別荘地の相続放棄|手続き方法・注意点・代替手段を徹底解説【2026年最新版】
- 一般社団法人日本不動産管財

- 2025年12月29日
- 読了時間: 22分
更新日:4 日前
「親から別荘地を相続することになったが、使う予定もないし維持費だけがかかる…」「別荘だけ相続放棄できないの?」このようなお悩みを抱えている方は、近年非常に増えています。
バブル期に購入された別荘や別荘地の多くは、現在では資産価値が大幅に下落し、売却も困難な「負動産」となっているケースが少なくありません。2022年には全国の家庭裁判所で過去最多となる26万497件の相続放棄が受理されており、別荘地を含む不動産の相続放棄は社会問題化しています。
本記事では、別荘地の相続放棄について、基本的な仕組みから具体的な手続き方法、注意すべきポイント、そして相続放棄以外の選択肢まで、専門的かつ実践的な情報を網羅的に解説します。
目次
別荘地の相続放棄とは?基本的な仕組みを理解する
相続放棄の法的な定義
相続放棄とは、民法に基づき、被相続人(亡くなった方)の財産について一切の相続権を放棄する法的手続きです。相続放棄をすると、「初めから相続人ではなかった」という法的効果が発生し、プラスの財産もマイナスの財産も一切相続しないことになります。
相続放棄は、相続の開始を知った日(通常は被相続人の死亡を知った日)から3ヶ月以内に、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に申述(申し立て)を行う必要があります。この3ヶ月の期間は「熟慮期間」と呼ばれ、相続人が財産状況を調査し、相続するか放棄するかを判断するための期間として設けられています。
別荘地が「負動産」になる理由
かつて別荘は富裕層のステータスシンボルであり、バブル期には投資対象としても人気を集めました。しかし現在、多くの別荘地は以下の理由により「負動産」となっています。
資産価値の大幅な下落
バブル崩壊後、別荘地の需要は激減し、購入時の価格から90%以上も値下がりしている物件も珍しくありません。数千万円で購入した別荘が、現在では数十万円でも買い手がつかないケースが多発しています。
維持費の継続的な負担
別荘は使用していなくても、固定資産税、管理費、水道光熱費の基本料金などが毎年発生します。年間で数十万円の負担が、所有し続ける限り永続的にかかり続けます。
売却困難な市場環境
少子高齢化やライフスタイルの変化により、別荘需要は低迷を続けています。交通の便が悪い場所にある別荘は特に売却が困難で、不動産会社に相談しても取り扱いを断られるケースも増えています。
管理の手間と老朽化
別荘は常時居住していないため、建物の劣化が早く進みます。定期的なメンテナンスを行わなければ資産価値はさらに低下し、最終的には解体費用だけがかかる状態になりかねません。
別荘地だけを相続放棄することはできない
相続放棄は「全か無か」の選択
最も重要な注意点として、別荘地だけを選んで相続放棄することは法律上できません。相続放棄は、被相続人の全ての財産について相続権を放棄する手続きです。
つまり、「別荘地は相続放棄するが、預貯金や自宅は相続する」という選択は認められていません。相続放棄を選択すると、プラスの財産(現金、預貯金、有価証券、自宅など)もマイナスの財産(借金、未払い金など)も、別荘地も含めて全て相続できなくなります。
遺産分割協議という選択肢
別荘地を自分は相続したくないが、他の財産は相続したいという場合は、相続放棄ではなく遺産分割協議を検討しましょう。
遺産分割協議とは、相続人全員で遺産の分け方を話し合い、合意を形成する手続きです。この協議において、「別荘地は他の相続人が相続する」という取り決めをすることで、特定の財産を他の相続人に譲ることができます。
ただし、遺産分割協議には以下の条件があります。
相続人全員の合意が必要
別荘地を引き受けてくれる相続人がいなければ成立しない
相続人が一人しかいない場合は利用できない
全ての相続人が別荘地の相続を拒否する場合、遺産分割協議による解決は難しくなります。
別荘地を相続した場合にかかる維持費・負担の実態
相続放棄を検討する前に、別荘地を相続した場合に実際にどれくらいの費用負担が発生するのかを把握しておくことが重要です。
年間にかかる主な費用
一般社団法人不動産流通経営協会の「複数拠点生活に関する意向調査」(2022年)によると、別荘を含むサブ拠点の平均維持費は月額約5.4万円、年間で約60万円程度とされています。
具体的な費用内訳は以下の通りです。
1. 固定資産税
土地・建物を所有している限り毎年課税されます。評価額の1.4%が標準税率ですが、別荘は住宅用地の軽減措置が適用されないケースが多く、一般の自宅より税負担が重くなる傾向があります。
平均的な金額:年間5万円〜20万円程度
都市計画区域内の場合は都市計画税(最大0.3%)も加算
2. 管理費
管理会社が運営する別荘地では、道路の整備、除雪、ゴミ収集、共用施設の維持管理などのために管理費が徴収されます。
土地のみの場合:年間3万円〜10万円程度
建物がある場合:年間10万円〜30万円程度
3. 水道光熱費
使用していなくても基本料金は発生します。特に寒冷地の別荘では、凍結防止のための通水や暖房が必要な場合もあります。
電気・ガス・水道の基本料金:年間5万円〜10万円程度
4. 火災保険料
別荘は無人期間が長いため、一般住宅向けの火災保険には加入できないケースがあります。別荘専用の保険に加入する必要があり、保険料も割高になります。
年間保険料:3万円〜10万円程度
5. 修繕費(積立)
建物の老朽化に備えた修繕費用の積立も必要です。屋根の補修、外壁の塗り替え、設備の交換などは、いずれ必ず必要になります。
積立目安:年間10万円〜30万円程度
6. その他の費用
住民税(均等割):年間5,000円
借地の場合の借地料:年間数万円〜数十万円
浄化槽の維持管理・汲み取り費用:年間2万円〜5万円程度
温泉権がある場合の温泉使用料:月額数千円〜数万円
維持費総額のシミュレーション
一般的な別荘(土地100坪・建物30坪程度)を所有した場合の年間維持費を試算すると、以下のようになります。
項目 | 年間費用(目安) |
固定資産税 | 10万円 |
管理費 | 15万円 |
水道光熱費(基本料金) | 6万円 |
火災保険料 | 5万円 |
修繕積立 | 15万円 |
住民税(均等割) | 0.5万円 |
その他(交通費等) | 5万円 |
合計 | 約56.5万円 |
仮にこの別荘を20年間所有し続けると、維持費だけで1,000万円以上の支出になります。 使わない別荘を相続することの経済的負担は、決して軽視できるものではありません。
相続放棄のメリットとデメリット
相続放棄のメリット
1. 維持費・税金の負担から解放される
相続放棄をすれば、別荘地にかかる固定資産税、管理費、その他の維持費を負担する必要がなくなります。これは長期的に見ると非常に大きなメリットです。
2. 管理責任からの解放
別荘地を所有していると、建物の老朽化による近隣への被害、草木の繁茂による苦情など、様々な管理責任を負うことになります。相続放棄により、原則としてこれらの責任から解放されます。
3. 手続きが比較的簡単
相続放棄の手続き自体は、必要書類を揃えて家庭裁判所に提出するだけで完了します。弁護士や司法書士に依頼しなくても、自分で行うことも可能です。
4. 被相続人の借金も相続しない
被相続人に借金やローン残債がある場合、相続放棄をすればこれらの債務も相続しません。別荘のローンが残っている場合なども、返済義務を負わずに済みます。
相続放棄のデメリット
1. 全ての財産を放棄することになる
前述の通り、相続放棄は全ての財産について行われます。預貯金、有価証券、自宅など、プラスの財産も一切相続できなくなります。
2. 一度放棄すると撤回できない
家庭裁判所に相続放棄が受理されると、原則として撤回することはできません。後から「やはり相続したい」と思っても、取り消すことはできません。
3. 次順位の相続人に相続権が移る
相続放棄をすると、次順位の相続人に相続権が移ります。例えば、被相続人の子が全員相続放棄をすると、被相続人の親や兄弟姉妹に相続権が移り、今度は彼らが別荘地の相続問題を抱えることになります。
4. 期限が厳格に定められている
相続放棄は「相続の開始を知った日から3ヶ月以内」に行う必要があります。この期間を過ぎると、原則として相続放棄はできなくなります。
5. 相続放棄後も管理義務が残る場合がある
後述しますが、一定の条件下では相続放棄後も別荘地の管理義務が残ることがあります。
相続放棄の具体的な手続き方法と必要書類
手続きの流れ
ステップ1:相続財産の調査
まず、被相続人の全ての財産と債務を調査します。預貯金、不動産、有価証券などのプラスの財産と、借金、ローン、未払い金などのマイナスの財産を洗い出します。
ステップ2:相続放棄の判断
調査結果を踏まえ、本当に相続放棄をするべきかを慎重に判断します。プラスの財産がマイナスの財産を上回る場合、相続放棄は経済的に不利になる可能性があります。
ステップ3:必要書類の収集
相続放棄の申述に必要な書類を収集します(詳細は後述)。
ステップ4:相続放棄申述書の作成
家庭裁判所の書式に従い、相続放棄申述書を作成します。書式は裁判所のホームページからダウンロードできます。
ステップ5:家庭裁判所への申述
被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に、相続放棄申述書と必要書類を提出します。窓口への持参でも、郵送でも可能です。
ステップ6:照会書への回答
申述後、約10日〜2週間程度で家庭裁判所から「相続放棄に関する照会書」が届きます。照会書に必要事項を記入し、返送します。
ステップ7:受理通知の受領
照会書の返送後、約10日程度で「相続放棄申述受理通知書」が届きます。これで正式に相続放棄が完了します。
必要書類一覧
相続放棄の申述に必要な書類は、申述人(相続放棄をする人)と被相続人の関係によって異なります。
全てのケースで必要な書類
相続放棄申述書
申述人の戸籍謄本
被相続人の住民票の除票(または戸籍の附票)
収入印紙800円
連絡用の郵便切手(裁判所により異なる)
申述人が被相続人の子の場合
上記に加えて、
被相続人の死亡が記載された戸籍謄本
申述人が被相続人の親・祖父母の場合
上記に加えて、
被相続人の出生から死亡までの全ての戸籍謄本
被相続人の子が死亡している場合は、その子の出生から死亡までの全ての戸籍謄本
申述人が被相続人の兄弟姉妹の場合
上記に加えて、
被相続人の出生から死亡までの全ての戸籍謄本
被相続人の子が死亡している場合は、その子の出生から死亡までの全ての戸籍謄本
被相続人の直系尊属の死亡が記載された戸籍謄本
郵送での手続きも可能
被相続人の最後の住所地が遠方にある場合でも、相続放棄の手続きは郵送で行うことができます。書留郵便やレターパックプラスで送付することをお勧めします。
相続放棄の費用と期間
相続放棄にかかる費用
自分で手続きする場合
費用項目 | 金額 |
収入印紙 | 800円 |
郵便切手 | 500円〜1,000円程度(裁判所により異なる) |
戸籍謄本等の取得費用 | 1,000円〜5,000円程度 |
合計 | 3,000円〜7,000円程度 |
専門家に依頼する場合
依頼先 | 費用相場 |
司法書士 | 3万円〜5万円程度 |
弁護士 | 5万円〜10万円程度 |
期限が迫っている場合や、相続関係が複雑な場合は、専門家への依頼を検討しましょう。
手続きにかかる期間
一般的な相続放棄の手続きは、申述から受理まで約1ヶ月〜1ヶ月半程度かかります。
書類準備:1〜2週間
申述後、照会書が届くまで:約10日〜2週間
照会書返送後、受理通知まで:約10日
ただし、熟慮期間(3ヶ月)には書類準備の期間も含まれますので、相続開始を知ったら早めに準備を始めることが重要です。
相続放棄における重要な注意点
熟慮期間(3ヶ月)の厳守
相続放棄は、「自己のために相続の開始があったことを知った時」から3ヶ月以内に行う必要があります。この期間を過ぎると、自動的に「単純承認」したものとみなされ、被相続人の全ての財産・債務を相続することになります。
ただし、3ヶ月以内に判断ができない正当な理由がある場合は、家庭裁判所に「熟慮期間の伸長」を申し立てることで、期間を延長してもらえる場合があります。
熟慮期間の伸長が認められるケース
相続財産が多岐にわたり、調査に時間がかかる場合
被相続人が遠方に住んでいて、財産調査が困難な場合
相続人が海外に居住している場合
「期限があることを知らなかった」「忙しくて手続きできなかった」という理由では、原則として伸長は認められません。
単純承認とみなされる行為に注意
相続放棄を行う前に、以下のような行為をしてしまうと「単純承認」をしたものとみなされ、相続放棄ができなくなる可能性があります。
単純承認とみなされる行為の例
被相続人の預貯金を解約・引き出しした
被相続人名義の不動産の名義変更(相続登記)をした
被相続人の財産を売却・処分した
被相続人の借金を相続人の資金で返済した
遺産分割協議に参加して合意した
単純承認にならない行為の例
被相続人の葬儀費用を遺産から支払った(社会通念上相当な範囲内)
被相続人の財産を調査・確認した
形見分け程度の遺品を受け取った
判断に迷う場合は、何も手をつけず、専門家に相談することをお勧めします。
次順位相続人への影響
相続放棄をすると、相続権は次順位の相続人に移ります。相続順位は以下の通りです。
第1順位:子(子が死亡している場合は孫)
第2順位:父母(父母が死亡している場合は祖父母)
第3順位:兄弟姉妹(兄弟姉妹が死亡している場合はその子=甥・姪)
例えば、被相続人の子が全員相続放棄をすると、被相続人の父母が相続人になります。父母が既に死亡している場合は、兄弟姉妹が相続人になります。
次順位の相続人も別荘地の相続を望まない場合は、その相続人も改めて相続放棄の手続きを行う必要があります。相続人全員が相続放棄をしても、別荘地の問題が解決するわけではありません。最終的には相続財産管理人が選任され、財産の処分が行われることになりますが、それまでの間、管理義務が残る可能性があります。
相続放棄後も管理義務が残るケースとは
民法改正(令和5年4月1日施行)による変更
2023年4月1日に施行された改正民法により、相続放棄後の管理義務に関するルールが明確化されました。
改正前の規定
改正前は、相続放棄をした者は「その放棄によって相続人となった者が相続財産の管理を始めることができるまで、自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産の管理を継続しなければならない」とされていました。
改正後の規定(現行法)
改正後は、「相続の放棄をした時に相続財産に属する財産を現に占有しているとき」に限り、管理義務を負うこととされました。
管理義務が残る具体的なケース
改正後の規定により、以下のような場合に管理義務が残ります。
管理義務が残るケース
相続放棄前に別荘の鍵を持っていた
相続放棄前に別荘に住んでいた・使用していた
相続放棄前に別荘の管理を行っていた
管理義務が残らないケース
別荘の存在は知っていたが、一度も訪れたことがない
別荘を占有・使用したことがない
別荘の鍵を持っていない
管理義務の内容と終了時期
管理義務がある場合、相続人は「相続人又は相続財産の清算人に対して当該財産を引き渡すまでの間、自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産を保存しなければならない」とされています。
管理義務は、以下の場合に終了します。
次順位の相続人が財産の管理を開始した
相続財産清算人が選任され、財産を引き渡した
国庫に帰属した
なお、相続財産清算人の選任には費用がかかり、申立人が負担する必要があります。予納金として50万円〜100万円程度を求められるケースもあります。
相続放棄以外の選択肢
相続放棄は別荘地の問題を解決する一つの方法ですが、他の財産も全て放棄することになるため、慎重な判断が必要です。ここでは、相続放棄以外の選択肢について解説します。
選択肢1:売却する
最も望ましいのは、別荘地を売却してお金に換えることです。ただし、需要のない別荘地は売却が非常に困難です。
売却を成功させるためのポイント
別荘専門の不動産会社に相談する
相場よりも大幅に価格を下げることを覚悟する
建物を解体し、更地にして売却する(解体費用はかかるが買い手が見つかりやすくなる場合も)
隣地の所有者に購入を打診する
売却にかかる費用
仲介手数料:売却価格の3%+6万円+消費税(または33万円)
解体費用(建物がある場合):100万円〜300万円程度
測量費用(境界確定が必要な場合):30万円〜80万円程度
選択肢2:無償で譲渡する
売却が困難な場合、無償で譲渡(贈与)することも選択肢の一つです。
譲渡先の候補
隣地の所有者
親族・知人
別荘地の管理会社
無償譲渡でも、受け取る側には贈与税がかかる場合があります。また、譲渡後は固定資産税などの負担が移転します。
選択肢3:自治体への寄付
別荘地を地方自治体に寄付できる場合があります。ただし、自治体は管理コストがかかる不動産の寄付を受け入れることに消極的であり、実際に受け入れてもらえるケースは限られています。
寄付が受け入れられやすい条件
公共施設(公園、道路など)として活用できる
立地が良く、行政目的に適している
土壌汚染等の問題がない
建物がない更地である
選択肢4:別荘地処分専門業者に依頼する
近年、売れない不動産を引き取る専門業者が増えています。これらの業者は、一定の費用を支払うことで別荘地を引き取り、所有権を移転してくれます。
メリット
確実に別荘地を手放すことができる
固定資産税等の負担から解放される
相続放棄と異なり、他の財産は相続できる
デメリット
引き取り費用がかかる(数百万円)
悪質な業者も存在するため注意が必要
選択肢5:相続土地国庫帰属制度を利用する
2023年4月27日から施行された「相続土地国庫帰属制度」を利用して、相続した土地を国に引き取ってもらう方法があります。詳しくは次章で解説します。
相続土地国庫帰属制度は別荘地に使えるか
相続土地国庫帰属制度とは
相続土地国庫帰属制度は、相続または遺贈により取得した不要な土地を、一定の条件を満たす場合に国に引き取ってもらえる制度です。所有者不明土地の発生を予防することを目的として創設されました。
制度利用の条件
この制度を利用するためには、いくつかの厳格な条件を満たす必要があります。
申請できる人
相続または遺贈により土地を取得した人
土地の共有者全員(共有の場合)
申請できない土地(却下事由)
以下の土地は、申請の段階で却下されます。
建物がある土地
担保権や使用収益権が設定されている土地
他人の利用が予定されている土地(通路など)
土壌汚染されている土地
境界が明らかでない土地
承認されない土地(不承認事由)
以下の土地は、審査の結果、不承認となります。
崖(勾配30度以上かつ高さ5メートル以上)があり、管理に過分の費用・労力を要する土地
工作物、車両、樹木その他の有体物が地上にある土地
地下に除去が必要な有体物がある土地
隣接する土地の所有者との争訟が必要な土地
その他、通常の管理・処分に過分の費用・労力を要する土地
別荘地で制度を利用する際の注意点
建物がある別荘は対象外
最も重要な点として、建物がある土地は相続土地国庫帰属制度の対象外です。別荘(建物)がある場合は、まず建物を解体して更地にしなければ、この制度を利用することができません。
建物の解体費用は、木造の場合で100万円〜200万円、鉄骨造やRC造の場合はさらに高額になります。
管理別荘地特有の問題
管理別荘地の場合、以下の点も問題になる可能性があります。
道路が私道で、通行権が設定されている場合
管理組合との契約上の問題がある場合
温泉権などの権利関係がある場合
審査手数料と負担金
制度を利用する場合、以下の費用がかかります。
審査手数料:土地1筆あたり14,000円
負担金:国有地の種目に応じた10年分の管理費相当額
負担金の金額は土地の種類により異なりますが、宅地の場合は原則として20万円です。ただし、都市計画法の市街化区域または用途地域が指定されている地域内の宅地は、面積に応じて算定されます。
審査期間
申請から承認までの審査期間は、半年〜1年程度かかるとされています。
制度を利用できない場合の対応
相続土地国庫帰属制度を利用できない場合や、建物の解体費用を負担したくない場合は、別荘地処分専門業者への依頼を検討しましょう。
別荘地処分の専門業者に依頼する方法
別荘地処分専門業者とは
売却困難な別荘地や山林などの「負動産」を、費用を受け取って引き取る専門業者が近年増えています。これらの業者は、所有者から土地・建物を買い取る(または引き取る)ことで、所有権を移転し、固定資産税等の負担から解放します。
専門業者を利用するメリット
確実に所有権を移転できる:売却困難な物件でも、確実に手放すことができます。
建物付きでも対応可能:相続土地国庫帰属制度と異なり、建物がある状態でも引き取りを受けられる業者が多いです。
相続放棄と異なり他の財産は相続可能:別荘地だけを処分し、預貯金等の他の財産は相続できます。
手続きが比較的スムーズ:業者によっては、最短で1〜2ヶ月程度で所有権移転が完了します。
業者選びの注意点
信頼できる業者を選ぶポイント
会社の実績・歴史を確認:設立年数が長く、実績のある会社を選びましょう。
契約内容を慎重に確認:費用の内訳、追加料金の有無、キャンセルポリシーなどを事前に確認しましょう。
引き取り後の土地管理について確認:引き取った土地をどのように管理するのか、放置して近隣に迷惑をかけないかを確認しましょう。
悪質業者に注意
残念ながら、この業界には悪質な業者も存在します。以下のような業者には注意が必要です。
異常に安い引き取り費用を提示する業者(後から追加費用を請求されるケース)
会社の所在地や連絡先が不明確な業者
契約書の内容が曖昧な業者
強引に契約を迫る業者
引き取り後に土地を放置する業者
一般社団法人日本不動産管財のご紹介
当社団(一般社団法人日本不動産管財)では、売却困難な別荘地・山林・原野などの無料調査を提供しています。
別荘地の処分でお困りの方は、ぜひお気軽にご相談ください。
よくある質問(FAQ)
Q1. 相続放棄は自分でできますか?
A. はい、相続放棄の手続きは自分で行うことができます。必要書類を揃えて家庭裁判所に提出するだけで手続きは完了します。ただし、期限(3ヶ月)が迫っている場合や、相続関係が複雑な場合は、弁護士や司法書士に依頼することをお勧めします。
Q2. 3ヶ月の期限を過ぎてしまった場合、相続放棄はできませんか?
A. 原則として、3ヶ月の熟慮期間を過ぎると相続放棄はできません。ただし、「被相続人に相続財産が全くないと信じていた」など、特別な事情がある場合には、3ヶ月を過ぎても相続放棄が認められるケースもあります。このような場合は、速やかに専門家に相談してください。
Q3. 相続放棄をしたら、被相続人の葬儀費用は誰が払うのですか?
A. 相続放棄をしても、葬儀費用を支払うことは可能です。社会通念上相当な範囲内の葬儀費用を被相続人の財産から支払っても、単純承認とはみなされません。ただし、高額な葬儀を行ったり、遺産から不相応な金額を使った場合は問題になる可能性があります。
Q4. 相続人全員が相続放棄をしたら、別荘地はどうなりますか?
A. 相続人全員が相続放棄をしても、別荘地が自動的に消滅するわけではありません。最終的には相続財産清算人が選任され、財産の処分が行われます。処分されずに残った財産は国庫に帰属しますが、それまでの間、最後に相続放棄をした相続人に管理義務が残る場合があります。
Q5. 別荘地を0円で売ることはできますか?
A. 法律上は0円での売却(実質的な無償譲渡)も可能です。ただし、受け取る側は贈与税の対象となる可能性があるため、事前に確認が必要です。また、0円でも買い手が見つからないケースが多いのが現実です。
Q6. 相続土地国庫帰属制度を使えば、建物付きの別荘も国に引き取ってもらえますか?
A. いいえ、建物がある土地は相続土地国庫帰属制度の対象外です。建物を解体して更地にしなければ、この制度は利用できません。建物の解体費用(100万円〜数百万円)は所有者が負担する必要があります。
Q7. 別荘地の相続放棄と、相続した後の売却、どちらが得ですか?
A. 個々の状況によります。一般的には以下のように考えられます。
相続放棄が適しているケース
別荘以外にめぼしい財産がない
被相続人に多額の借金がある
別荘地の売却見込みが全くない
相続後の売却が適しているケース
別荘以外に預貯金等の財産がある
別荘地に一定の資産価値がある
時間をかければ売却できる可能性がある
Q8. 相続登記義務化と相続放棄の関係を教えてください。
A. 2024年4月1日から相続登記が義務化されました。相続により不動産を取得した相続人は、その取得を知った日から3年以内に相続登記を行う必要があります。ただし、相続放棄をした場合は相続人ではなくなるため、相続登記の義務は発生しません。
まとめ
別荘地の相続放棄について、基本的な仕組みから具体的な手続き、注意点、そして代替手段まで解説してきました。最後に重要なポイントをまとめます。
別荘地相続放棄の重要ポイント
相続放棄は全ての財産が対象:別荘地だけを選んで相続放棄することはできません。預貯金等の他の財産も全て放棄することになります。
期限は3ヶ月:相続の開始を知った日から3ヶ月以内に手続きを行う必要があります。
単純承認に注意:相続放棄前に遺産を処分すると、相続放棄できなくなる可能性があります。
次順位相続人への影響:相続放棄をすると、相続権は次順位の相続人に移ります。
管理義務が残る場合がある:相続放棄前に財産を占有していた場合、相続放棄後も管理義務が残ることがあります。
相続放棄以外の選択肢も検討を
相続放棄は別荘地問題を解決する一つの方法ですが、他の財産も放棄することになるため、慎重な判断が必要です。以下の選択肢も含めて検討しましょう。
売却(価格を大幅に下げる覚悟で)
無償譲渡
相続土地国庫帰属制度の利用(建物がない場合)
専門業者への依頼
専門家への相談をお勧めします
相続は人生で何度も経験するものではなく、判断を誤ると大きな損失につながる可能性があります。特に以下のような場合は、弁護士、司法書士、税理士などの専門家に相談することをお勧めします。
相続放棄をすべきか判断がつかない
熟慮期間(3ヶ月)が迫っている
相続財産の全容が把握できていない
相続人間で意見が分かれている
被相続人に多額の借金がある可能性がある
別荘地の処分でお困りの方は、一般社団法人日本不動産管財にもお気軽にご相談ください。ご相談者様の状況に応じた最適な解決策をご提案いたします。
