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山を売りたい方へ|山林売却の相場・方法・手続きと売れない場合の出口【2026年版】

  • 執筆者の写真: 一般社団法人日本不動産管財
    一般社団法人日本不動産管財
  • 2025年5月16日
  • 読了時間: 8分

「相続した山を売りたいが、いくらになるのか見当もつかない」「そもそもどこに相談すればいいのか分からない」——山の売却は、家やマンションの売却とはまったく別物です。相談先も、相場の考え方も、税金の計算方法も違います。


最初に全体像をお伝えします。


  • 山林の売却相場は1㎡あたり数十円〜数百円が中心。1ヘクタール(10,000㎡)でも数十万円ということが珍しくありません

  • 一般の不動産会社は山林をほぼ扱いません。相談先は山林専門の売買サイト・買取業者、森林組合、林業事業者などです

  • 立地や状態によっては売却自体が成立しない山が相当数あり、その場合は売却以外の出口に早めに切り替えることが損失を防ぎます


この記事では、全国の山林の調査・引き取りを行っている一般社団法人日本不動産管財が、山を売る方法と手続きを、売れない場合の出口まで含めて解説します。




山はいくらで売れる?——山林売却の相場

山林の価格は「土地」と「立木(生えている木)」を分けて評価するのが基本です。

土地の相場:立地で桁が変わる

林地のタイプ

相場の目安

都市近郊林地(市街地に近い山)

数百円〜1,000円程度/㎡

農村・林業地域の林地

数十円〜数百円/㎡

山村奥地林地(アクセス困難な奥山)

数円〜数十円/㎡


宅地の感覚とは桁が2つ3つ違います。例えば奥地の山林1ha(10,000㎡)なら、土地としての評価は数万〜数十万円というのが現実的なラインです。逆に、幹線道路に接している・市街地に近い・平坦でキャンプ場や資材置き場に転用できる、といった山は数百万円の値がつくこともあり、「山だから安い」と決めつけて安売りするのも損です。


立木の相場:スギ・ヒノキの人工林なら価値が出ることも

手入れされたスギ・ヒノキの人工林で、林道が近く搬出しやすい山であれば、立木に木材としての価値がつきます。逆に、天然林・雑木林や、搬出路のない山の立木は、伐採・搬出コストが売値を上回るためゼロ査定が普通です。

自分で相場を調べる3つの方法

  1. 都道府県地価調査:各県が毎年公表する基準地価格には「林地」の調査地点が含まれており、地域の林地単価の目安が分かります

  2. 国土交通省「不動産情報ライブラリ」:過去の山林の実取引価格を検索できます(面積や条件の記載が粗いため参考程度に)

  3. 固定資産税評価額は当てにしない:山林の課税明細書の評価額は、実際に売れる価格とは別物です。評価額より高く売れる山も、評価額でも売れない山もあります



山を売る5つの方法——どこに相談すべきか

売却先

向いている山

特徴

① 山林専門の業者・買取業者

全般

査定無料が多い。買取なら早い

② 森林組合

手入れされた人工林

組合員・林業者への橋渡し。地域による

③ 林業事業者・製材業者

立木に価値のある山

立木込みで評価してくれる

④ 隣接する山の所有者

まとまりが生きる山

相手にとってだけ価値が高いことがある

⑤ 一般の不動産会社

市街地近郊の山のみ

大半は取扱い不可。断られて普通


①山林専門の専門業者・買取業者が現在の主流です。土地と立木を分けて査定でき、場所が分からない・書類が揃わない状態でも相談に乗ってくれるところがあります。仲介(買い手を探す)と買取(業者が直接買う)があり、早く手放したいなら買取です。


②森林組合は、林業向きの山なら費用をかけずに相談できる選択肢です。相談の仕方と注意点は森林組合で山を売る方法で詳しく解説しています。


⑤一般の不動産会社について補足すると、山林(建物のない宅地以外の土地)の売買は宅地建物取引業法の対象外です。このため扱わない会社が大半で、仲介手数料にも法定上限がありません。依頼する場合は手数料を事前に書面で確認してください。



売れる山・売れない山——5項目チェック

売却活動に時間をかける価値があるかを、先に見極めましょう。以下に多く当てはまるほど売れる見込みがあります。


  1. 車が入る道路に接している(最重要。接道のない山は買い手の選択肢からほぼ消えます)

  2. 傾斜が緩い、または平坦な部分がある

  3. 手入れされたスギ・ヒノキの人工林である

  4. 境界のおおよその位置が分かる(境界標、尾根・沢、植生の違いなど)

  5. 市街地・観光地・キャンプ需要のあるエリアに近い


逆に、接道なし・急傾斜・場所の特定すら難しい・原野商法の分譲地——こうした山は、売却市場では値がつかないのが実情です。その場合は後述の「売れない場合の出口」に早めに進んでください。



山林売却の手続き(6ステップ)

ステップ1:書類を集める 最低限、①固定資産税の課税明細書(地番・面積・評価額)、②登記事項証明書(名義の確認)、③公図、があれば相談を始められます。人工林なら④森林簿・森林計画図(都道府県・市町村で取得)があると立木の評価がスムーズです。


ステップ2:名義を確認する(相続登記) 親や祖父母名義のままの山は売却できません。先に相続登記が必要です(2024年4月から義務化。取得を知った日から3年以内、怠ると10万円以下の過料)。


ステップ3:場所と現況を把握する 「地番は分かるが場所が分からない」は山林あるあるです。地番から山林の位置を特定する方法公図から場所を特定する方法を参考にしてください。


ステップ4:査定を受ける(複数が原則) 査定は無料のところに複数依頼し、土地と立木の内訳を出してもらいます。「売却の前に測量費・広告費・手数料を先払いしてほしい」と言われたら、その業者は打ち切ってください。原野商法の二次被害の典型手口です(詳細:原野商法と二次被害の手口)。


ステップ5:境界の扱いを決めて売買契約 山林の取引は、境界確定測量(1区画50万円〜)を行わず、公簿面積・現況渡しで契約するのが主流です。売却代金が数十万円の山に測量費をかけると確実に逆ざやになります。契約書に「公簿売買・実測面積との差異による精算なし」の条項を入れるのが実務です。


ステップ6:決済・所有権移転登記・引き渡し 司法書士が登記を行い、代金受領と同時に引き渡します。登記関係の諸費用(登録免許税・司法書士報酬)は数万〜十数万円で、地域や筆数によります。なお買主側には、森林の土地を取得してから90日以内に市町村へ届け出る義務(森林法)などがあります。



山を売ったときの税金

山林の売却は、土地部分と立木部分で税金の扱いが違うのが特徴です。


  • 土地部分:譲渡所得(分離課税)。所有期間5年超なら税率20.315%(所得税・住民税等)。相続した山は被相続人の所有期間を引き継ぐため、ほとんどが長期譲渡です

  • 立木部分:山林所得。「5分5乗方式」という林業向けの優遇計算が使えます

  • 取得費が不明な場合:先代が買った価格が分からない山は、売却価格の5%を取得費とみなす概算取得費で計算します


もっとも、山林は売却価格自体が低いため、諸経費を差し引くと課税される利益が出ないケースも多くあります。売却額がまとまった場合は税理士に確認してください。



高く・早く売るコツ

  • 情報を揃えてから査定に出す:場所の地図、境界の目安、森林簿、林道からの距離が分かるだけで、査定の確度と速度が大きく変わります

  • 買い手の用途を想像して売り込む:キャンプ・別荘・資材置き場・再エネなど、立地に合う用途を提示できる山は動きが早くなります

  • 価格に固執しない:山林は「待てば上がる」資産ではありません。維持費(固定資産税+管理で年数万円)を払い続けるコストと比較し、早期の現実的な価格設定が結果的に得です



売れない場合の出口——1年をめどに切り替える

専門業者に査定を断られた、売りに出して1年動かない——その山は、市場では買い手がいない可能性が高いと判断すべきです。売れない山を持ち続けると、固定資産税と管理費に加え、倒木・土砂などの所有者責任を負い続け、負担は次の世代に引き継がれます。


売却以外の出口は、①相続土地国庫帰属制度(相続取得の山限定・山林での使い方と承認率)、②引き取りサービス(購入した山・境界不明の山も対象)が現実的です。7つの選択肢の費用比較は山林の処分方法7つを徹底比較にまとめています。


当社団では、売却の見込みがあるかどうかの見立てを含めた無料調査を行っています。「まず売れるか知りたい。売れないなら引き取りの費用を知りたい」という段階でのご相談で構いません。



よくある質問(FAQ)

Q. 山の場所が分かりません。それでも売れますか? 

A. まず権利証や課税明細書の地番から場所を特定するのが先決です。


Q. 保安林でも売れますか? 

A. 売買自体は可能ですが、伐採等に制限があるため買い手はさらに限られます。詳細は保安林を売却する方法をご覧ください。


Q. 兄弟と共有名義の山です。

 A. 全体の売却には共有者全員の同意が必要です。同意が得られない場合、共有持分だけを手放す方法もあります。


Q. 立木だけを売って土地は残す(またはその逆)ことはできますか? 

A. 可能です。立木に価値がある山では、立木売却(伐採搬出)と土地の処分を分けて考える方が総額で有利になることがあります。


Q. 査定してもらったら「値段がつかない」と言われました。

 A. 珍しいことではありません。複数業者で同じ結果なら、市場での売却は見込み薄です。国庫帰属制度か引き取りサービスの費用を確認し、今後の維持費と比較して判断してください。



まとめ

山の売却は、①相場の桁感(1㎡数十円〜数百円)を知る、②山林専門の相談先に複数査定を出す、③公簿売買・現況渡しで経費を抑える、④売れないと分かったら1年をめどに出口を切り替える——この4点が損をしないための要点です。


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