相続した山林の売却|価格の調べ方・費用・売れない場合の処分方法

更新日:10月2日
「親から山林を相続したが、使い道がなく管理に困っている」
「山林を売却したいが、地元の不動産屋に断られてしまった」
「固定資産税だけを払い続けている『負動産』を手放したい」
山林の売却では、道路からの出入り、境界、法令上の制限、売却にかかる費用などを確認することから始めます。
この記事では、山林の価格の調べ方や売却の手順、売却が難しい場合の処分方法を解説します。
1. なぜ「山林売却」は難しいのか? 3つの壁
まず、山林売却が一般的な不動産売却よりも難航しやすい理由を理解しておきましょう。
① 境界線が曖昧(境界非明示)
山林では、隣地との境界杭がなかったり、図面が現況と異なっていたりすることがあります。売却条件によっては測量を求められるため、必要な範囲と費用を事前に確認しましょう。
② 需要が限定的
キャンプなどの需要がある場合もありますが、電気・水道が通っていない土地や道路から離れた土地は、買い手が限られることがあります。
③ 取り扱う不動産会社が限られる
山林は調査に手間がかかる一方、価格が低い場合は仲介手数料も低くなるため、取り扱わない不動産会社もあります。取り扱いの範囲と費用を、相談先ごとに確認しましょう。
2. 山林の価格を調べるときの確認点
山林の価格は、土地と立木の条件や、買い手の用途によって変わります。
立地ごとの確認点
次の4つの立地の例で、確認する条件を比べましょう。
山林の種類 | 特徴 | 確認する条件 | 費用・価格の確認点 |
都市近郊林地 | 市街地に近く、宅地転用の可能性がある | 市街地との距離、法令上の制限 | 道路・造成の条件と費用 |
農村林地 | 農村地帯にある山林 | 用途、道路、法令上の制限 | 近隣の取引事例 |
林業用林地 | スギやヒノキなど木材生産用の山 | 材積と搬出の条件 | 伐採・運搬の費用 |
原野・保安林 | 保安林は伐採などに許可等が必要。原野は立地や用途による | 指定の有無と、利用できる用途 | 境界の確認と管理の手間 |
※原野と保安林は、法的に同じ区分ではありません。価格は、接道状況や傾斜、立木の種類などによって変わります。
固定資産税評価額との違い
固定資産税評価額は課税のための評価で、実際の売却価格を直接示すものではありません。価格の参考資料は、国土交通省「不動産情報ライブラリ」の不動産取引価格情報で「林地」を選び、所在地や周辺地域の事例を確認する方法があります。都道府県地価調査の林地価格も参考になりますが、接道・傾斜・面積・樹木などの条件が異なるため、そのまま自分の山林の売却価格にはできません。
3. 山林を売却・処分する3つの方法
山林を手放す方法は、大きく分けて3つあります。ご自身の状況に合わせて選びましょう。
① 仲介売却
不動産会社に買い手を探してもらう方法です。
メリット:募集の条件や価格を決めて、買い手を広く探せる。
デメリット:買い手が見つかるまでの期間は物件による。測量を求められる場合がある。
② 買取
専門業者に直接買い取ってもらう方法です。
メリット:買い手を探す期間が不要。日程や、契約不適合責任の範囲は契約で確認する。
デメリット:価格は買取の条件による(仲介の場合と比べて確認する)。
③ 有償引き取り・処分(売却が難しい場合の選択肢)
売却が難しい場合の選択肢です。引取りを行う事業者に費用を支払い、所有権を移転します。引取りの条件、費用、契約内容を確認しましょう。
メリット: 所有権を移し、今後の保有・管理負担を減らせる。未納税や契約上の義務などは別途確認が必要。
デメリット: 費用(処分料)がかかる。
4. 山林売却にかかる税金と費用
売却時には、売却代金が入るだけでなく、諸費用も発生します。
譲渡所得(個人・土地): 売却益が出た場合に課税されます。譲渡した年の1月1日時点で所有期間が5年を超えれば20.315%、5年以下なら39.63%(所得税・住民税・復興特別所得税の合計。復興特別所得税は2037年まで)。立木を取得から5年を超えて譲渡した場合は山林所得、5年以内は事業所得または雑所得です。
仲介手数料:仲介会社を利用した場合に発生します。宅地建物取引業法の対象となる取引には上限があり、金額は媒介契約で確認します。
登録免許税:所有権移転登記にかかる税金です。負担者は契約で決めます。
測量費:境界確定を行う場合にかかります。必要性・範囲・費用を事前に確認しましょう。
Point:宅地建物取引業法の対象かは、登記の地目だけでなく、建物の敷地に使う目的か、用途地域内かなどで判断されます。売買価格800万円以下の宅地・建物の媒介では、費用を考慮して依頼者の一方から33万円(税込)を上限に受け取れる特例があり、事前の合意が必要です。すべての山林に一律に当てはまるわけではありません。
5. 相続土地国庫帰属制度との比較
2023年から始まった「相続土地国庫帰属制度」は、相続または相続人への遺贈で取得した土地を、要件を満たせば国に引き渡せる制度です。山林で利用できるかは、取得経緯や土地の現況によって個別に確認します。
審査手数料: 1筆あたり14,000円
負担金: 森林は面積区分に応じて算定。登記地目だけでなく現況等により区分されます。
主な要件: 建物がある土地や境界が明らかでない土地などは申請できません。崖は、勾配30度以上かつ高さ5m以上で通常の管理に過分な費用・労力を要する場合に不承認の対象です。
国庫帰属には土地の状態や取得経緯に関する要件があるため、申請前に法務局で確認しましょう。制度を利用できない場合は、売却や引取りなどの条件を個別に比較検討してください。
6. 不動産会社へ売却を依頼する場合の流れ
不動産会社に売却を依頼する場合の一般的な流れは次のとおりです。
売却相談・査定の依頼
売却を依頼する不動産会社に、所在地や地番などの情報を伝えます。査定の方法や費用は依頼先に確認してください。
現地調査(必要な場合)
現地の状況、接道、立木の状態を確認します。
売却方法・条件の確認
提示された価格、費用、契約条件を確認します。
売買契約の締結
契約書を作成し、署名・捺印を行います。
決済・引き渡し
代金の決済、所有権移転登記(名義変更)、引渡しを、契約で定めた日程で行います。
7. 山林の売却・処分を検討している方へ
一般社団法人日本不動産管財では、0円でも売却が困難な山林、原野、別荘地などの不動産の処分について、サポート業務をおこなっております。ご売却の可能性について、売却が可能なのか、専門家による確認を第三者目線でおこないます。※価格を査定するサービスではございません。売却見込みの有無を確認します。


