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隣地の所有者に土地を売却する方法|山林・原野・別荘地を隣人に買ってもらうための完全ガイド

  • 執筆者の写真: 一般社団法人日本不動産管財
    一般社団法人日本不動産管財
  • 2025年12月29日
  • 読了時間: 20分

更新日:1月29日

「売れない土地を処分したいけど、買い手が見つからない…」 「隣の人なら買ってくれるかもしれないけど、どうやって交渉すればいいの?」

相続した山林や原野、使わなくなった別荘地など、売却が難しい土地をお持ちの方にとって、隣地の所有者への売却は有力な処分方法の一つです。

古くから「隣の土地は借金してでも買え」という格言があるように、隣接する土地は隣人にとって特別な価値があります。一般市場では買い手がつかない土地でも、隣地所有者にとっては敷地拡大や境界整理などのメリットがあるため、取引が成立する可能性があるのです。

本記事では、山林・原野・別荘地といった売却困難な土地を隣地の所有者に売却するための方法を、隣人の特定方法から価格交渉、契約手続きまで徹底的に解説します。


隣地の所有者に土地を売却するとは

隣地の所有者への売却とは、自分が所有する土地を、その土地に隣接する土地の所有者に買い取ってもらう方法です。

通常の不動産売却では、不動産会社に仲介を依頼し、広く買主を募集します。しかし、山林や原野、郊外の別荘地など需要が極めて低い土地では、何年経っても買い手が現れないことも珍しくありません。

そのような場合に、隣接する土地の所有者に直接打診するという方法が有効になります。



隣地所有者に売却するメリット

売主側のメリット

隣地の所有者に土地を売却することで、売主には以下のようなメリットがあります。

買い手を探す手間と時間を大幅に削減できる

通常の売却活動では、不動産会社への査定依頼、物件情報の公開、内覧対応など、多くの手間と時間がかかります。人気のないエリアでは、買い手が現れるまで数年かかることも珍しくありません。

隣地所有者への売却であれば、交渉相手が最初から決まっているため、スムーズに話を進めることができます。

一般市場で売れない土地でも売却できる可能性がある

山林、原野、別荘地など、一般的な需要がほとんどない土地であっても、隣人にとっては価値がある場合があります。自分の土地と一体化できること自体に価値があるからです。

境界確定などの費用を抑えられる場合がある

隣人との売買では、すでに双方が土地の状況を把握しているため、測量や境界確定にかかる費用を省略できる場合があります。ただし、後のトラブルを防ぐためには、境界を明確にしておくことをお勧めします。

現況のまま売却できる可能性が高い

古家付きの土地や、草木が生い茂った山林でも、隣人であれば現況のまま引き取ってくれる可能性があります。解体費用や整地費用を節約できる点は大きなメリットです。


買主(隣地所有者)側のメリット

隣地を購入することは、買主にとっても多くのメリットがあります。だからこそ、「隣の土地は借金してでも買え」という格言が生まれたのです。

敷地面積の拡大

隣地を取得すれば、駐車場の増設、庭の拡張、将来的な建物の増築など、土地の活用方法が大きく広がります。

土地の資産価値向上

狭小地や不整形地でも、隣地と合わせることで整った形状になり、土地全体の価値が向上する可能性があります。特に、再建築不可物件の解消や接道義務の充足につながる場合は、大きな価値上昇が見込めます。

境界問題の解消

隣地との境界が不明確だったり、越境問題があったりする場合、その土地を購入してしまえば問題自体が解消されます。

将来の隣人トラブルの回避

隣地を自分で所有することで、見知らぬ人が隣に引っ越してくるリスクを回避できます。また、放置された土地からの草木の侵入や不法投棄といった問題も防げます。



土地の種類別|隣地売却の特徴と注意点

土地の種類によって、隣地売却の進め方や注意点は大きく異なります。ここでは、山林、原野、別荘地、一般の宅地それぞれについて詳しく解説します。


山林を隣地所有者に売却する場合

山林は一般的な不動産市場での売却が最も困難な土地の一つです。しかし、隣接する山林所有者や林業従事者にとっては、取得する価値がある場合があります。

山林の隣地売却のメリット

隣接する山林所有者にとって、あなたの山林を取得するメリットは以下の通りです。

  • 所有する山林の面積が拡大し、効率的な森林経営が可能になる

  • アクセス道路の確保や作業効率の向上につながる

  • 境界管理が簡素化される

  • 将来の伐採時にまとめて作業できる

山林売却時の法的手続き

山林の売買には、通常の土地売買に加えて以下の届出が必要です。

森林法に基づく届出(森林の土地の所有者届出)

森林(地域森林計画の対象森林)を売買で取得した場合、新しい所有者は取得から90日以内に市町村長への届出が必要です。届出を怠ると10万円以下の過料が科される可能性があります。

届出に必要な書類は以下の通りです。

  • 森林の土地の所有者届出書

  • 登記事項証明書(または売買契約書の写し)

  • 土地の位置を示す図面

立木の取り扱い

山林を売却する際は、土地だけでなく立木(樹木)も売買の対象となります。契約書には、立木を含めた売買であることを明記する必要があります。

なお、伐採期に達した木材価値のある立木がある場合は、その価値を売却価格に反映させることも検討してください。ただし、多くの場合、伐採・搬出にかかるコストを考えると、実質的な価値は限定的です。

山林の評価と価格設定

山林の価格は、以下の要素によって大きく異なります。

  • 所在地(アクセスの良し悪し)

  • 面積

  • 地形(平坦か急傾斜か)

  • 樹種と樹齢

  • 林道の有無

一般的に、山林の固定資産税評価額は極めて低く設定されています。売却価格もこれに準じた金額になることが多く、数百円から数千円/㎡程度、場合によっては無償譲渡となるケースも珍しくありません。


原野を隣地所有者に売却する場合

原野とは、耕作の方法によらないで雑草やかん木類が生育する土地を指します。1970年代から1980年代にかけて流行した「原野商法」により、多くの方が価値のない原野を高額で購入させられました。現在、これらの土地を相続した子世代が処分に苦慮しています。

原野の隣地売却の現実

原野は山林以上に売却が困難です。インフラが整備されておらず、建物を建てることもできないため、一般的な需要はほぼゼロです。

ただし、隣接する土地の所有者が以下のような目的で取得を希望する場合があります。

  • 境界の整理・統合

  • 将来的な土地活用の可能性確保

  • 放置された隣地からのトラブル(草木の侵入、不法投棄など)の回避

原野売却時の注意点

所在地の確認

原野商法で取得した土地は、実際の所在地すら分からないケースが多くあります。売却前に、登記簿謄本と公図で正確な位置を確認し、可能であれば現地を訪問してください。

境界の問題

原野は長年放置されていることが多く、境界標が消失していたり、そもそも設置されていなかったりするケースがほとんどです。隣地所有者との売買であれば、厳密な境界確定なしに取引できる場合もありますが、将来のトラブルを防ぐためには、最低限の境界確認を行うことをお勧めします。

原野の価格相場

原野の市場価値は極めて低く、固定資産税評価額も数百円から数千円程度ということも珍しくありません。売却価格としては、以下のパターンが考えられます。

  • 固定資産税評価額程度での売却

  • 登記費用相当額(数万円程度)での売却

  • 無償譲渡(登記費用は買主負担)

  • 持参金付き譲渡(売主が費用を負担して引き取ってもらう)

二次被害への注意

原野の処分に悩んでいる所有者を狙った詐欺(原野商法の二次被害)が多発しています。「高く買い取る」という連絡があった場合は十分に注意し、必ず複数の専門家に相談してください。


別荘地を隣地所有者に売却する場合

別荘地は、バブル期に高額で購入されたものの、現在は資産価値が大幅に下落し、売却困難になっているケースが多く見られます。

別荘地特有の問題

別荘地には、他の土地にはない特有の問題があります。

管理組合と管理費の問題

多くの分譲別荘地では、開発会社や管理会社との間で管理契約が締結されています。この管理費は、土地を所有する限り継続的に発生し、売却や譲渡後も新しい所有者に引き継がれます。

管理費は年間数万円から数十万円に上ることもあり、土地そのものよりも将来の管理費負担が大きな障壁となって、売却を困難にしています。

別荘地の隣人への売却アプローチ

別荘地内の隣地所有者に売却する場合、以下のようなメリットを提示できます。

  • 隣接区画を取得することで、より広い敷地として活用できる

  • 放置された隣地のリスク(景観悪化、不法投棄、犯罪の温床化など)を回避できる

  • 将来、まとめて売却する際に有利になる可能性がある

ただし、別荘地の場合、隣地所有者も同様に管理費負担に苦しんでいる可能性があります。むしろ、別荘を積極的に活用している所有者や、管理会社・管理組合への売却・譲渡を検討した方が現実的な場合もあります。

別荘地の価格設定

別荘地の価格は、立地や管理状況によって大きく異なります。

軽井沢や那須といった人気エリアでは、一定の需要が見込めます。しかし、需要の低いエリアでは、バブル期に1,000万円以上で購入した土地が、数万円でも売れないというケースも珍しくありません。

隣人への売却価格としては、以下を参考にしてください。

  • 周辺の取引事例(国土交通省の「不動産情報ライブラリ」で確認可能)

  • 固定資産税評価額

  • 年間管理費の数年分相当額

場合によっては、無償譲渡や持参金付き譲渡(買主の登記費用や数年分の管理費を売主が負担)も選択肢となります。


一般の宅地を隣地所有者に売却する場合

相続した実家の土地や、利用予定のない宅地を隣人に売却するケースも多くあります。一般の宅地であれば、山林や原野に比べて売却のハードルは低くなります。

宅地の隣地売却が有効なケース

以下のような土地は、隣人への売却が特に有効です。

再建築不可物件

建築基準法の接道義務(幅員4m以上の道路に2m以上接道)を満たさない土地は「再建築不可」となり、一般市場での売却が困難です。しかし、隣地所有者がこの土地を取得することで、隣人の土地と合わせて接道義務を満たせるようになる場合があります。このケースでは、隣人にとって大きなメリットがあるため、比較的高い価格での売却が期待できます。

不整形地・狭小地

三角形の土地や、極端に狭い土地は、単独では活用が難しいものの、隣地と合わせることで整った形状になり、利用価値が向上します。

旗竿地

道路に接する間口が狭く、奥に広がる形状の土地(旗竿地)も、隣地と合わせることで使いやすくなる可能性があります。

私道に面した土地

私道に面した土地は、通行権や掘削承諾などの問題から一般の買い手が敬遠しがちです。しかし、私道の権利関係を把握している隣人であれば、安心して購入できます。



隣地所有者を特定する方法

隣地の所有者に売却を打診するためには、まず隣人が誰であるかを特定する必要があります。

登記簿謄本(登記事項証明書)の取得

法務局での取得

最も確実な方法は、法務局で隣地の登記簿謄本を取得することです。登記簿謄本には、土地の所有者の氏名と住所が記載されています。

取得に必要な情報は以下の通りです。

  • 土地の所在(○○市○○町)

  • 地番

地番は住所(住居表示)とは異なる場合があります。地番が分からない場合は、法務局の窓口で公図(地図)を閲覧し、確認することができます。

登記簿謄本の取得費用は、窓口請求で600円、オンライン請求で480円〜500円です。

登記情報提供サービスの利用

一般財団法人民事法務協会が運営する「登記情報提供サービス」を利用すれば、インターネットで登記情報を取得できます。

利用には事前登録が必要ですが、自宅から24時間いつでも取得できる利便性があります。


山林の場合の所有者特定

山林の場合、登記情報に加えて以下の方法も活用できます。

森林簿・森林計画図の活用

都道府県が管理する「森林簿」「森林計画図」には、森林の所有者情報が記載されています。都道府県の林務担当課や、地域の森林組合に問い合わせることで情報を得られる場合があります。

ただし、個人情報保護の観点から、情報提供に制限がある場合もあります。

森林組合への相談

地域の森林組合は、山林所有者のネットワークを持っています。隣接する山林の所有者を探している旨を相談すれば、仲介してもらえる可能性があります。


固定資産税課税台帳の閲覧

市区町村によっては、固定資産税の課税台帳(名寄帳)の閲覧制度を設けている場合があります。ただし、閲覧できる情報は自分の所有物件に関するものに限られるのが原則です。

隣地所有者を調べる目的での閲覧は認められない場合が多いため、登記簿謄本の取得を基本としてください。


所有者が不明な場合

登記簿上の所有者が死亡していたり、住所が古くなっていたりして、連絡先が分からない場合があります。

この場合、以下の対応が考えられます。

  • 登記簿上の住所に手紙を送付し、転送されることを期待する

  • 相続人を特定するために戸籍等の調査を行う(司法書士等への依頼が必要)

  • 所有者不明土地の場合は、制度上の対応(所有者不明土地管理制度など)を検討する

所有者の特定が困難な場合は、専門家(司法書士、弁護士)への相談をお勧めします。



隣地所有者へのアプローチ方法

隣地の所有者が特定できたら、いよいよ売却の打診を行います。

最初のコンタクト

面識がある場合

日頃から顔見知りの隣人であれば、直接会って話をするのが自然です。ただし、最初から具体的な金額の話をするのは避けましょう。

まずは「土地の処分を考えている」「もし興味があれば優先的にお声がけしたい」といった形で、相手の反応を探ることが大切です。

面識がない場合

登記簿で調べた住所に手紙を送る方法が一般的です。

手紙には以下の内容を含めると良いでしょう。

  • 自己紹介(隣接する土地の所有者であること)

  • 土地の処分を検討していること

  • もし興味があれば話を聞いてほしいこと

  • 連絡先(電話番号、メールアドレスなど)

いきなり「売りたい」と書くのではなく、「ご相談したい」というスタンスで書くことで、相手も受け入れやすくなります。


興味を示された場合の対応

相手が興味を示したら、次のステップに進みます。

現地確認の実施

可能であれば、一緒に現地を確認することをお勧めします。特に山林や原野では、実際の状況を見てもらうことで、後のトラブルを防ぐことができます。

条件のすり合わせ

以下の点について、相手の意向を確認します。

  • 購入の意思の強さ

  • 希望する価格帯

  • 希望する取引時期

  • 建物がある場合の取り扱い(現況渡しか解体後か)

  • 境界確定の要否

専門家の関与の検討

個人間での売買も可能ですが、トラブルを防ぐためには、不動産会社や司法書士などの専門家に関与してもらうことをお勧めします。



売却価格の考え方

隣地売却における価格設定は、一般的な不動産売却とは異なる考え方が必要です。

価格の参考指標

固定資産税評価額

市区町村から送られてくる固定資産税の課税明細書に記載されています。公示価格の7割程度を目安に設定されていますが、山林や原野では実勢価格との乖離が大きい場合があります。

相続税路線価

路線価が設定されている地域では、国税庁の「路線価図」で確認できます。公示価格の8割程度を目安に設定されています。

ただし、山林や原野には路線価が設定されていない場合がほとんどです。

公示価格・基準地価

国土交通省の「不動産情報ライブラリ」で、周辺の公示価格や取引事例を確認できます。

周辺の取引事例

同じく「不動産情報ライブラリ」で、過去の取引事例を確認できます。ただし、山林や原野の取引事例は少なく、参考にならない場合も多いです。


土地種別ごとの価格目安

山林

  • 立地や樹種によって大きく異なる

  • 固定資産税評価額は1㎡あたり数円〜数十円程度が一般的

  • 売却価格も数百円〜数千円/㎡程度、場合によっては無償譲渡も

原野

  • 市場価値はほぼゼロ

  • 無償譲渡または持参金付き譲渡が現実的

  • 登記費用(数万円〜十数万円)の負担者を協議

別荘地

  • 立地によって大きく異なる

  • 人気エリアでは一定の価格がつく

  • 不人気エリアでは無償〜数万円程度

  • 年間管理費の負担を考慮した価格設定が必要

一般の宅地

  • 周辺の取引事例を参考に設定

  • 隣人への売却では相場より高くなることもある

  • 再建築不可の解消など、相手にメリットがある場合は強気の価格設定も可能


価格交渉のポイント

最初から具体的な金額を提示しない

最初に金額を提示すると、それが基準となってしまいます。まずは相手の希望を聞き、それを踏まえて価格を検討しましょう。

相手のメリットを強調する

隣人にとってのメリット(敷地拡大、境界問題の解消、土地の価値向上など)を伝えることで、相手の購入意欲を高めることができます。

柔軟な姿勢を示す

「処分できればいい」「金額よりも確実に引き取ってもらいたい」という姿勢であれば、その旨を伝えることで交渉がスムーズに進む場合があります。



契約から引き渡しまでの流れ

隣人との間で売買条件が合意できたら、正式な契約手続きに進みます。


売買契約の締結

売買契約書の作成

個人間売買の場合でも、必ず書面で売買契約書を作成してください。契約書には以下の事項を記載します。

  • 売主・買主の氏名住所

  • 対象物件の表示(所在、地番、地目、地積)

  • 売買代金

  • 支払方法・支払時期

  • 引き渡し時期

  • 所有権移転登記の手続き

  • 公租公課(固定資産税等)の精算方法

  • 契約不適合責任(瑕疵担保責任)の取り扱い

  • その他特約事項

印紙税

売買契約書には、売買代金に応じた収入印紙を貼付する必要があります。

契約金額

印紙税額

1万円未満

非課税

10万円以下

200円

50万円以下

400円

100万円以下

1,000円

500万円以下

2,000円

1,000万円以下

10,000円


決済・引き渡し

代金の支払い

売買代金の支払いと所有権移転登記は同時に行うのが原則です。高額な取引の場合は、銀行振込を利用し、着金確認後に登記書類を交付する形をとります。

少額の取引であれば、現金での授受も可能です。いずれの場合も、領収書を作成・交付してください。

所有権移転登記

所有権移転登記は、通常、司法書士に依頼します。必要書類は以下の通りです。

売主側:

  • 登記済権利証(または登記識別情報)

  • 印鑑証明書(発行から3ヶ月以内)

  • 固定資産評価証明書

  • 本人確認書類

買主側:

  • 住民票

  • 本人確認書類

登録免許税

所有権移転登記には登録免許税がかかります。税率は以下の通りです。

  • 売買による移転: 固定資産税評価額 × 2%(土地は2026年3月31日まで1.5%に軽減)

  • 贈与による移転: 固定資産税評価額 × 2%

通常、登録免許税は買主が負担します。


山林売買の場合の追加手続き

山林を売買した場合、買主は取得後90日以内に「森林の土地の所有者届出」を市町村に提出する必要があります。届出を怠ると過料の対象となりますので、買主に必ず説明してください。



隣地売却の注意点

個人間取引のリスク

隣人との個人間売買は、不動産会社を通さない分、仲介手数料を節約できます。しかし、以下のリスクがあることを認識しておく必要があります。

契約書の不備によるトラブル

専門知識がないまま契約書を作成すると、重要な事項が抜け落ちたり、曖昧な記載となったりして、後日トラブルになる可能性があります。

境界問題

売買後に境界を巡る紛争が発生する場合があります。可能な限り、売買前に境界を確認しておくことをお勧めします。

契約不適合責任

売却した土地に、後から欠陥(土壌汚染、地中埋設物など)が見つかった場合、売主が責任を問われる可能性があります。契約書で責任の範囲を明確にしておくことが重要です。


専門家の活用

個人間取引のリスクを軽減するために、以下の専門家の活用を検討してください。

司法書士

所有権移転登記の手続きを代行してもらえます。また、売買契約書のチェックや作成も依頼できる場合があります。

不動産会社

仲介手数料は発生しますが、契約書作成、重要事項説明、登記手続きの手配など、売買に関する一連の業務を任せることができます。

仲介手数料は、売買代金 × 3% + 6万円(+ 消費税)が上限です。ただし、売買代金が低額の場合は、別途手数料体系が適用される場合があります。

土地家屋調査士

境界確定や測量が必要な場合に依頼します。費用は土地の状況によりますが、数十万円程度かかることが一般的です。


税金の注意点

売主にかかる税金

土地を売却して利益(譲渡所得)が出た場合、所得税・住民税がかかります。

譲渡所得 = 売却価格 − 取得費 − 譲渡費用

税率は所有期間によって異なります。

  • 短期譲渡所得(所有期間5年以下): 39.63%(所得税30.63%、住民税9%)

  • 長期譲渡所得(所有期間5年超): 20.315%(所得税15.315%、住民税5%)

ただし、山林や原野など取得費が売却価格を上回る(つまり損失が出る)場合は、譲渡所得税はかかりません。

買主にかかる税金

買主には、不動産取得税と登録免許税がかかります。

不動産取得税: 固定資産税評価額 × 4%(土地は2027年3月31日まで3%に軽減)

ただし、免税点(土地10万円)未満の場合は課税されません。山林や原野では、免税点未満となるケースも多くあります。

無償譲渡・低額譲渡の場合の注意

無償で土地を譲渡(贈与)した場合、受贈者(もらった側)に贈与税がかかる可能性があります。

贈与税 = (土地の評価額 − 110万円)× 税率 − 控除額

土地の評価額(相続税評価額)が110万円以下であれば、贈与税はかかりません。山林や原野では、110万円以下となるケースが多いでしょう。

また、時価よりも著しく低い価格で売却した場合も、その差額が贈与とみなされる可能性があります。ただし、もともと市場価値がほとんどない土地であれば、低額での売却も時価相当として認められます。



隣地売却がうまくいかない場合の対処法

隣地の所有者に売却を打診しても、断られたり、そもそも連絡がつかなかったりする場合があります。そのような場合の対処法を紹介します。


他の隣人に打診する

土地には複数の隣地が接している場合があります。一人に断られても、他の隣地所有者に打診してみましょう。


専門の買取業者に依頼する

山林、原野、別荘地など、売却が困難な不動産を専門に扱う買取業者が存在します。一般の不動産会社では断られる物件でも、引き取ってもらえる可能性があります。

ただし、買取価格は極めて低い(場合によっては持参金が必要)ことが一般的です。複数の業者に相談し、条件を比較してください。


相続土地国庫帰属制度の利用

2023年4月から始まった「相続土地国庫帰属制度」を利用すれば、一定の条件を満たす土地を国に引き取ってもらうことができます。

利用できる人

相続または遺贈により土地を取得した人が対象です。売買で取得した人(原野商法の被害者本人など)は、原則として利用できません。

利用できない土地

以下のような土地は、制度の対象外となります。

  • 建物がある土地

  • 担保権や使用収益権が設定されている土地

  • 通路として他人に使用されている土地

  • 土壌汚染がある土地

  • 境界が明らかでない土地

  • 崖がある土地

  • 工作物、車両、樹木等がある土地(森林を除く)

  • 地下に除去すべき有体物がある土地

  • 隣地所有者等との訴訟が必要な土地

  • その他、通常の管理処分に過分の費用・労力を要する土地

費用

  • 審査手数料: 14,000円

  • 負担金: 原則20万円(面積や土地の種類により変動)

山林の場合、面積に応じた負担金となり、広い山林では高額になる可能性があります。

制度の詳細は、法務省のホームページで確認できます。


相続放棄の検討

まだ相続が発生していない場合、将来の相続時に相続放棄を選択することも一つの方法です。

ただし、相続放棄は土地だけを放棄することはできません。預貯金や自宅など、他の財産も含めてすべて放棄することになります。土地だけが負担であれば、相続後に他の方法で処分することを検討した方がよいでしょう。


マッチングサイト・空き家バンクの活用

近年、売却困難な不動産を個人間で取引するためのマッチングサイトやアプリが増えています。

また、自治体が運営する「空き家バンク」に登録することで、移住希望者などに情報を届けることができます。



まとめ

隣地の所有者への売却は、売却が困難な土地を処分するための有力な選択肢です。

隣地売却のポイント

  • 「隣の土地は借金してでも買え」という格言通り、隣人にとって隣地取得にはメリットがある

  • 山林、原野、別荘地など、一般市場で売れない土地でも、隣人なら引き取ってくれる可能性がある

  • 隣地所有者は登記簿謄本で特定できる

  • 最初のアプローチは「相談したい」というスタンスで

  • 価格は柔軟に対応し、「処分できること」を優先する姿勢も重要

  • 個人間取引にはリスクがあるため、専門家(司法書士等)の活用を検討する

  • うまくいかない場合は、専門の買取業者や相続土地国庫帰属制度も選択肢

売却困難な土地を放置し続けると、固定資産税や管理費の負担が続くだけでなく、お子さんやお孫さんの世代にも問題を引き継いでしまいます。

まずは隣地の所有者への打診から始めてみてはいかがでしょうか。そして、もし隣人への売却が難しい場合は、ぜひ私たちにご相談ください。


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