原野は相続土地国庫帰属制度で手放せる?利用条件・費用・注意点を徹底解説【2026年最新版】
- 一般社団法人日本不動産管財
- 2025年12月29日
- 読了時間: 18分
更新日:4 日前
「親から相続した原野を持て余している」「原野商法で購入した土地を子どもに相続させたくない」——このような悩みを抱える方は少なくありません。
2023年4月27日にスタートした相続土地国庫帰属制度は、相続した不要な土地を国に引き取ってもらえる画期的な制度です。しかし、原野商法で購入した土地や山林・原野には、制度利用にあたって特有の注意点があります。
本記事では、原野と相続土地国庫帰属制度の関係について、最新の統計データや法的要件を踏まえて徹底解説します。制度を利用できるケース・できないケース、費用の計算方法、申請手続きの流れまで、原野処分を検討している方が知っておくべき情報を網羅しています。
この記事でわかること
原野商法とは何か、その歴史と二次被害の実態
相続土地国庫帰属制度の概要と原野への適用条件
原野商法の被害者・相続人が制度を利用できるケース
審査手数料・負担金の具体的な計算方法
制度が利用できない場合の代替手段
最新の統計データに基づく制度の実績
目次
1. 原野商法とは?その歴史と現在も続く被害
原野商法の定義
原野商法とは、値上がりの見込みがほとんどない山林や原野について、「将来確実に高値で売れる」「開発計画がある」などと虚偽の説明をして、不当に高額で販売する悪徳商法です。
ここでいう「原野」とは、不動産登記における地目の一つで、人の手が加わっておらず雑草や灌木などが生えている土地を指します。実際には建設計画もなく、資産価値もほとんどない土地を投資目的で購入させる詐欺的な手口です。
原野商法の歴史
原野商法は1960年代から1980年代にかけて大流行しました。高度経済成長期からバブル期にかけて「土地神話」が根強く、多くの人々が「土地は必ず値上がりする」と信じていた時代背景があります。
この時期の特徴として:
有名人を起用した広告やチラシで大々的に宣伝
「○○高原」「○○リゾート」などの魅力的な名称を付けて販売
「近くに高速道路が通る」「リゾート開発が決まった」などの虚偽説明
当時は法整備が追いついておらず、被害が拡大
被害者の多くは当時30〜50代の働き盛りの世代で、現在では70〜80代以上の高齢者となっています。
原野商法で購入された土地の特徴
原野商法で販売された土地には、以下のような共通点があります:
アクセスが悪い:公道に面していない、または道路から遠い
利用価値がない:急傾斜地、湿地、雑木林など
管理が困難:現地への到達すら難しい場合も
境界が不明確:測量されておらず、隣地との境界が曖昧
管理組合の存在:分譲地形式で管理費が発生するケースも
これらの土地は、現在でも売却はもちろん、自治体への寄付すら断られることがほとんどです。固定資産税や管理費の負担だけが残り、まさに「負動産」となっています。
2. 原野商法の二次被害が急増中!その手口と対策
二次被害とは
原野商法の二次被害とは、かつて原野商法で土地を購入した被害者やその相続人を狙い、さらに金銭をだまし取る詐欺行為です。
国民生活センターのデータによると、原野商法の二次被害に関する相談件数は:
2010年度まで:年間500件以下
2013年度以降:年間1,000件前後に増加
2017年度以降:年間1,500件超で推移
被害者の約91%が60歳以上の高齢者であり、平均被害額は約484万円(2018年度)と高額化しています。
二次被害の主な手口
【手口1】売却勧誘・下取り型
最も多い手口です。
「あなたの土地を高額で買い取ります」と突然連絡
契約手続きを進める中で、別の土地の購入を勧められる
気づかないうちに「売却額<新規購入額」の契約を結ばされる
差額を支払った後、業者と連絡が取れなくなる
例:所有する原野を800万円で売り、1,200万円の別の原野を購入させられ、差額400万円を支払わされるケースなど。
【手口2】サービス提供型
「土地を売却するには測量が必要」と説明
測量費、整地費、広告費などの名目で費用を請求
合計で数十万円〜数百万円を支払わされる
実際には売却の話は進まず、連絡が途絶える
【手口3】管理費請求型
突然、見知らぬ管理会社から「管理費の滞納がある」と通知
「過去の管理費を支払わないと訴訟を起こす」と脅される
不安から言われるがまま支払ってしまう
二次被害を防ぐための対策
突然の「うまい話」は疑う:高値で買い取るという話には要注意
即決を避ける:必ず家族や専門家に相談してから判断
契約書は慎重に確認:署名前に内容を細かくチェック
相手の身元を確認:会社名、所在地、免許番号などを調べる
公的機関に相談:不安を感じたら消費生活センター(局番なし188)へ
2024年以降、二次被害が増加する懸念
2023年4月の相続土地国庫帰属制度の開始、2024年4月の相続登記義務化により、土地処分への関心が高まっています。この状況を悪用し、制度の利用を装った新たな詐欺手口が出てくることも予想されます。
「相続土地国庫帰属制度の手続きを代行する」などと持ちかけられた場合は、必ず法務局や専門家(弁護士・司法書士・行政書士)に確認しましょう。
3. 相続土地国庫帰属制度とは?制度の概要
制度創設の背景
日本では少子高齢化の進展により、以下のような問題が深刻化していました:
所有者不明土地の増加:相続しても登記されず放置される土地が増加
管理不全の土地:遠方に住んでいて管理できない土地が荒廃
相続負担の増大:利用価値のない土地の相続が負担に
国土交通省の調査(2016年)によると、不動産登記簿で所有者が確認できない土地は全体の約20%に上り、その約7割が相続によるものとされています。
この問題を解決するため、相続土地国庫帰属制度が創設されました。
制度の概要
相続土地国庫帰属制度は、相続または遺贈(相続人に対する遺贈に限る)によって取得した土地の所有権を、一定の要件を満たした場合に国庫に帰属させることができる制度です。
根拠法:相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律(令和3年法律第25号)
施行日:令和5年(2023年)4月27日
制度のポイント
項目 | 内容 |
対象者 | 相続・遺贈により土地を取得した人 |
対象の土地 | 一定の要件を満たす土地(後述) |
費用 | 審査手数料(1筆14,000円)+負担金(原則20万円〜) |
審査期間 | 約6ヶ月〜1年程度 |
管轄 | 土地の所在地を管轄する法務局 |
従来の方法との違い
これまで不要な土地を手放す方法は限られていました:
方法 | 問題点 |
売却 | 買い手がつかない |
寄付(自治体) | 管理費がかかるため断られる |
相続放棄 | プラスの財産も含めて全て放棄が必要 |
相続土地国庫帰属制度は、「不要な土地だけを手放し、他の財産は相続できる」という点で画期的な制度です。
4. 原野で相続土地国庫帰属制度を利用できる人・できない人
制度を利用できる人の基本条件
相続土地国庫帰属制度を利用できるのは、以下の条件を満たす人です:
相続または遺贈(相続人に対するものに限る)により土地を取得した人
土地の所有権の全部または共有持分を有する人
重要ポイント:売買や贈与など、相続以外の原因で土地を取得した場合は、原則として制度を利用できません。
原野商法の被害者は利用できる?
ここが重要なポイントです。
原野商法で自ら土地を購入した本人は、取得原因が「売買」であるため、原則として相続土地国庫帰属制度を利用することはできません。
しかし、以下のケースでは制度を利用できます:
【利用可能ケース1】原野商法被害者の相続人
原野商法で土地を購入した人(被害者)が亡くなり、その相続人が土地を相続した場合は、相続人として制度を利用できます。
例:
父が1980年代に原野商法で土地を購入
2023年に父が死亡し、子が土地を相続
→ 子は相続土地国庫帰属制度を利用可能
【利用可能ケース2】共有地で相続人がいる場合
土地が共有名義で、共有者の中に相続・遺贈により持分を取得した人がいる場合は、共有者全員が共同で申請することにより、制度を利用できます。
例:
AさんとBさんが原野を共有(各持分2分の1)
Aさんは売買で取得(原野商法で購入)
Bさんは相続で取得(親から相続)
→ AさんとBさんが共同で申請すれば制度利用可能
制度を利用できない人
以下の場合は制度を利用できません:
売買、贈与、時効取得など相続以外の原因で土地を取得した個人
法人(会社など)
相続人以外への遺贈を受けた人
共有地で、共有者の中に相続等で取得した人がいない場合
5. 原野で制度を利用するための要件と注意点
相続土地国庫帰属制度を利用するには、土地が一定の要件を満たす必要があります。原野の場合、特に注意すべきポイントがあります。
却下要件(申請段階で却下される土地)
以下のいずれかに該当する土地は、申請の段階で直ちに却下されます:
①建物がある土地
原野であっても、小屋や廃屋などの建物が残っている場合は申請できません。制度を利用するには、事前に建物を解体・撤去する必要があります。
②担保権・使用収益権が設定されている土地
抵当権、地上権、地役権、賃借権などが設定されている土地は対象外です。
③他人の利用が予定されている土地
通路、墓地、境内地、水道用地、用悪水路、ため池として利用されている土地は対象外です。
原野の注意点:原野商法で分譲された土地には、分譲地内の通路として利用されている部分があることがあります。この場合は申請できません。
④土壌汚染されている土地
土壌汚染対策法に規定する特定有害物質により汚染されている土地は対象外です。
⑤境界が明らかでない土地
原野で最も問題になりやすい要件です。
隣接する土地との境界が明確でない場合、申請は却下されます。原野商法で購入された土地は、測量が行われていないケースが多く、境界が不明確なことが珍しくありません。
制度を利用するには、事前に境界確定を行う必要があります。ただし、境界確定には費用と時間がかかります。
不承認要件(審査の結果不承認となる土地)
申請が受理されても、以下に該当する場合は審査の結果不承認となります:
①崖がある土地
勾配30度以上かつ高さ5メートル以上の崖があり、管理に過分の費用・労力がかかる土地は不承認となります。
②工作物・車両・樹木等がある土地
土地の管理・処分を阻害する有体物(工作物、車両、樹木など)が地上にある土地は不承認となります。
原野の注意点:放置された原野には、投棄されたゴミ、放置車両、過度に繁茂した樹木などがあることがあります。これらは事前に撤去・整備する必要があります。
③地下に埋設物がある土地
除去しなければ管理・処分できない有体物が地下にある土地は不承認となります。
④通行権等が妨げられている土地
民法上の通行権利が現に妨げられている土地、所有権の使用・収益が妨害されている土地は不承認となります。
⑤災害対策が必要な土地
災害の危険により、土地や周辺の人・財産に被害を生じさせるおそれがあり、防止措置が必要な土地は不承認となります。
⑥管理組合がある土地
原野商法の土地で特に注意が必要な点です。
原野商法で分譲された土地には、管理組合が設立されているケースがあります。この場合、国庫に帰属した後も管理費用の負担が発生する可能性があり、不承認となる場合があります。
該当するケース:
分譲地の管理組合に加入している
管理費・共益費の支払い義務がある
道路・水道などの共有施設を使用している
⑦森林として追加整備が必要な土地
適切な造林、間伐、保育が実施されておらず、国による追加整備が必要な森林は不承認となります。
原野と森林の違い:
原野:雑草や灌木が生えている程度の土地 → 負担金は原則20万円
森林:主に森林として利用されている土地 → 面積に応じて負担金が変動
原野商法で購入した土地であっても、長年放置されて森林化している場合は「森林」として扱われる可能性があります。
6. 費用はいくらかかる?審査手数料と負担金の計算方法
相続土地国庫帰属制度の利用には、審査手数料と負担金の2種類の費用がかかります。
審査手数料
項目 | 内容 |
金額 | 1筆あたり14,000円 |
納付方法 | 申請書に収入印紙を貼付 |
納付時期 | 申請時 |
返還 | 却下・不承認・取下げの場合も返還なし |
注意:土地が隣接していても、筆数分の審査手数料がかかります。
例:3筆の原野を申請する場合 → 14,000円 × 3筆 = 42,000円
負担金
負担金は、国庫に帰属した土地を国が管理するための費用として、10年分の管理費相当額を納付するものです。
原野の負担金
原野(「その他」に分類される土地)の負担金は、面積にかかわらず原則として20万円です。
これは、原野は管理が比較的容易で、国の負担が少ないとされているためです。
森林の負担金
長年放置されて森林化している場合は、「森林」として扱われ、面積に応じて負担金が変動します。
面積 | 負担金の計算式 |
〜750㎡ | 面積 × 59円 + 210,000円 |
750㎡超〜1,500㎡ | 面積 × 24円 + 237,000円 |
1,500㎡超〜3,000㎡ | 面積 × 17円 + 248,000円 |
3,000㎡超〜6,000㎡ | 面積 × 12円 + 263,000円 |
6,000㎡超〜10,000㎡ | 面積 × 8円 + 287,000円 |
10,000㎡超 | 面積 × 6円 + 307,000円 |
計算例:森林1,000㎡(約300坪)の場合 → 1,000㎡ × 24円 + 237,000円 = 261,000円
隣接する土地の負担金特例
隣接する2筆以上の土地が同じ種目(例:原野と原野、森林と森林)である場合、申し出により1筆分の負担金で済む特例があります。
例:隣接する3筆の原野を申請する場合
審査手数料:14,000円 × 3筆 = 42,000円
負担金:20万円(特例適用で1筆分)
合計:242,000円
※異なる種目(原野と森林など)が隣接している場合は、特例は適用されません。
専門家報酬
相続土地国庫帰属制度の申請を弁護士、司法書士、行政書士に依頼する場合は、別途専門家報酬がかかります。
現在の相場は10万円〜50万円程度とされています。書類作成の難易度、土地の状況、現地調査の有無などによって変動します。
7. 申請から国庫帰属までの流れ
STEP1:事前相談
まず、土地の所在地を管轄する法務局に事前相談を行います。
相談方法:対面、電話、ウェブ(2024年10月〜)
予約制:事前予約が必要
相談内容:制度の概要説明、土地が要件を満たすかの確認
法務局では「相続土地国庫帰属相談票」に記入し、土地の状況を確認してもらえます。
相談に持参するもの:
土地の登記事項証明書
固定資産税の課税明細書
公図、地積測量図(あれば)
土地の写真
STEP2:必要書類の準備
申請に必要な書類を準備します。
必須書類:
承認申請書
土地の位置・範囲を明らかにする図面
土地と隣接地との境界点を明らかにする写真
土地の形状を明らかにする写真
申請者の印鑑証明書
土地の状況に応じた書類:
相続を証明する書類(戸籍謄本、遺産分割協議書など)
共有の場合は共有者全員の同意書
その他法務局が求める書類
STEP3:承認申請
必要書類を揃えて、土地の所在地を管轄する法務局に申請します。
申請書に審査手数料分の収入印紙を貼付
郵送での申請も可能
STEP4:書面審査・実地調査
法務局が書面審査と実地調査を行います。
審査期間:約6ヶ月〜1年程度
実地調査への協力を求められる場合あり
STEP5:承認・負担金の納付
審査の結果、承認された場合は法務局から通知が届きます。
負担金の納入告知書が送付される
期限:通知到達の翌日から30日以内に納付
納付先:日本銀行(代理店・歳入代理店含む)
STEP6:国庫帰属
負担金を納付した時点で、土地の所有権が国に移転します。
これ以降、固定資産税の負担や管理義務から解放されます。
8. 【最新】相続土地国庫帰属制度の統計データ
法務省が公開している最新の統計データをもとに、制度の運用状況を見てみましょう。
申請件数
項目 | 件数 |
総申請件数 | 4,374件 |
田・畑 | 1,688件(38.6%) |
宅地 | 1,520件(34.7%) |
山林 | 687件(15.7%) |
その他(原野・雑種地等) | 479件(11.0%) |
山林・原野を合わせると約27%を占めており、原野商法に関連する土地からの申請も相当数あると推測されます。
帰属件数(承認件数)
制度開始から約1年半で、多くの土地が国庫に帰属しています。
承認率は約90%以上と高い水準を維持しています。これは、事前相談を経て要件を満たす土地のみが申請されているためと考えられます。
却下・不承認件数
区分 | 件数 | 主な理由 |
却下 | 71件 | 境界が明らかでない(16件)、通路として使用されている(18件)、添付書類不備(34件)等 |
不承認 | 69件 | 地上の有体物(32件)、森林の追加整備必要(29件)、崖がある(6件)等 |
原野に関連する不承認理由:
土地の管理・処分を阻害する工作物、車両、樹木等が地上にある(32件)
国による追加整備が必要な森林(29件)
これらは、原野商法で購入され放置された土地に多く見られる問題です。
統計から見える傾向
山林・原野は審査期間が長い傾向:境界確認や現地調査に時間がかかる
事前準備が重要:却下・不承認の多くは事前対応で回避可能
承認率は高い:要件を満たす土地であれば、高い確率で承認される
9. 制度が利用できない場合の対処法
相続土地国庫帰属制度の要件を満たさない場合や、費用面で利用が難しい場合の代替手段を紹介します。
売却を検討する
まず検討すべきは売却です。原野商法の土地は一般的に売却が難しいとされていますが、以下のような可能性があります:
隣接地所有者への打診:隣の土地の所有者が拡張目的で購入を検討する場合も
不動産会社への相談:処分困難な土地を専門に扱う業者も存在
マッチングサービスの利用:不要な土地の売買を仲介するサービス
自治体への寄付を検討する
自治体によっては、条件付きで土地の寄付を受け入れている場合があります。
公共目的での利用が見込める土地
道路予定地、公園予定地など
市町村の担当課に問い合わせ
ただし、多くの自治体は管理費用の観点から寄付を断るケースがほとんどです。
相続放棄を検討する
相続開始を知った時から3ヶ月以内であれば、相続放棄も選択肢となります。
注意点:
プラスの財産も含めて全て放棄が必要
次順位の相続人に相続権が移る
家庭裁判所への申述が必要
専門業者への相談
近年、処分困難な土地の引き取りを行う専門業者が増えています。
メリット:
相続土地国庫帰属制度の要件を満たさない土地も対応可能
審査手続きの手間が省ける
比較的短期間で処分が完了
注意点:
引き取り費用が発生する
信頼できる業者かどうかの見極めが必要
原野商法の二次被害に注意
当社団でも、相続土地国庫帰属制度が利用できない原野・山林の引き取り相談を承っております。まずはお気軽にご相談ください。
10. よくある質問(FAQ)
Q1. 原野商法で購入した土地でも相続土地国庫帰属制度は使えますか?
A. 原野商法で自ら購入した本人は利用できません。ただし、その土地を相続した相続人は制度を利用できます。また、共有地で共有者の中に相続人がいる場合は、共同申請により利用可能です。
Q2. 境界がわからない原野でも申請できますか?
A. 境界が明らかでない土地は申請の段階で却下されます。制度を利用するには、事前に境界確定を行う必要があります。境界確定には測量費用(数十万円〜)と時間がかかる場合があります。
Q3. 管理組合がある分譲地は申請できますか?
A. 管理組合があり、国庫帰属後も管理費用の負担が発生する土地は、不承認となる可能性が高いです。事前に法務局に相談することをおすすめします。
Q4. 原野の負担金はいくらですか?
A. 原野(「その他」に分類される土地)の負担金は、面積にかかわらず原則20万円です。ただし、長年放置されて森林化している場合は「森林」として扱われ、面積に応じて負担金が変動します。
Q5. 審査にはどのくらいの期間がかかりますか?
A. 通常、約6ヶ月〜1年程度かかります。原野や山林は、境界確認や現地調査に時間がかかるため、宅地よりも審査期間が長くなる傾向があります。
Q6. 申請が却下・不承認となった場合、審査手数料は返還されますか?
A. いいえ、審査手数料は却下・不承認・取下げの場合も返還されません。事前相談で要件を確認してから申請することが重要です。
Q7. 相続登記がまだの土地でも申請できますか?
A. 相続土地国庫帰属制度の申請には、相続登記が完了している必要があります。未登記の場合は、まず相続登記を行ってから申請してください。なお、2024年4月から相続登記が義務化されています。
Q8. 原野を放置し続けるとどうなりますか?
A. 以下のリスクがあります:
固定資産税の負担が継続
管理義務違反による近隣トラブル
不法投棄の温床になる可能性
相続時に子や孫に負担が引き継がれる
2024年4月からは相続登記の義務化により、放置すると過料の対象に
Q9. 原野商法の二次被害に遭わないためにはどうすればいいですか?
A. 以下の点に注意してください:
「高く買い取る」という突然の連絡は疑う
即決を求められても、家族や専門家に相談してから判断
契約書は細かく確認し、不明点は質問する
不安を感じたら消費生活センター(188)に相談
11. まとめ
原野商法で購入された土地や、相続した原野の処分は、長年の課題でした。2023年4月にスタートした相続土地国庫帰属制度は、この問題を解決する有力な選択肢となっています。
本記事のポイント
原野商法で購入した本人は制度を利用できないが、相続人は利用可能
境界が明確でない土地は申請できないため、事前の境界確定が必要
管理組合がある分譲地は不承認となる可能性が高い
原野の負担金は原則20万円、審査手数料は1筆14,000円
審査期間は約6ヶ月〜1年
二次被害に注意し、怪しい勧誘には応じない
次のステップ
原野の処分を検討されている方は、以下のステップで進めることをおすすめします:
土地の状況を確認:登記事項証明書、公図、現地の状況を把握
法務局に事前相談:要件を満たすかどうかを確認
費用を試算:審査手数料、負担金、境界確定費用などを計算
専門家に相談:弁護士、司法書士、行政書士などに相談
相続土地国庫帰属制度が利用できない場合や、お急ぎの場合は、当協会の原野・山林引き取りサービスもご検討ください。
原野・山林の処分でお困りの方へ
一般社団法人日本不動産管財では、土地の無料調査をおこなっております。
「この土地は制度が使えるのか」「費用はどのくらいかかるのか」など、お気軽にご相談ください。
参考文献:
法務省「相続土地国庫帰属制度について」
法務省「相続土地国庫帰属制度の統計」
国民生活センター「原野商法の二次被害トラブル」
国土交通省「原野商法の二次被害トラブルにご注意ください」
