山林を相続したくない・させたくない方へ|相続放棄・保存義務・処分方法

更新日:10月3日
山林だけを相続放棄することはできません。他の財産も含めて放棄するか、相続して山林だけを売却・処分するかを、財産全体と費用から検討します。
「親が所有している山林を相続したくない」「子どもに山林を相続させたくない」――このようなお悩みはありませんか。
山林は立地や状態によって活用が難しく、管理に手間と費用がかかる場合があります。また、2024年4月から相続登記が義務化され、相続で不動産を取得したことを知った日から3年以内に申請しないと、正当な理由がない限り10万円以下の過料の対象となることがあります。
本記事では、山林の相続を避けたい方に向けて、相続放棄の方法と注意点、放棄後に残る保存義務、山林相続のメリット・デメリット、山林を手放す方法を解説します。
【この記事でわかること】
山林を相続したくない場合に検討する選択肢
相続放棄の具体的な手続きと期限(3ヶ月ルール)
2023年民法改正による相続放棄後の保存義務の変更点
山林相続のメリット・デメリット比較
相続土地国庫帰属制度の活用方法と費用
山林引き取りサービスの選び方と注意点
1. 山林を相続したくない・させたくない理由とは
山林の相続を避けたいと考える主な理由は、次のとおりです。
1-1. 管理の負担が大きい
山林は、状態に応じて草刈りや間伐、境界の確認などの作業が必要になることがあります。遠方に住んでいる場合は、定期的な管理が難しくなります。業者に依頼する費用は、面積、傾斜、作業内容によって異なるため、見積りで確認しましょう。
また、管理を怠ると以下のようなリスクが生じます:
土砂崩れや倒木で近隣に被害が生じた場合の損害賠償責任(原因や管理状況による)
山火事が発生した場合の対応(責任の有無は原因による)
不法投棄の被害(自治体に通報し、対応を相談)
害獣・害虫の発生による周辺環境への影響
1-2. 固定資産税・相続税の負担
山林を所有していると、固定資産税が課税される場合があります。同じ市町村内で同じ人が所有する土地の課税標準額の合計が30万円未満の場合は、免税点未満として課税されません。税額は納税通知書で確認しましょう。
【固定資産税の計算式】
固定資産税 =課税標準額 × 税率(標準税率1.4%)
相続税は山林単体ではなく、債務等を控除し、加算対象となる贈与財産等を加えた正味の遺産額が、基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を超える場合に課税されます。
1-3. 売却が困難
山林は、立地や状態によって買い手が見つかりにくい場合があります。次のような山林は、売却が難しくなることがあります:
アクセスが悪い場所にある山林
境界が不明確な山林
急傾斜地や崖地を含む山林
林道が整備されていない山林
共有名義になっている山林
1-4. 子孫への負担の連鎖
山林を相続すると、将来的には自分の子どもや孫にその山林が引き継がれます。活用できない山林を相続させることは、子孫に「負の遺産」を押し付けることになりかねません。
相続人の間で誰が山林を引き継ぐかが決まらず、話し合いが難航することもあります。
2. 山林相続のメリット・デメリット徹底比較
山林の相続を検討する際には、メリットとデメリットを正確に把握することが重要です。
2-1. 山林を相続するメリット
① 木材の売却による収益化
山林に生育している木材に価値がある場合、伐採・売却することで収益を得られる可能性があります。木材の価値は、樹種、樹齢、搬出のしやすさ、市況によって異なります。
② 賃貸による活用
自治体や林業事業者、森林組合などに山林を貸し出すことで、賃料収入を得られる可能性があります。ただし、立地や状態によっては借り手が見つからない場合もあります。
③ レジャー施設としての活用
キャンプ場やBBQ場、プライベートな別荘地として活用できる可能性があります。ただし、これらの事業を始めるには初期投資と各種許認可が必要です。
④ 固定資産税が比較的低い
山林の固定資産税は、評価額によっては負担が比較的軽い場合があります。同じ市町村内で同じ人が所有する土地の課税標準額の合計が免税点(30万円)未満であれば、固定資産税は課税されません。
2-2. 山林を相続するデメリット
① 管理コストと労力の負担
間伐や枝打ち、倒木の処理などを業者に依頼する場合、費用は次のような条件で変わるため、見積りで確認しましょう:
作業する面積と範囲
傾斜や作業道の有無など、現地の条件
伐採した木の搬出・処分の方法
② 災害リスクと損害賠償責任
土砂崩れや倒木などで近隣に被害が生じた場合、損害賠償責任を問われることがあります。民法717条は、土地の工作物の設置・保存や、竹木の栽植・支持に瑕疵がある場合の責任を定めています(占有者が必要な注意をしていた場合は所有者が責任を負います)。このほか、故意・過失による権利侵害などがあれば、民法709条に基づく責任を負うこともあります。所有しているだけで、あらゆる災害の損害を負うわけではありません。
③ 売却・処分の困難さ
山林は不動産市場での需要が限られ、売却が難しい場合があります。不動産会社によっては山林を取り扱わないこともあります。
④ 相続登記の義務化(2024年4月~)
2024年4月1日より、相続登記が義務化されました。相続によって不動産を取得したことを知った日から3年以内に申請する必要があり、正当な理由なく怠ると10万円以下の過料の対象となることがあります。2024年4月1日より前に発生した相続にも適用され、その場合の期限は、2027年3月31日と、取得を知った日から3年のいずれか遅い日です。
2-3. メリット・デメリット比較表
メリット | デメリット |
木材売却で収益化の可能性 | 管理に手間と費用がかかる |
賃貸による活用 | 売却が難しい場合がある |
レジャー施設への転用 | 災害時の損害賠償リスク |
固定資産税が比較的低い | 子孫に負担が引き継がれる |
【結論】活用の見込みがない山林は、管理の負担や費用がメリットを上回ることがあります。「将来的に活用できるか」「管理を継続できるか」を慎重に検討しましょう。
3. 山林の相続放棄とは?手続きと注意点
山林を相続しない方法として「相続放棄」があります。ただし、ほかの財産も相続できなくなるため、相続して山林だけを処分する方法と比較して選びます。ここでは相続放棄の手続きと重要な注意点を解説します。
3-1. 相続放棄とは
相続放棄とは、被相続人(亡くなった方)の財産を一切相続しないことを選択する法的手続きです。相続放棄をすると、「最初から相続人ではなかった」という扱いになります(民法第939条)。
重要な点は、山林だけを相続放棄することはできないということです。相続放棄をする場合は、預貯金や株式などのプラスの財産も含めて、すべての相続財産を放棄することになります。
3-2. 相続放棄の期限【3ヶ月ルール】
相続放棄には厳格な期限があります。
【相続放棄の期限】自己のために相続の開始があったことを知った時から原則3か月以内(民法第915条)
「自己のために相続の開始があったことを知った時」とは、被相続人が亡くなったことと、自分が相続人になったことを知った時をいいます。先順位の相続人全員が放棄して相続人になった場合は、そのことを知った時から数えます。3か月以内に判断できない場合は、期間内に家庭裁判所へ期間の伸長を申し立てることができます。
この期限を過ぎると、原則として相続放棄はできなくなり、自動的に相続したもの(単純承認)とみなされます。期限内でも、相続財産を処分すると単純承認とみなされることがあります(民法921条)。
3-3. 相続放棄の手続き方法
相続放棄は、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に申述することで行います。
【必要書類】
相続放棄申述書
被相続人の住民票除票または戸籍附票
被相続人の死亡の記載のある戸籍謄本(相続関係によって追加の戸籍が必要)
申述人(相続放棄する人)の戸籍謄本
収入印紙800円分(申述人1人につき)
郵便切手(裁判所により異なる)
【手続きの流れ】
家庭裁判所に相続放棄申述書と必要書類を提出
家庭裁判所から照会書が届くことがある(裁判所により異なる)
照会書に回答して返送
「相続放棄申述受理通知書」が届けば完了
3-4. 相続放棄のメリット
所有者としての管理責任を負わない:放棄の時に現に占有していた場合は、引き渡すまで保存義務が残る(後述)
固定資産税を負担しない:山林の所有者にならないため、所有者として固定資産税を負担しません
相続税:相続財産を取得しないため原則として課税されませんが、自分が受取人の生命保険金などを受け取った場合は、相続税の対象になることがあります
借金も相続しない:被相続人の債務(借金)も相続しないで済みます
3-5. 相続放棄のデメリット
すべての財産を放棄:山林だけでなく、預貯金・株式などのプラスの財産も相続できない(自分が受取人の生命保険金は受け取れる)
撤回不可:一度相続放棄が受理されると、原則として撤回できません
次順位への影響:同じ順位の相続人が全員いなくなると、次の順位の相続人に相続権が移る
相続税の非課税枠・控除:生命保険金を受け取っても非課税限度額は適用されず、債務控除も原則として受けられない(実際に負担した葬式費用は控除できる場合あり)
4. 相続放棄後の保存義務【2023年民法改正で変更】
相続放棄をすれば山林の管理から完全に解放される――と思われがちですが、放棄の時に山林を現に占有していた場合は、相続放棄後も保存義務が残ります。この点は2023年4月の民法改正で内容が変更されました。
4-1. 改正前の問題点
2023年4月1日の民法改正前は、相続放棄をした者は「相続財産の管理を継続しなければならない」とされていました(旧民法第940条)。しかし、この規定には以下の問題がありました:
相続人全員が放棄した場合、いつまで管理すればよいのか不明確
遠方にある山林でも管理義務を負うのか不明確
「管理」の具体的な内容が不明確
4-2. 改正後の規定(2023年4月1日施行)
民法改正により、相続放棄後の管理義務は以下のように明確化されました:
【改正後の民法第940条】相続の放棄をした者は、その放棄の時に相続財産に属する財産を「現に占有している」ときは、相続人又は相続財産の清算人に対して当該財産を引き渡すまでの間、自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産を「保存」しなければならない。
4-3. 改正のポイント
① 「現に占有している」場合に限定
改正前は相続財産全般に管理義務がありましたが、改正後は放棄の時に「現に占有している」財産に限定されました。遠方にある、訪れたことがないといった事情だけでは判断されず、放棄の時の状況によって個別に判断されます。
② 「管理」から「保存」への変更
「管理」という広い概念から「保存」という必要最小限の義務に変更されました。「保存」とは、財産を滅失させたり損傷させたりしないという意味です。
③ 引渡しまでの期間限定
相続人または相続財産清算人に財産を引き渡すまでの間に限り義務を負う旨が明示されました。
4-4. 相続人全員が放棄した場合
相続人全員が相続放棄をした場合、山林は「相続人不存在」の状態となります。相続財産清算人による清算手続を経て、残った財産が国庫に帰属します。放棄しただけで国が管理を始めるわけではありません。
放棄の時に山林を現に占有していた人は、選任された相続財産清算人などに引き渡すまで保存義務を負います。
相続財産清算人の選任申立ては、利害関係人(債権者など)または検察官が行います。申立てには収入印紙800円などの費用がかかり、相続財産で管理費用などを賄えないと見込まれる場合は、家庭裁判所が定める予納金が必要です。清算人の選任は、相続放棄とは別の手続きです。
【注意】山林を「現に占有している」かどうかの判断は個々のケースにより異なります。相続放棄を検討している場合は、事前に弁護士などの専門家に相談することをお勧めします。

5. 山林を相続した後に手放す方法
相続放棄の期限(原則3か月)を過ぎてしまった場合や、他の財産は相続したいが山林だけを手放したい場合には、以下の方法を検討します。
5-1. 売却する
山林を売却できれば、管理義務から解放されるだけでなく、売却代金を得られます。売却先としては以下が考えられます:
隣接する山林の所有者
林業事業者・森林組合
山林専門の不動産会社
山林マッチングサイト
ただし、山林は買い手が見つかりにくい場合があります。売却先ごとに取り扱う山林の条件は異なり、相談できる窓口があることと買い手が見つかることは別です。境界が不明確な場合は、買い手との話し合いで測量などが必要になることもあります。
5-2. 寄付する
山林を自治体や公益法人に寄付するという方法もあります。ただし、寄付を受け入れてもらえるかどうかは相手方の判断次第です。個人や法人に寄付する場合は、受け取る側や寄付する側に税金がかかることもあります。
自治体への寄付:受け入れは、利用目的や管理負担などの条件によって自治体ごとに判断される
隣地所有者への寄付:管理の一体化ができるため、受け入れてもらえる可能性あり
公益法人への寄付:法人の事業目的や受け入れ条件によって判断される
5-3. 相続土地国庫帰属制度を利用する
2023年4月27日より、「相続土地国庫帰属制度」がスタートしました。これは、相続または相続人への遺贈によって取得した土地を、一定の要件を満たし負担金を支払うことで、国に引き取ってもらえる制度です。共有地は、共有者のうち1人でも相続等で取得していれば、全員で共同申請できます。
【制度のメリット】
相続放棄と異なり、山林だけを手放すことができる
国が引き取るため、安心感がある
他の相続財産は相続したまま利用可能
【制度の要件】
ただし、この制度には要件があり、以下に該当する土地は引き取ってもらえません:
<却下事由(申請が受け付けられない土地)>
建物がある土地
担保権や使用収益権が設定されている土地
現に通路として使われている土地など、他人による使用が予定される土地(政令で定めるもの)
特定有害物質により汚染されている土地
境界が明らかでない土地や、所有権の存否・帰属・範囲に争いがある土地
<不承認事由(審査で不承認となる土地)>
勾配30度以上かつ高さ5m以上の崖があり、通常の管理に過分な費用・労力を要する土地
通常の管理・処分を阻害する工作物・樹木などが地上にある土地(立木があるだけで不承認にはならない)
除去しなければ通常の管理・処分ができない有体物が地下にある土地
隣接地の所有者等との争訟によらなければ通常の管理・処分ができない土地(政令で定めるもの)
その他、通常の管理・処分に過分な費用・労力がかかる土地
【費用】
審査手数料:1筆あたり14,000円
負担金(現況が森林の場合):面積に応じた計算式で算定(例:1,000㎡で261,000円)
【注意】測量や境界確定書の作成は必須ではありませんが、境界を現地で示せ、隣接地の所有者と境界の認識に相違がないことが必要です。まずは法務局に相談しましょう。
5-4. 山林引き取りサービスを利用する
売却や寄付が難しく、相続土地国庫帰属制度も利用できない場合の選択肢として、「山林引き取りサービス」があります。これは、引き取り費用を支払うことで、山林の所有権を引き取り業者に移転するサービスです。
【山林引き取りサービスの特徴と確認点】
国庫帰属制度とは別に、依頼先が対象となる山林や条件を判断する
境界が不明確な山林や、相続以外で取得した山林を対象とするかは依頼先ごとに異なる
費用総額、追加費用が生じる条件、引き取り後の管理の扱いを確認する
所有権移転までの期間は、依頼先や物件によって異なる
6. 山林引き取りサービスを選ぶ際の注意点
山林引き取りサービスは便利な選択肢ですが、業者選びには十分な注意が必要です。
6-1. 悪質な業者に注意
残念ながら、山林引き取りサービスを謳う業者の中には、引き取った後の土地を適切に管理せず放置する悪質な業者も存在します。
【契約前に注意したい点】
費用の総額や追加費用が生じる条件の説明がない
引き取り後の土地管理について説明がない
会社の実態が不明確(住所が不明、連絡が取れないなど)
契約を急がせる、即決を迫る
契約内容や所有権移転の時期を書面で示さない
6-2. 信頼できる業者の選び方
引き取り後の管理体制を確認する:引き取った土地をどのように管理するのか、具体的な説明を求めましょう
会社の実態を確認する:登記情報や会社概要、代表者情報などを確認しましょう
口コミや評判を調べる:インターネットで業者名を検索し、評判を確認しましょう
契約書の内容を確認する:不明な点があれば必ず質問し、納得してから契約しましょう
7. 一般社団法人日本不動産管財の無料調査
一般社団法人日本不動産管財では、0円でも売却が困難な山林、原野、別荘地などの不動産の処分について、サポート業務をおこなっております。
7-1.調査内容
①ご売却の可能性について
ご売却の可能性について、売却が可能なのか、専門家による確認を第三者目線でおこないます。※価格を査定するサービスではございません。売却見込みの有無を確認します。
②相続のリスク、負担金
相続のリスク、負担金を算出します。
③国庫帰属制度や、自治体への寄付の対象
国庫帰属制度や、自治体への寄付の対象となる不動産か、調査します。
④引取条件
万が一、不動産の処分が困難な場合、当社団で引き取りが可能な場合がございます。引取条件をご提示します。
7-2.無料調査
当社団では、処分困難な不動産についてお悩みのご相談者様が、まず現状と選択肢を把握できるよう、各種公的資料や不動産情報を基に初期調査を無料で行っております。判断材料を提示し、ご相談者様の意思決定を支援いたします。
▶ ホームページ:https://www.japan-kanzai.com
8. 山林を相続させたくない場合の生前対策
子どもに山林を相続させたくない場合は、生前に対策を講じておくことが重要です。
8-1. 生前に売却・処分する
ご自身が元気なうちに山林を売却または処分しておく方法があります。生前に処分しておけば、相続財産から山林がなくなり、相続人が山林を相続する必要がなくなります。なお、生前に相続放棄をすることはできません。
8-2. 遺言書を作成する
山林の相続先を遺言書で指定しておくことも一つの方法です。ただし、指定された人が相続放棄などをすれば引き継がれないため、遺言だけで負担の問題が解消するとは限りません。
8-3. 家族で事前に話し合う
山林の相続について、家族で事前に話し合っておくことが重要です。話し合いを通じて、以下の点を確認しておきましょう:
山林の現状(場所、面積、境界の状況など)
固定資産税や管理費用の実態
相続人それぞれの意向
生前に処分する場合の費用負担
9. よくある質問(FAQ)
Q1. 山林だけを相続放棄することはできますか?
A. できません。相続放棄は、すべての相続財産を放棄する手続きです。山林だけを選んで放棄することはできません。山林のみを手放したい場合は、相続した後に売却や相続土地国庫帰属制度、山林引き取りサービスなどを利用する必要があります。
Q2. 相続放棄の期限を過ぎてしまいました。どうすればよいですか?
A. 原則として3ヶ月の期限を過ぎると相続放棄はできません。ただし、「相続財産がないと信じ、かつ信じることに相当な理由がある」場合など、例外的に期限後も相続放棄が認められるケースがあります。まずは弁護士に相談することをお勧めします。期限を過ぎた場合は、売却や相続土地国庫帰属制度、山林引き取りサービスなどで山林を手放すことを検討しましょう。
Q3. 相続放棄をすれば、山林の管理義務は完全になくなりますか?
A. 完全になくなるとは限りません。放棄の時に山林を現に占有していた場合は、相続人または相続財産清算人に引き渡すまで、自己の財産と同一の注意をもって保存する義務があります(民法940条)。現に占有しているかどうかは、遠方にある、訪れたことがないといった事情だけでなく、放棄の時の状況によって個別に判断されるため、専門家に相談することをお勧めします。
Q4. 相続土地国庫帰属制度は山林にも使えますか?
A.相続または相続人への遺贈で取得した山林は、土地の要件を確認したうえで申請を検討できます。境界が明らかでない土地は却下されますが、測量や境界確定書の作成は必須ではなく、境界を現地で示せて隣接地の所有者と争いがなければ対象になり得ます。まずは法務局に相談することをお勧めします。
Q5. 山林引き取りサービスの費用はいくらくらいですか?
A. 物件の状況(場所、面積、境界の状況、アクセスなど)や依頼先によって異なります。金額だけでなく、費用総額、追加費用が生じる条件、所有権移転の時期、引き取り後の管理の扱いを確認しましょう。
Q6. 相続人全員が相続放棄した場合、山林はどうなりますか?
A. 相続人全員が相続放棄した場合、山林は「相続人不存在」の状態となります。利害関係人または検察官が家庭裁判所に「相続財産清算人」の選任を申し立て、清算人による財産処理を経て、最終的に残った財産が国庫に帰属します。ただし、相続財産で管理費用などを賄えないと見込まれる場合は申立てに予納金が必要となり、誰も申立てをしなければ、山林が放置される可能性もあります。
10. まとめ
山林の相続は、多くの方にとって悩ましい問題です。本記事の内容をまとめると、以下のようになります。
【山林を相続したくない場合の選択肢まとめ】
方法 | メリット | デメリット・注意点 |
相続放棄 | 山林を含む相続財産を引き継がない | 全財産を放棄。原則3か月の期限。放棄時に現に占有していれば保存義務 |
売却 | 売却代金を得られる | 買い手が見つかりにくい |
国庫帰属制度 | 山林だけ手放せる、国の制度 | 取得経緯と土地の要件。審査手数料と負担金 |
引き取りサービス | 対象・条件は依頼先ごとに判断 | 費用がかかる。総額・追加費用・移転時期を確認 |
山林の相続問題は、放置すればするほど複雑になり、解決が難しくなります。2024年4月からは相続登記が義務化され、山林でも、相続による取得を知った日から3年以内に申請しないと、正当な理由がない限り過料の対象となることがあります。
早めに専門家に相談し、最適な解決方法を見つけることが大切です。


