くので、回答して返送します。

Step 4:相続放棄申述受理通知書の受領

相続放棄が認められると、受理通知書が届きます。

Step 5:相続放棄申述受理証明書の取得

必要に応じて、受理証明書を取得します(有料)。


7-5. 相続放棄の注意点

①相続財産に手をつけない

相続放棄を予定している場合、相続財産に手をつけてはいけません。

以下のような行為をすると、単純承認(相続を承認したこと)とみなされ、相続放棄ができなくなる可能性があります。

  • 預貯金を引き出して使う

  • 不動産を売却する

  • 相続財産を処分する

  • 遺産分割協議に参加する

②3ヶ月の期限に注意

相続の開始を知った日から3ヶ月以内に手続きする必要があります。

「知った日」とは、被相続人が亡くなったことと、自分が相続人であることを知った日です。

③他の相続人との調整

相続放棄により次順位の相続人に相続権が移るため、事前に連絡・調整することをお勧めします。



8. 2024年施行|相続登記義務化で山林所有者が知るべきこと

2024年4月1日から、相続登記が義務化されました。山林所有者にとって重要な変更点を解説します。

8-1. 相続登記義務化とは

相続登記義務化とは、相続によって不動産を取得した場合、3年以内に相続登記をしなければならないという制度です。

対象となる不動産

  • 土地

  • 建物

山林も土地ですので、当然対象となります。


8-2. いつまでに登記が必要か

①2024年4月1日以降の相続

相続により不動産を取得したことを知った日から3年以内に登記が必要です。

②2024年4月1日より前の相続

過去の相続も対象です。2024年4月1日から3年以内(2027年3月31日まで)に登記が必要です。


8-3. 登記しないとどうなるか

正当な理由なく期限内に登記しない場合、10万円以下の過料が科される可能性があります。

「正当な理由」とは

以下のような場合は、正当な理由として認められる可能性があります。

  • 相続人が多数で、すべての相続人を把握するのに時間がかかる

  • 遺言の有効性が争われている

  • 相続人に重病人がいる

  • 相続人が海外にいる

単に「面倒だから」「費用がかかるから」という理由は認められません。


8-4. 相続人申告登記という選択肢

遺産分割協議が完了していない場合でも、相続人申告登記という簡易な手続きで義務を果たすことができます。

相続人申告登記とは

  • 自分が相続人であることを登記官に申し出る制度

  • 遺産分割協議が完了していなくても手続き可能

  • 必要書類が少なく、手続きが簡単

  • 戸籍謄本と本人確認書類で申請可能

注意点

相続人申告登記は、あくまで義務を果たすための暫定的な手続きです。

その後、遺産分割協議が完了したら、改めて正式な相続登記を行う必要があります。


8-5. 山林の相続登記の費用

①自分で手続きする場合

  • 登録免許税:固定資産税評価額の0.4%

  • 戸籍謄本等の取得費用:数千円

  • 合計:数千円〜数万円

②司法書士に依頼する場合

  • 報酬:3万円〜10万円

  • 登録免許税:固定資産税評価額の0.4%

  • 実費:数千円

  • 合計:5万円〜15万円程度

山林の場合の特例

山林は評価額が低いため、登録免許税も比較的安くなります。

例:評価額50万円の山林

登録免許税 = 500,000円 × 0.4% = 2,000円

8-6. 相続登記をしてから処分するべきか

山林を処分する場合、先に相続登記をすべきかどうかは、処分方法によって異なります。

相続登記が必要な場合

  • 売却する場合

  • 相続土地国庫帰属制度を利用する場合

  • 引き取りサービスを利用する場合

相続登記が不要な場合

  • 相続放棄する場合

いずれの方法で処分するにしても、相続登記義務化により、放置するという選択肢はなくなりました。



9. 山林処分の手続き完全マニュアル|必要書類から流れまで

山林を処分する際の具体的な手続きを、方法別に解説します。

9-1. 山林処分に共通して必要な書類

どの方法で処分する場合でも、以下の書類が必要になることが多いです。

①登記事項証明書(登記簿謄本)

法務局で取得します。オンラインでも請求可能です。

  • 手数料:600円/通

②固定資産税評価証明書

市区町村役場の税務課で取得します。

  • 手数料:300円程度/通

③固定資産税納税通知書(課税明細書)

毎年5月頃に届く納税通知書に、山林の明細が記載されています。

④公図

法務局で取得します。山林の位置を確認するための地図です。

  • 手数料:450円/通

⑤身分証明書

運転免許証やマイナンバーカードなど

⑥印鑑証明書

市区町村役場で取得します。

  • 手数料:300円程度/通

⑦戸籍謄本

相続の場合、被相続人と相続人の関係を証明するために必要です。


9-2. 相続土地国庫帰属制度の手続き詳細

必要書類

  1. 承認申請書

  2. 法務局指定の図面(土地の位置、範囲を示す)

  3. 土地の形状を示す写真

  4. 境界を示す写真

  5. 固定資産税評価証明書

  6. 登記事項証明書

  7. 印鑑証明書

手続きの流れ

  1. 法務局本局で事前相談(予約制)

  2. 必要書類の収集・作成

  3. 承認申請書の提出、審査手数料の納付

  4. 法務局による書類審査

  5. 実地調査(法務局担当者が現地確認)

  6. 承認または不承認の通知

  7. 承認の場合、負担金の通知

  8. 負担金の納付(通知から30日以内)

  9. 国庫帰属完了

所要期間

申請から国庫帰属まで、6ヶ月〜1年程度かかります。


9-3. 山林引き取りサービスの手続き詳細

一般的な流れ

  1. 問い合わせ・相談

    • 電話、メール、問い合わせフォーム等で連絡

    • 山林の概要を伝える

  2. 資料の提出

    • 登記事項証明書

    • 固定資産税納税通知書

    • 公図

    • 現地写真(可能であれば)

  3. 見積もりの提示

    • 業者から引き取り費用の見積もりが提示される

    • 必要に応じて現地調査

  4. 契約

    • 契約内容を確認し、契約締結

    • 引き取り費用の支払い(所有権移転登記完了後の場合もあり)

  5. 所有権移転登記

    • 司法書士等が手続き

    • 登記完了をもって引き取り完了

所要期間

1〜3ヶ月程度で完了することが多いです。


9-4. 売却の手続き詳細

森林組合・山林売買サイト経由の場合

  1. 相談・依頼

    • 森林組合または山林売買サイトに連絡

    • 山林の概要を伝える

  2. 調査・査定

    • 現地調査

    • 売却価格の査定

  3. 掲載・買い手探し

    • サイト等に掲載

    • 買い手からの問い合わせを待つ

  4. 交渉・契約

    • 買い手との条件交渉

    • 売買契約の締結

  5. 決済・引き渡し

    • 代金の授受

    • 所有権移転登記

所要期間

買い手が見つかるまで数ヶ月〜数年かかることがあります。


9-5. 相続放棄の手続き詳細

必要書類

  1. 相続放棄申述書

  2. 被相続人の住民票除票または戸籍附票

  3. 被相続人の死亡が記載された戸籍謄本

  4. 申述人の戸籍謄本

  5. 収入印紙800円

  6. 郵便切手(家庭裁判所による)

手続きの流れ

  1. 書類の準備

    • 戸籍謄本等を収集

    • 申述書を作成

  2. 家庭裁判所への申述

    • 被相続人の最後の住所地の家庭裁判所に提出

    • 郵送でも可能

  3. 照会書への回答

    • 裁判所から届く照会書に回答

    • 相続放棄の意思を確認される

  4. 受理通知書の受領

    • 相続放棄が認められると通知が届く

所要期間

1〜2ヶ月程度で完了します。



10. 【体験談】山林を処分した方々のリアルな声

実際に山林を処分された方々の体験談をご紹介します。


体験談①:相続土地国庫帰属制度を利用したAさん(60代・男性)

状況:北海道の山林約2ヘクタールを父から相続

「父が亡くなり、北海道に山林があることを初めて知りました。見に行ったこともない土地で、固定資産税は年間数千円でしたが、今後も払い続けることに抵抗がありました。 2023年に相続土地国庫帰属制度が始まったと知り、法務局に相談に行きました。境界は国土調査が済んでいて明確だったので、申請がスムーズに進みました。 審査手数料14,000円と負担金約60万円がかかりましたが、これで子供たちに負担を残さなくて済むと思うと、安いものだと感じています。」

ポイント

  • 国土調査済みで境界が明確だったことがスムーズな申請につながった

  • 子孫への負担を考えて決断


体験談②:山林引き取りサービスを利用したBさん(50代・女性)

状況:長野県の山林約3,000㎡を母から相続。境界が不明確。

「母から相続した山林は、境界が全く分からない状態でした。相続土地国庫帰属制度を使いたかったのですが、境界不明確では申請できないと言われました。 境界を確定させるには測量が必要で、費用が数十万円かかると言われ、途方に暮れていました。 そんな時、山林引き取りサービスを知り、相談しました。境界不明確でも引き取ってもらえるとのことで、費用は45万円でした。 測量して相続土地国庫帰属制度を使うより安く済み、時間も3ヶ月で完了しました。何より、悩んでいた山林の問題が解決して、気持ちが楽になりました。」

ポイント

  • 境界不明確な山林は相続土地国庫帰属制度が使えない

  • 引き取りサービスは要件が緩い

  • トータルコストと時間を比較して選択


体験談③:隣接地所有者に譲渡したCさん(70代・男性)

状況:静岡県の山林約5,000㎡を兄から相続

「兄から相続した山林は、隣の山林と接していました。隣の所有者は林業をしている方で、以前から『境界付近の木を切らせてほしい』という話がありました。 思い切って『無料で譲りますので、引き取ってもらえませんか』と相談したところ、快く引き受けてくださいました。 司法書士さんに依頼して登記手続きをしましたが、費用は5万円程度で済みました。お金を払うどころか、逆に引き取ってもらえて、本当にラッキーでした。」

ポイント

  • 隣接地所有者にとってメリットがあれば引き取ってもらえることがある

  • 無償譲渡でも相手にとってメリットがあれば成立する


体験談④:相続放棄を選択したDさん(40代・女性)

状況:疎遠だった叔父の相続で、山林と借金があることが判明

「10年以上連絡を取っていなかった叔父が亡くなり、突然相続の話が来ました。弁護士さんに調べてもらうと、山林のほかに数百万円の借金があることがわかりました。 山林は価値がほとんどなく、借金だけを引き継ぐことになりそうだったので、相続放棄を選びました。 3ヶ月という期限があり焦りましたが、司法書士さんに依頼して無事に手続きできました。費用は4万円程度でした。 結果的に、山林も借金も引き継がずに済みました。」

ポイント

  • 借金がある場合は相続放棄が有効

  • 3ヶ月の期限に注意

  • 専門家に依頼すれば確実



11. よくある質問(Q&A)30選

山林の処分に関するよくある質問にお答えします。

Q1. 山林の固定資産税はいくらですか?

A. 山林の固定資産税は、1ヘクタールあたり年間数千円程度です。評価額が30万円未満の場合は非課税となります。ただし、市街地に近い山林や宅地として評価される場合は高くなります。


Q2. 山林を放置するとどうなりますか?

A. 固定資産税の永続的な負担、管理責任・損害賠償リスク、不法投棄のターゲット化、相続時のトラブル、子孫への負の遺産などの問題が生じます。


Q3. 山林だけを相続放棄することはできますか?

A. できません。相続放棄は全ての相続財産を放棄する手続きです。山林だけを手放したい場合は、相続土地国庫帰属制度や引き取りサービスを利用してください。


Q4. 相続土地国庫帰属制度は誰でも利用できますか?

A. 相続または相続人に対する遺贈により土地を取得した人が利用できます。売買や贈与で取得した土地、法人は利用できません。


Q5. 相続土地国庫帰属制度の費用はいくらですか?

A. 審査手数料14,000円/筆と、負担金(山林は面積に応じて24万円〜)がかかります。1,000㎡の山林で合計約28万円程度です。


Q6. 境界が分からない山林でも処分できますか?

A. 相続土地国庫帰属制度は利用できませんが、民間の引き取りサービスであれば対応可能な場合があります。費用は高くなる傾向があります。


Q7. 山林の売却相場はいくらですか?

A. 立地や条件により大きく異なりますが、純山林で1㎡あたり数円〜数十円程度です。アクセスが良く需要がある山林は高くなります。


Q8. 不動産会社は山林を取り扱ってくれますか?

A. 一般的な不動産会社は取り扱わないことが多いです。山林専門の業者や森林組合に相談してください。


Q9. 山林引き取りサービスの費用はいくらですか?

A. 35万円〜150万円程度と幅があります。境界の明確さ、アクセス、面積、建物の有無などにより異なります。


Q10. 悪質な引き取り業者を見分ける方法は?

A. 会社情報の確認、契約内容の透明性、管理方針、専門家の関与などを確認してください。「今すぐ契約」と急かす業者には要注意です。


Q11. 相続登記義務化で何が変わりましたか?

A. 2024年4月1日から、相続を知った日から3年以内に登記しなければ、10万円以下の過料が科される可能性があります。過去の相続も対象です。


Q12. 相続登記の費用はいくらですか?

A. 自分で手続きすれば数千円〜数万円、司法書士に依頼すれば5万円〜15万円程度です。山林は評価額が低いため、登録免許税も比較的安くなります。


Q13. 相続放棄の期限は?

A. 相続の開始を知った日から3ヶ月以内です。期間伸長の申立ても可能ですが、事前に手続きが必要です。


Q14. 相続放棄した後も管理責任がありますか?

A. 2023年の民法改正により、相続放棄時に財産を「現に占有」している場合は、引き渡しまで保存義務があります。


Q15. 森林組合は山林を買い取ってくれますか?

A. 森林組合自体が買い取ることは稀ですが、林業者への売却をあっせんしてくれる場合があります。林業向きの山林であれば相談の価値があります。


Q16. 原野商法の被害に遭った土地も処分できますか?

A. 可能です。相続土地国庫帰属制度の対象となりますし、引き取りサービスでも対応可能です。


Q17. 共有の山林はどうすれば処分できますか?

A. 相続土地国庫帰属制度は共有者全員の共同申請が必要です。引き取りサービスも基本的に共有者全員の同意が必要です。


Q18. 自治体は山林を引き取ってくれますか?

A. ほとんどの自治体は引き取りません。公園計画地に隣接している場合など、例外的なケースでのみ可能性があります。


Q19. 山林にある建物はどうすればいいですか?

A. 相続土地国庫帰属制度では建物がある土地は対象外です。建物を解体するか、建物ごと引き取ってくれる業者を探す必要があります。


Q20. 山林の境界を確定させる費用は?

A. 測量費用は山林の面積や状況により50万円以上かかることがあります。


Q21. 山林に倒木がある場合は処分できますか?

A. 相続土地国庫帰属制度では「通常の管理の範囲」であれば問題ありませんが、大量の倒木がある場合は不承認となる可能性があります。


Q22. 竹林は処分できますか?

A. 竹林が繁茂して管理困難な状態の場合、相続土地国庫帰属制度では不承認となる可能性が高いです。引き取りサービスでは対応可能な場合があります。


Q23. 処分にかかる期間は?

A. 相続土地国庫帰属制度は6ヶ月〜1年、引き取りサービスは1〜3ヶ月、売却は買い手次第で数ヶ月〜数年です。


Q24. 山林の処分で税金はかかりますか?

A. 売却して利益が出た場合は譲渡所得税がかかります。引き取りサービスで費用を払って手放す場合は、基本的に税金はかかりません。


Q25. 遠方の山林を処分するには?

A. 郵送やオンラインで手続きできる業者もあります。現地確認は業者に依頼し、委任状で手続きを進めることも可能です。


Q26. 山林の相続税評価額はどう計算しますか?

A. 純山林は「倍率方式」、市街地山林は「宅地比準方式」で評価します。詳細は税理士にご相談ください。


Q27. 山林を相続した場合の相続税は?

A. 相続財産全体の評価額と相続人の数によります。山林単体の評価額は低いことが多いため、山林だけで相続税が発生するケースは稀です。


Q28. 山林引き取りサービスの業者はどう探せばいいですか?

A. インターネットでで検索するか、司法書士・行政書士に相談すると紹介してもらえることがあります。


Q29. 処分した後に問題が起きたら?

A. 相続土地国庫帰属制度で国に移転した場合は、国が管理するため問題は起きにくいです。引き取りサービスの場合は、契約内容と業者の対応によります。


Q30. 専門家に相談するならどこがいいですか?

A. 相続土地国庫帰属制度は法務局または司法書士、相続放棄は家庭裁判所または司法書士・弁護士、引き取りサービスは専門業者に相談してください。



12. まとめ|山林処分で後悔しないために

最後に、山林処分で後悔しないためのポイントをまとめます。

12-1. 処分方法の選び方フローチャート

山林を手放したい
    ↓
相続発生前 or 発生後?
    ↓
【相続発生前の場合】
    ↓
売却を試みる
    ↓
売れた → 完了
売れない ↓
    ↓
引き取りサービスを検討

【相続発生後の場合】
    ↓
全財産を放棄してもよい?
    ↓
はい → 相続放棄(3ヶ月以内)
いいえ ↓
    ↓
売却を試みる
    ↓
売れた → 完了
売れない ↓
    ↓
境界は明確?
    ↓
はい → 相続土地国庫帰属制度
いいえ → 引き取りサービス

12-2. 処分を先延ばしにしないことが重要

山林の処分で最も重要なのは、先延ばしにしないことです。

  • 放置すればするほど、境界が不明確になる

  • 相続が発生すると、相続人が増えて処分が困難になる

  • 将来的に制度や市場環境が変わる可能性がある

今この瞬間が、山林を処分する最善のタイミングです。


12-3. 複数の方法を比較検討する

一つの方法に固執せず、複数の方法を比較検討してください。

  • 森林組合や山林売買サイトで売却の可能性を探る

  • 相続土地国庫帰属制度の要件を確認する

  • 引き取り業者から見積もりを取る

時間と費用のバランスを考え、最適な方法を選択しましょう。


12-4. 信頼できる専門家に相談する

山林の処分は、法律や税金が絡む複雑な問題です。

  • 司法書士:相続登記、相続放棄、相続土地国庫帰属制度の申請代行

  • 税理士:相続税、譲渡所得税の相談

  • 弁護士:トラブル対応、法的アドバイス

  • 山林引き取り専門業者:引き取りサービスの相談

一人で悩まず、専門家の力を借りることをお勧めします。


12-5. 子孫のために今行動を

山林を放置することは、子供や孫に「負の遺産」を押し付けることを意味します。

あなたの代で山林の問題を解決しておけば、子孫は余計な負担を負わずに済みます。

大切な家族のために、今行動を起こしましょう。


本記事の情報は2025年1月時点のものです。法改正や制度変更により、内容が変わる可能性があります。最新情報は各機関にお問い合わせください。

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