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保安林は売却できる?売却方法・手続き・注意点を徹底解説【2026年最新版】

  • 執筆者の写真: 一般社団法人日本不動産管財
    一般社団法人日本不動産管財
  • 2025年12月30日
  • 読了時間: 11分

更新日:3 日前

「相続した山林が保安林だった」「保安林は売却できるのか分からない」とお悩みではありませんか?

保安林は、水源の保全や土砂災害の防止など重要な公益的機能を持つ森林です。伐採や開発に制限がかかるため、「売却できないのでは?」と思われがちですが、実は保安林でも売却は可能です。

本記事では、保安林の売却方法から注意点、売却できない場合の対処法まで、徹底的に解説します。林野庁の最新統計データや相続土地国庫帰属制度との関係など、他では得られない詳細情報をお届けします。


この記事で分かること

  • 保安林は売却できるのか?結論と基本知識

  • 保安林の売却方法と具体的な手続きの流れ

  • 保安林売却時の注意点とリスク

  • 固定資産税免除・相続税控除など税金のメリット

  • 相続土地国庫帰属制度と保安林の関係

  • 保安林が売却できない場合の5つの対処法


目次

11.まとめ



1. 保安林は売却できる?【結論】

結論から申し上げると、保安林でも売却は可能です。

保安林は伐採や開発に制限がありますが、所有権の移転(売買)については特別な制限はありません。通常の山林と同様に、不動産取引として売買することができます。

ただし、保安林には以下のような特徴があるため、一般の山林と比べて買い手を見つけにくい場合があります。

  • 立木の伐採に許可・届出が必要

  • 土地の形質変更(開墾・整地・掘削など)に制限がある

  • 森林以外の用途への転用が原則としてできない

  • 伐採後の植栽義務がある(指定施業要件による)

これらの制限がある一方で、固定資産税が非課税になるなどのメリットもあります。売却を検討する際は、これらの特徴を理解した上で進めることが重要です。



2. 保安林とは?基本知識と17種類の分類

2-1. 保安林の定義

保安林とは、森林法に基づき、水源の保全・土砂災害の防止・生活環境の保全などの公益的機能を発揮するために、農林水産大臣または都道府県知事によって指定される森林です。

保安林に指定されると「指定施業要件」が定められ、伐採や土地利用に制限がかかります。これに違反した場合は、森林法に基づく罰則の対象となります。

2-2. 保安林の面積【令和7年最新データ】

林野庁の最新統計によると、日本の保安林の現状は以下の通りです。

  • 保安林の実面積:約1,230万ha

  • 全国森林面積に占める割合:約49.1%

  • 国土面積に占める割合:約32.5%

つまり、日本の森林の約半分、国土の約3分の1が保安林ということになります。保安林は決して珍しいものではなく、多くの方が相続等で保安林を所有する可能性があります。

2-3. 保安林の17種類

保安林は、その目的や機能によって以下の17種類に分類されます。

保安林の種類

主な目的

水源かん養保安林(1号)

水源の涵養、渇水・洪水の緩和

土砂流出防備保安林(2号)

土砂の流出防止

土砂崩壊防備保安林(3号)

土砂崩壊(がけ崩れ等)の防止

飛砂防備保安林(4号)

飛砂の防止

防風保安林(5号)

風害の防止

水害防備・潮害防備・干害防備保安林

洪水・高潮・干ばつの防止

防雪・防霧保安林

雪害・霧害の防止

なだれ防止・落石防止保安林(6号)

なだれ・落石の防止

防火保安林(7号)

火災の防止

魚つき保安林(8号)

魚類の繁殖

航行目標保安林(9号)

船舶の航行目標

保健保安林(10号)

保健休養・レクリエーション

風致保安林(11号)

風致の保存

このうち、水源かん養保安林が全体の約71%を占め、次いで土砂流出防備保安林が約20%となっています。



3. 保安林の売却方法と手続き

保安林の売却方法は、基本的に通常の山林と同じです。以下に具体的な手順を解説します。

3-1. 保安林を売りたい場合の手続き

  1. 必要書類の準備

登記簿謄本(登記事項証明書)と固定資産税の課税明細書を準備します。保安林は固定資産税が非課税のため、課税明細書には記載がない場合があります。その場合は、法務局で登記簿謄本を取得しましょう。

  1. 査定依頼

山林専門の不動産業者や森林組合に査定を依頼します。保安林の査定には専門知識が必要なため、山林取引の実績がある業者を選ぶことが重要です。

  1. 現地調査・査定金額の確定

業者が現地調査を行い、保安林の種類・立木の状況・アクセス条件などを確認した上で、査定金額を提示します。

  1. 売買契約の締結

査定価格に合意したら、売買契約を締結します。契約書には保安林である旨と、それに伴う制限事項を明記します。

  1. 所有権移転登記・届出

代金決済後、所有権移転登記を行います。また、森林法に基づき、買主は市町村に「森林の土地の所有者届出」を提出する必要があります。

3-2. 売却先を探す方法

保安林の売却先を探す主な方法は以下の通りです。

  • 山林専門の不動産業者:山林売買を専門に扱う業者

  • 地元の森林組合:地域の林業事情に詳しく、買い手の紹介を受けられる可能性がある

  • 近隣の山林所有者:隣接地の所有者は土地を拡大したい場合がある

  • 林業事業者:立木に価値がある場合は林業事業者が関心を示す可能性がある



4. 保安林売却時の注意点

4-1. 買主への説明義務

保安林を売却する際は、買主に対して以下の事項を説明する必要があります。

  • 保安林である旨と、その種類

  • 立木の伐採に関する制限(許可・届出の必要性)

  • 土地の形質変更に関する制限

  • 森林以外の用途への転用ができないこと

  • 伐採後の植栽義務(該当する場合)

4-2. 売却が難しいケース

保安林は以下のような場合、特に売却が難しくなります。

  • 禁伐の保安林:伐採が全面的に禁止されている保安林は、木材生産ができないため買い手が見つかりにくい

  • アクセスが困難な場所:林道が整備されていない山奥の保安林は管理が困難

  • 境界が不明確:境界が確定していない山林は取引が難しい

  • 共有名義:複数の所有者がいる場合は全員の同意が必要

4-3. 建物建築の制限

保安林は森林以外の用途に転用できません。そのため、山小屋やログハウスの建築を目的とした購入には適していません。

ただし、簡易な休憩用の小屋や倉庫程度であれば、許可を得て設置できる場合があります。買主がどのような目的で購入を検討しているか確認し、保安林の制限に抵触しないか事前に確認することが重要です。



5. 保安林の税金メリット【固定資産税・相続税】

保安林には様々な制限がある一方で、税金面では大きなメリットがあります。

5-1. 固定資産税が非課税

地方税法第348条の規定により、保安林は固定資産税が非課税となっています。通常の山林であれば毎年固定資産税を支払う必要がありますが、保安林であればこの負担がなくなります。

また、不動産取得税、特別土地保有税(現在は課税停止)についても免除されます。

5-2. 相続税・贈与税の控除

保安林の相続税・贈与税の評価額は、伐採制限の程度に応じて3割〜8割が控除されます。

伐採制限の区分

控除割合

一部皆伐

30%

択伐

50%

単木選伐

70%

禁伐

80%

例えば、禁伐の保安林であれば、通常の山林評価額の20%(100%-80%)で評価されることになります。

5-3. 計算例:保安林の相続税評価額

【計算式】

保安林の評価額 = 通常の山林評価額 ×(1 − 控除割合)

【具体例】

近隣の山林に比準した評価額が100万円、伐採制限が「禁伐」の場合:

100万円 ×(1 − 0.8)= 20万円

このように、保安林は相続税対策としても有効な面があります。



6. 保安林の解除について

「保安林の指定を解除して売却したい」と考える方もいらっしゃいますが、保安林の解除は非常に難しいのが現実です。

6-1. 解除が認められる条件

森林法第26条に基づき、保安林の解除が認められるのは以下の場合に限られます。

  1. 指定理由が消滅した場合(森林法第26条第1項)

  2. 受益の対象が消滅したとき

  3. 自然現象等により森林への復旧が困難と認められるとき

  4. 保安林の機能に代替する施設が設置されたとき

  5. 公益上の理由が生じた場合(森林法第26条第2項)

  6. 国等が行う事業による転用の場合(土地収用法等による事業)

6-2. 個人の都合での解除は原則不可

「売却したい」「管理が大変」といった個人の都合では、保安林の解除は認められません。保安林は公益目的で指定されているため、その機能が維持されている限り、解除のハードルは非常に高くなっています。

売却を検討される場合は、保安林のまま売却先を探すことが現実的な選択肢となります。



7. 相続土地国庫帰属制度と保安林

令和5年(2023年)4月27日から開始した「相続土地国庫帰属制度」は、相続した不要な土地を国に引き渡せる制度です。しかし、保安林については注意が必要です。

7-1. 制度の概要

相続土地国庫帰属制度は、相続または遺贈によって取得した土地を、一定の要件を満たせば国に引き渡せる制度です。山林も対象に含まれていますが、不承認となる要件があります。

7-2. 保安林が不承認となる可能性

保安林は、相続土地国庫帰属制度の不承認要件である「通常の管理・処分に過分な費用・労力がかかる土地」に該当する可能性があります。

具体的には以下の理由から、保安林は国庫帰属の承認を得にくいとされています。

  • 伐採に許可・届出が必要で、管理に手間がかかる

  • 土地の形質変更に制限があり、自由な管理・処分ができない

  • 森林以外の用途への転用ができない

保安林を相続土地国庫帰属制度で国に引き渡すことは難しいと考えた方がよいでしょう。

7-3. 国庫帰属制度を利用する場合の費用

仮に保安林が承認された場合の費用目安です(山林の場合)。

  • 審査手数料:土地1筆あたり14,000円

  • 負担金:面積に応じた算定式で計算(山林の場合、面積区分により異なる)



8. 保安林が売却できない場合の5つの対処法

保安林の売却が難しい場合、以下の対処法を検討してください。

8-1. 山林引き取りサービスの利用

売却が難しい山林を有償で引き取ってくれるサービスがあります。引き取り費用は発生しますが、管理責任から解放されるメリットがあります。

ただし、引き取り業者の中には悪質な業者も存在するため、信頼できる業者を選ぶことが重要です。引き取り後に適切に管理されるか、業者の実績や評判を確認しましょう。

8-2. 森林組合への相談

地元の森林組合に相談することで、以下のような支援を受けられる可能性があります。

  • 買い手の紹介・あっせん

  • 森林経営管理制度を活用した市町村への管理委託

  • 間伐等の整備補助金の情報提供

8-3. 隣接地所有者への打診

隣接する山林の所有者は、土地の一体管理や拡大を希望している場合があります。登記簿で隣接地の所有者を調べ、直接相談してみるのも一つの方法です。

8-4. 自治体への寄付(難易度高)

市町村に土地を寄付するという選択肢もありますが、自治体が山林の寄付を受け付けているケースは非常に少ないのが現実です。事前に自治体に問い合わせ、寄付の可否を確認しましょう。

8-5. 専門業者への相談

処分困難な不動産を専門に扱う業者や、相続土地問題に詳しい専門家に相談することで、個別の状況に応じた解決策が見つかる可能性があります。

一般社団法人日本不動産管財では、売却困難な保安林や山林の相談を承っております。保安林を含む処分困難な土地でお悩みの方は、お気軽にご相談ください。



9. 相続登記の義務化と保安林

令和6年(2024年)4月1日から、相続登記が義務化されました。保安林を相続した場合も、この義務の対象となります。

9-1. 相続登記義務化のポイント

  • 申請期限:相続の開始を知った日から3年以内

  • 罰則:正当な理由なく申請しない場合、10万円以下の過料

  • 遡及適用:施行前の相続も対象(施行日から3年以内に申請必要)

9-2. 森林の土地の所有者届出

保安林を含む森林を相続した場合、相続登記とは別に、市町村への「森林の土地の所有者届出」も必要です。届出期限は土地の所有者となった日から90日以内です。



10. 保安林かどうかを調べる方法

所有している山林が保安林かどうかを確認する方法は以下の通りです。

10-1. 登記簿謄本(登記事項証明書)で確認

法務局で登記簿謄本を取得し、地目欄を確認します。保安林に指定されている場合、地目が「保安林」と記載されています。

ただし、土地の一部のみが保安林に指定されている場合は、地目が「山林」のままになっていることがあります。

10-2. 都道府県の林務事務所で照会

最も確実な方法は、各都道府県の林務事務所(林業事務所)に問い合わせることです。保安林台帳で指定状況を確認できます。

10-3. 都道府県のホームページで確認

一部の都道府県では、ホームページで保安林の所在地や保安林図を公開しています。お住まいの都道府県のホームページを確認してみましょう。



まとめ:保安林の売却は可能だが、専門家への相談がおすすめ

本記事では、保安林の売却について詳しく解説しました。主なポイントをまとめます。

  • 保安林でも売却は可能。所有権の移転に特別な制限はない

  • ただし、伐採・開発の制限があるため、買い手を見つけにくい場合がある

  • 固定資産税非課税、相続税3〜8割控除など税金面のメリットがある

  • 保安林の解除は非常に難しい。保安林のまま売却を検討するのが現実的

  • 相続土地国庫帰属制度は保安林には使いにくい

  • 売却できない場合は、引き取りサービスや専門業者への相談を検討

保安林の売却・処分は、通常の不動産取引以上に専門的な知識が必要です。お困りの方は、山林取引の専門家にご相談されることをおすすめします。

【保安林の売却・処分でお困りの方へ】

一般社団法人日本不動産管財では、保安林を含む処分困難な土地のご相談を承っております。

売却できない保安林、相続した山林の処分でお悩みの方は、お気軽にお問い合わせください。


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