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山林売却の完全ガイド|売れない山を確実に手放す7つの方法【2026年最新版】

  • 執筆者の写真: 一般社団法人日本不動産管財
    一般社団法人日本不動産管財
  • 2025年12月30日
  • 読了時間: 19分

更新日:4 日前

はじめに|山林を売りたいあなたへ

「相続した山林を手放したい」「固定資産税の負担から解放されたい」「子どもたちに管理の負担を残したくない」

このようなお悩みを抱えている山林所有者の方は、年々増加しています。

日本の国土面積の約67%を占める森林のうち、約58%は私有林です。高度経済成長期に「山を持っていれば儲かる」と言われた時代に購入された山林の多くが、現在は相続を経て、活用できないまま放置されています。

山林売却の現実は厳しいです。

一般的な不動産会社に相談しても「山林は取り扱っていません」と断られ、森林組合に相談しても「買い手が見つかりません」と言われることがほとんどです。

しかし、山林を処分する方法は「売却」だけではありません。

本記事では、山林売却の基本から、売れない山林を確実に手放す方法まで、山林処分に関するすべての情報を網羅的に解説します。2024年4月に施行された相続登記義務化や、相続土地国庫帰属制度の最新統計など、最新情報も含めてお伝えします。

この記事を読み終える頃には、あなたの山林を手放すための具体的な方法が明確になっているはずです。


目次



山林売却が難しい5つの理由

山林は一般的な宅地と比べて、売却が極めて困難です。その理由を5つに分けて詳しく解説します。

理由1:需要が極端に少ない

山林を購入したいと考える人は、一般の不動産と比べて圧倒的に少数です。

購入を検討するのは主に以下のような人々に限られます。

  • 林業を営む事業者

  • キャンプ場やグランピング施設の開発業者

  • 別荘やセカンドハウスを建てたい個人

  • 自然の中での暮らしに憧れる移住希望者

  • 太陽光発電など再生可能エネルギー事業者

しかし、これらの需要と供給される山林がマッチすることは稀です。特に、接道条件が悪い山林、急傾斜地、過疎地域にある山林は、ほぼ買い手がつきません。


理由2:境界が不明確

山林の境界問題は、売却を困難にする最大の要因の一つです。

山林の境界は、立木の種類や尾根、沢などの自然地形で区切られていることが多く、登記簿や公図を見ても正確な境界線がわからないケースがほとんどです。

境界を確定させるには、隣地所有者全員の同意が必要ですが、山林の隣地所有者は複数いることが多く、中には所在不明の方や、すでに亡くなって相続登記がされていない方もいます。こうした状況では、境界確定に数年かかることも珍しくありません。

境界確定のコスト目安:

  • 測量費用:50万円〜300万円以上(面積や地形による)

  • 境界立会い費用:数万円〜数十万円

  • 隣地所有者の調査費用:数万円〜

売却価格よりも境界確定費用の方が高くなるケースも多々あります。


理由3:立木の価値が読めない

山林の価値は、土地そのものよりも生えている立木(りゅうぼく)に左右されます。

かつてはスギやヒノキの価値が非常に高く、山林を所有することは資産形成の一つの方法でした。しかし、現在は外国産木材の輸入増加や、国内の木材需要低下により、国産材の価格は大幅に下落しています。

木材価格の推移(スギの例):

  • 1980年代:1㎥あたり約4万円

  • 2000年代:1㎥あたり約1.5万円

  • 2020年代:1㎥あたり約1.2万円〜1.5万円

さらに、立木を木材として売却するには、伐採費用、搬出費用、運搬費用がかかります。林道が整備されていない山林では、これらのコストが木材の売却価格を上回ることがほとんどです。

つまり、立木があるから価値があるとは限らないのです。


理由4:アクセスが悪い・インフラがない

山林の多くは、都市部から離れた山間部や過疎地域に位置しています。

  • 最寄りの公道から何キロも離れている

  • 車が入れない

  • 電気・水道・ガスなどのインフラがない

  • 携帯電話の電波が届かない

このような条件の山林は、キャンプ場や別荘地としての活用も難しく、買い手にとっての魅力がありません。


理由5:取り扱う不動産会社が少ない

一般的な不動産会社は、宅地や建物の売買を主な業務としており、山林の取り扱いに精通していません。

山林売買には、以下のような専門知識が必要です。

  • 森林法に基づく届出義務

  • 保安林規制の理解

  • 立木の評価方法

  • 森林簿・森林計画図の読み方

  • 林業関係者とのネットワーク

これらの知識やネットワークを持つ不動産会社は限られており、山林を売却したくても相談先が見つからないという状況が生まれています。



山林の価格相場|種類別の目安

山林の価格は、その種類や条件によって大きく異なります。一般的な目安として、山林は以下の4種類に分類されます。

山林の種類別相場一覧

山林の種類

特徴

1㎡あたりの相場

1haあたりの相場

都市近郊林地

市街地に近い林地。宅地転用の可能性あり

1,000円〜5,000円

1,000万円〜5,000万円

農村林地

農村部にある里山。集落に近い

100円〜300円

100万円〜300万円

林業本場林地

林業経営のために管理されている山林

30円〜100円

30万円〜100万円

山村奥地林地

管理されておらず林道もない山林

10円〜50円

10万円〜50万円


価格に影響を与える要素

山林の価格は、上記の種類分類だけでなく、以下の要素によっても大きく変動します。

プラス要因:

  • 公道に面している

  • 林道が整備されている

  • 立木の樹種が良い(ヒノキ、良質なスギなど)

  • 立木の樹齢が伐期に達している(50年〜80年生)

  • 境界が確定している

  • 平坦地が含まれている

  • 水源がある

マイナス要因:

  • 接道がない(袋地)

  • 急傾斜地ばかり

  • 立木が手入れされていない

  • 保安林指定を受けている

  • 不法投棄がある

  • 共有名義である

  • 境界が不明確


「値段がつかない」山林も多い

現実問題として、価格がゼロ、あるいはマイナス(引き取り料が必要)という山林も少なくありません。

特に以下のような山林は、売却価格がつかないケースがほとんどです。

  • 原野商法で購入させられた山林・原野

  • 過疎地域の管理放棄された山林

  • 保安林指定により開発が制限されている山林

  • 共有者が多数いる山林

  • 境界確定ができない山林

このような山林をお持ちの方は、「売却」ではなく「処分」という観点で方法を検討する必要があります。



山林を売却・処分する7つの方法

山林を手放す方法は「売却」だけではありません。状況に応じて最適な方法を選択することが重要です。


方法1:山林専門の不動産会社・仲介業者に依頼する

最もスタンダードな方法は、山林売買を専門に扱う業者に仲介を依頼することです。

メリット:

  • 山林の適正価格で売却できる可能性がある

  • 立木の価値も含めた査定を受けられる

  • 林業関係者など、山林の買い手にアクセスできる

デメリット:

  • 仲介手数料がかかる

  • 売れるまでに時間がかかる(半年〜数年)

  • 売れない可能性もある

一般的な不動産会社では山林の取り扱いを断られることが多いため、山林専門の業者を選ぶことが重要です。


方法2:森林組合に相談する

各都道府県には森林組合連合会があり、山林の売買あっせんを行っている組合もあります。

メリット:

  • 地域の山林事情に詳しい

  • 林業関係者とのネットワークがある

  • 相談は無料

デメリット:

  • 売買あっせんを行っていない組合もある

  • 積極的な販売活動は期待できない

  • 買い手が見つかるまで長期間かかることが多い

森林組合への相談は、まず地元の森林組合に問い合わせることから始めましょう。全国森林組合連合会のウェブサイトで、各地の森林組合を検索できます。


方法3:隣地の所有者に売却を打診する

山林の売却先として最も有望なのは、実は隣地の所有者です。

メリット:

  • すでに山林を所有しているため、購入ハードルが低い

  • 土地を広げたいというニーズがある場合がある

  • 境界問題も当事者間で解決しやすい

デメリット:

  • 隣地所有者を探す手間がかかる

  • 相手にも購入意思がないと成立しない

  • 価格交渉が難航する場合がある

隣地所有者は、登記情報や森林組合への問い合わせで調べることができます。


方法4:自治体への寄付を検討する

山林を自治体に寄付するという選択肢もあります。

メリット:

  • 無償で手放せる

  • 固定資産税の負担がなくなる

  • 社会貢献になる

デメリット:

  • 寄付を受け入れる自治体は非常に少ない

  • 管理コストがかかる土地は断られることがほとんど

  • 手続きに時間がかかる

現実的には、自治体が寄付を受け入れるのは、公共施設用地として活用できる場合や、自然保護の観点から価値がある場合に限られます。管理が困難な山林の寄付はほぼ受け入れられないと考えておいた方がよいでしょう。


方法5:相続土地国庫帰属制度を利用する

2023年4月27日に施行された「相続土地国庫帰属制度」を利用すれば、相続で取得した土地を国に引き渡すことができます。山林も対象です。

メリット:

  • 確実に手放せる(要件を満たせば)

  • 将来の管理責任から解放される

  • 相続登記がされていなくても申請可能

デメリット:

  • 審査手数料(1筆14,000円)と負担金(面積に応じた金額)がかかる

  • 厳しい要件を満たす必要がある

  • 審査に半年〜1年かかる

相続土地国庫帰属制度の詳細は、後述の専門セクションで解説します。


方法6:民間の引き取りサービスを利用する

売却できない山林を、費用を支払って引き取ってもらうサービスがあります。

メリット:

  • 売れない山林でも確実に手放せる

  • 比較的短期間で処分できる

  • 要件が国庫帰属制度より緩やか

デメリット:

  • 引き取り費用がかかる

  • 悪質な業者も存在するため注意が必要

  • 引き取り後の管理体制を確認する必要がある

民間の引き取りサービスを利用する際は、引き取り後にその業者がどのように山林を管理するのかを必ず確認してください。

中には、引き取った後に放置したり、転売を繰り返して最終的に所有者不明土地になってしまうケースもあります。

信頼できる引き取りサービスの見分け方:

  • 引き取り後の管理をしている

  • 会社の実績や評判が確認できる

  • 費用が明確

  • 契約前の相談が無料


方法7:相続放棄を検討する(相続前のみ)

まだ山林を相続していない段階であれば、相続放棄という選択肢もあります。

メリット:

  • 山林だけでなく、すべての負債から解放される

  • 固定資産税などの負担を一切負わない

デメリット:

  • 相続を知った日から3ヶ月以内に手続きが必要

  • 山林だけを放棄することはできない(全財産が対象)

  • 他のプラスの財産も放棄することになる

  • 相続放棄しても管理義務が残る場合がある

相続放棄は、山林以外にも負債が多い場合や、プラスの財産がほとんどない場合に検討すべき選択肢です。

注意: 2023年4月の民法改正により、相続放棄をした場合でも、現に占有している財産については管理義務が残る場合があります。



山林売却の流れと必要書類

山林を売却する場合の一般的な流れと、必要な書類について解説します。

売却の流れ(7ステップ)

STEP1:山林の情報収集

まず、売却予定の山林に関する基本情報を集めます。

  • 所在地(地番)

  • 面積

  • 地目

  • 所有者の確認

  • 境界の状況

  • 立木の種類・状態

  • 接道状況

これらの情報は、固定資産税の納税通知書や登記簿謄本で確認できます。


STEP2:必要書類の準備

売却に必要な書類を準備します。

書類名

取得先

費用目安

登記事項証明書(登記簿謄本)

法務局(窓口・オンライン)

600円/通

公図

法務局

450円/通

地積測量図

法務局(あれば)

450円/通

固定資産税納税通知書

自治体から毎年送付

-

固定資産評価証明書

市区町村役場

300円程度

森林簿・森林計画図

都道府県または市町村

無料〜数百円

印鑑証明書

市区町村役場

300円程度

身分証明書

-

-


STEP3:査定依頼

山林専門の不動産会社や仲介業者に査定を依頼します。複数の業者に依頼して、査定額を比較することをおすすめします。

査定では、以下の点が確認されます。

  • 土地の条件(面積、地形、接道など)

  • 立木の状況(樹種、樹齢、手入れ状況)

  • 境界の確定状況

  • 権利関係(抵当権、地上権など)


STEP4:媒介契約の締結

査定結果に納得できたら、不動産会社と媒介契約を結びます。

媒介契約には3種類あります。

契約の種類

複数社との契約

自己発見取引

レインズ登録

一般媒介契約

任意

専任媒介契約

×

義務

専属専任媒介契約

×

×

義務

山林売却の場合は、専門性の高い業者との専任媒介契約または専属専任媒介契約がおすすめです。


STEP5:販売活動

不動産会社が買い手を探します。山林専門サイトへの掲載、林業関係者へのアプローチなどが行われます。


STEP6:売買契約の締結

買い手が見つかったら、条件を交渉し、売買契約を締結します。

契約時には、以下の点を明確にします。

  • 売買価格

  • 支払い方法・時期

  • 引き渡し日

  • 境界の取り扱い(公簿売買か実測売買か)

  • 瑕疵担保責任の範囲

山林売買では、境界確定を行わない「公簿売買」が一般的です。


STEP7:引き渡し・届出

売買代金の決済と同時に、所有権移転登記を行い、引き渡しが完了します。

また、山林の売買には届出義務があります。

  • 森林法に基づく届出:売買から90日以内に市町村長へ届出

  • 国土利用計画法に基づく届出:面積が一定以上の場合、契約後2週間以内に届出

届出を怠ると、10万円以下の過料が科される場合があります。



山林売却にかかる税金と確定申告

山林を売却した場合、利益が出れば税金がかかります。山林売却に関する税金は複雑なため、詳しく解説します。

売却時にかかる税金の種類

1. 印紙税

売買契約書に貼付する収入印紙の費用です。

契約金額

印紙税額(軽減税率適用時)

10万円超〜50万円以下

200円

50万円超〜100万円以下

500円

100万円超〜500万円以下

1,000円

500万円超〜1,000万円以下

5,000円

1,000万円超〜5,000万円以下

1万円

※令和9年3月31日までの契約には軽減税率が適用されます。


2. 登録免許税

所有権移転登記にかかる税金ですが、通常は買い主が負担するため、売り主の負担はありません。


確定申告時の税金

山林を売却して利益が出た場合、確定申告が必要です。

山林の売却所得の種類:

売却方法

所有期間

所得の種類

立木のみ売却

5年超

山林所得

立木のみ売却

5年以下・事業的規模

事業所得

立木のみ売却

5年以下・事業的規模でない

雑所得

土地を売却

-

譲渡所得

山林を土地ごと売却した場合は、立木部分は山林所得、土地部分は譲渡所得として、それぞれ別々に計算します。


山林所得の計算方法

山林所得は、他の所得と分離して課税される「分離課税」です。

計算式:

山林所得 = 総収入金額 − 必要経費 − 特別控除(最高50万円)

山林所得には「5分5乗方式」という特別な計算方法が適用されます。

5分5乗方式の計算:

1. 山林所得を5で割る
2. 割った金額に税率を適用して税額を計算
3. 計算した税額を5倍する

この方式により、長期間かけて育てた山林を一度に売却した場合の税負担が軽減されます。


譲渡所得(土地部分)の計算方法

土地部分の譲渡所得は、所有期間によって税率が異なります。

区分

所有期間

所得税

住民税

合計

短期譲渡所得

5年以下

30.63%

9%

39.63%

長期譲渡所得

5年超

15.315%

5%

20.315%

※所得税には復興特別所得税(2.1%)を含みます。

相続で取得した山林の場合、被相続人(亡くなった方)の所有期間を引き継ぐことができます。



相続土地国庫帰属制度で山林を国に返す方法

売却が難しい山林を手放す方法として、2023年4月に開始された「相続土地国庫帰属制度」があります。

制度の概要

相続土地国庫帰属制度は、相続で取得した土地の所有権を国に移転できる制度です。

申請できる人:

  • 相続または遺贈(相続人に対するもの)で土地を取得した人

  • 共有の場合は共有者全員で申請

申請できる土地:

  • 山林、農地、宅地など地目の制限はなし

  • 相続登記がされていなくても申請可能


最新の統計データ

法務省が公表している最新の統計によると、制度の利用状況は以下の通りです。

申請件数: 4,374件(累計)

  • 田・畑:1,688件

  • 宅地:1,520件

  • 山林:687件(約15.7%)

  • その他:479件

帰属件数: 法務省統計による(承認率約93%)

山林の申請は全体の約16%を占めていますが、宅地や農地と比較すると承認されにくい傾向があります。


山林が不承認になる主な理由

山林の国庫帰属が不承認になる理由として多いのは、以下の2つです。

1. 国による追加整備が必要な森林(29件/69件の不承認)

適切な造林、間伐、保育が行われておらず、国庫帰属後に国が整備を行う必要がある森林は、不承認となります。

具体的には:

  • 手入れがされていない荒廃した山林

  • 倒木や枯損木が放置されている山林

  • 林道が整備されていない山林

2. 管理・処分を阻害する有体物がある土地(32件/69件の不承認)

地上に廃棄物、倒木、残置物などがある場合は不承認となります。


申請の流れ

STEP1:事前相談(任意)

土地の所在地を管轄する法務局本局で、対面または電話で事前相談を受けることができます。令和6年10月からはウェブ相談も可能になりました。

相談には以下の資料を準備します。

  • 相続土地国庫帰属相談票

  • 土地の状況チェックシート

  • 登記事項証明書

  • 公図・地積測量図

  • 現地写真

STEP2:承認申請

申請書と添付書類を、土地所在地の法務局本局に提出します。審査手数料として、土地1筆あたり14,000円を収入印紙で納付します。

STEP3:審査

法務局が書面審査と実地調査を行います。審査期間は半年〜1年程度です。

STEP4:承認・負担金納付

承認されたら、負担金の通知が届きます。通知到達から30日以内に負担金を納付すると、所有権が国に移転します。

山林の負担金計算

山林の負担金は、面積に応じて算定されます。

負担金の計算式:

負担金 = 237,000円 +(面積 × 24円/㎡)

計算例:

面積

負担金

1,000㎡

261,000円

5,000㎡

357,000円

10,000㎡(1ha)

477,000円

50,000㎡(5ha)

1,437,000円


国庫帰属制度を利用すべきケース

以下のような場合は、国庫帰属制度の利用を検討する価値があります。

  • 売却・寄付の見込みがない山林

  • 境界が確定していて、申請要件を満たせる山林

  • 長期的な管理コストを考えると、負担金を支払う方が安い場合

  • 子どもに管理負担を残したくない場合

逆に、以下の場合は国庫帰属制度の利用が難しい可能性があります。

  • 手入れがされていない荒廃した山林

  • 境界が不明確な山林

  • 不法投棄や残置物がある山林

  • 保安林指定を受けている山林(通行地役権などが設定されている場合)



山林を放置し続けるリスク|2024年相続登記義務化の影響

「山林は売れないから、そのまま放置しておこう」という考えは非常に危険です。

2024年4月から相続登記が義務化

2024年4月1日から、相続登記が義務化されました。

義務化の内容:

  • 相続の開始を知り、かつ所有権の取得を知った日から3年以内に相続登記をしなければならない

  • 正当な理由なく登記を怠った場合、10万円以下の過料が科される可能性がある

重要: この義務化は、過去に発生した相続にも適用されます。

つまり、何十年も前に相続した山林でも、相続登記がされていなければ、2027年3月末までに登記を行う必要があります。


放置し続けた場合のリスク

1. 過料のリスク

相続登記を正当な理由なく怠った場合、10万円以下の過料が科される可能性があります。

2. 固定資産税の継続的な負担

山林は評価額が低いため、固定資産税も低額ですが、長期間にわたって負担は続きます。また、固定資産税を滞納すると、延滞金が加算されます。

3. 管理責任のリスク

山林の所有者には管理責任があります。倒木が道路や隣地に被害を与えた場合、損害賠償責任を問われる可能性があります。

4. 次世代への負担の継承

自分が放置した山林は、自分の子どもや孫に相続されます。問題を先送りにすればするほど、相続人の数が増え、問題の解決が難しくなります。

5. 所有者不明土地になるリスク

相続登記がされないまま何世代も経過すると、相続人の特定が困難になり、「所有者不明土地」となります。所有者不明土地になると、売却も活用もできない「負の遺産」となってしまいます。



山林を50年所有し続けた場合のコスト試算

山林を処分せずに50年間所有し続けた場合、どれだけのコストがかかるのでしょうか。具体的に試算してみましょう。

試算条件

  • 面積:5,000㎡(0.5ha)の山林

  • 固定資産税評価額:100万円

  • 所在地:地方の中山間地域

  • 管理状況:年1回の見回りのみ

コスト内訳

1. 固定資産税(50年分)

山林の固定資産税率は1.4%です。

  • 年間固定資産税:100万円 × 1.4% = 14,000円

  • 50年間の合計:14,000円 × 50年 = 70万円

※実際には、免税点(同一市町村内の山林の評価額合計が30万円未満なら非課税)や評価替えの影響があります。

2. 相続登記費用(2回分を想定)

50年の間に2回の相続が発生すると仮定します。

  • 登録免許税:評価額 × 0.4% = 4,000円/回

  • 司法書士報酬:3万円〜5万円/回

  • 戸籍等取得費用:1万円〜2万円/回

  • 1回あたり合計:約5万円〜7万円

  • 2回分合計:10万円〜14万円

3. 管理費用(年1回の見回り)

  • 交通費(遠方の場合):1万円〜3万円/回

  • 50年間の合計:50万円〜150万円

4. 突発的な費用

  • 倒木処理費用:10万円〜50万円

  • 不法投棄物の撤去費用:数万円〜数十万円

  • 境界トラブル対応費用:数万円〜数十万円

概算:30万円〜100万円

50年間の総コスト

項目

金額(概算)

固定資産税(50年分)

70万円

相続登記費用(2回分)

12万円

管理費用(50年分)

100万円

突発的費用

50万円

合計

232万円

注意: これは最低限の試算です。以下の場合はさらにコストが増加します。

  • 評価額が高い山林

  • 相続人が複数いて協議が必要な場合

  • 境界トラブルが発生した場合

  • 保安林指定により維持管理義務がある場合


早期処分との比較

仮に今、30万円の費用をかけて山林を処分した場合、50年間のコスト232万円と比較すると、約200万円の節約になります。

さらに、次の世代に負担を残さないという安心感は、金額には換算できない価値があります。



まとめ

山林売却は、一般的な不動産売却と比べて非常に困難です。しかし、売却以外にも山林を手放す方法はあります。

本記事のポイント:

  1. 山林売却が難しい理由を理解した上で、現実的な処分方法を選択することが重要です。

  2. 山林を売却・処分する7つの方法

    • 山林専門業者への仲介依頼

    • 森林組合への相談

    • 隣地所有者への売却

    • 自治体への寄付

    • 相続土地国庫帰属制度の利用

    • 民間の引き取りサービスの利用

    • 相続放棄(相続前のみ)

  3. 相続土地国庫帰属制度は山林も対象ですが、要件が厳しく、承認されるためには適切に管理された山林である必要があります。

  4. 2024年4月から相続登記が義務化されました。過去の相続も対象となるため、早めの対応が必要です。

  5. 50年間所有し続けた場合のコストは200万円を超える可能性があります。早期に処分することで、長期的なコストを削減し、次世代への負担を残さないことができます。


山林の処分は、「いつかやろう」と先延ばしにしがちですが、時間が経つほど問題は複雑になります。

この記事を読んで、少しでも「自分の山林を何とかしたい」と思われた方は、ぜひ一度専門家にご相談ください。


売れない山林でお困りの方へ|一般社団法人日本不動産管財のサポート

ここまで山林売却の様々な方法を解説してきましたが、現実問題として「売却できない」「国庫帰属制度の要件を満たせない」という山林も多くあります。

そのような山林をお持ちの方のために、私たち一般社団法人日本不動産管財では、山林の無料調査を提供しています。お気軽にお問い合わせください。


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