公図から場所が不明な土地を特定する方法|取得・見方・地図の重ね合わせまで解説
- 一般社団法人日本不動産管財

- 2023年7月20日
- 読了時間: 6分
更新日:7月6日
「相続した山林の地番は分かったが、公図を取っても現地のどこなのか分からない」——土地調査のご相談で最も多いつまずきポイントです。
公図は土地の位置関係を知る基本資料ですが、公図単体では現地を特定できないことが多いのが実情です。特に山林・原野の公図は明治時代の図面がベースになっていることがあり、形も位置も現況とずれています。
この記事では、全国の山林・原野の位置特定調査を日常業務として行っている一般社団法人日本不動産管財が、公図の取得から、無料ツールで地図と重ね合わせて現地を特定する実務手順、公図でも分からない場合の次の一手までを解説します。
公図とは——2種類あることをまず知る
法務局に備え付けられている土地の図面は、正確には2種類あります。どちらに当たるかで、位置特定の難易度が大きく変わります。
① 法14条地図(不動産登記法14条1項の地図) 国の地籍調査などに基づいて作られた精度の高い図面で、筆界点に座標値を持ちます。これに該当すれば、位置特定はほぼ確実にできます。
② 地図に準ずる図面(いわゆる旧公図) 14条地図が整備されるまでの代用図面で、多くは明治時代の地租改正時に作られた図面(旧土地台帳附属地図)が元になっています。土地のおおよその位置関係・並び順は分かりますが、形状・面積・距離の精度は低いと考えてください。山林・原野の大半はこちらで、縮尺も1/2500〜1/5000と粗いことがあります。
取得した図面のどちらに当たるかは、図面の分類欄(「地図」か「地図に準ずる図面」か)で確認できます。
公図の取得方法と費用
公図は誰でも、全国どこの土地のものでも取得できます。地番さえ分かれば委任状も不要です。
方法 | 費用 | 特徴 |
法務局の窓口・郵送(地図証明書) | 450円/1筆 | 管轄外の法務局でも取得可 |
登記情報提供サービス(オンライン閲覧) | 362円/1筆 | 即時PDF表示。位置調査ならこれで十分 |
地番がまだ分からない方は、先に固定資産税の課税明細書で地番を確認してください(参考:地番だけで山林の正確な位置を特定する方法)。
取得時のコツ:対象地番の公図1枚だけでなく、周辺の地番を含む隣接図面もまとめて取得してください。1枚の公図に写る範囲は狭く、後述する「動かない手がかり」が対象図面の外にあることが多いためです。
公図の見方——最低限ここだけ押さえる


地番:図面内の各区画に振られた番号。自分の土地をまず探します
方位・縮尺:欄外に記載。旧公図は方位が現況とずれていることもあります
道路・水路:地番のない細長い区画は、国有の道路(里道・赤道)や水路(青道)であることが多く、現地特定の最重要手がかりです
隣接地番の並び:地番は原則として連続的に振られており、並び順から土地の位置関係を読み取れます
公図から現地を特定する実務手順(4ステップ)
ステップ1:公図上の「動かない地物」を探す
道路・水路・河川・鉄道など、明治から現在まで位置が変わりにくいものを公図上でマークします。山林の場合、尾根や沢に沿った境界線、麓の道路との接し方が手がかりになります。
ステップ2:法務局地図の電子データを無料で使う

ここが近年最大の進歩です。法務局備付地図の電子データ(XML形式)は2023年から無料で一般公開されており、これを読み込めるWebビューアを使うと、公図をGoogleマップや国土地理院地図の航空写真に重ねて表示できます。無料ビューアは複数公開されています(例:MAPPLE法務局地図ビューアなど「法務局地図 ビューア」で検索)。
対象の地番を検索するだけで、航空写真上のどこに区画があるかが視覚的に分かるため、紙の公図と地形図を突き合わせる従来の作業が劇的に楽になりました。まずこの方法を試すことをおすすめします。
ステップ3:座標値があれば確定できる(14条地図の場合)
対象地が14条地図の区域なら、法務局で筆界点の座標値を確認できます。公共座標系(世界測地系)の座標値であれば、国土地理院地図などに座標を入力してプロットすることで、筆界点をメートル単位の精度で現地に落とせます。なお、旧公図(地図に準ずる図面)には利用可能な座標値がない、または任意座標系のため直接プロットできない点に注意してください。
ステップ4:現地で照合する
机上で位置の目星がついたら、現地では公図の「動かない地物」(道路との接点、水路、沢)を基準に歩いて確認します。山林では境界標が残っていないことが多いため、隣接地との植生の違い(スギ林と雑木林の境目など)や古い杭・石積みが境界の名残であることがあります。
公図と現況が合わない・それでも特定できない場合
旧公図は、図面全体が一定方向にずれている(集団的なずれ)、区画の形が現況とまったく違う、といったことが珍しくありません。公図で行き詰まったら、次の資料に当たります。
森林計画図・林地台帳(市町村・都道府県):山林の場合、林班・小班単位の地図と所有者情報が整備されており、公図より現況に近いことがあります
旧土地台帳・和紙公図(字限図)(法務局):分筆の経緯を遡ることで、現在の地番の由来が分かります
過去の航空写真(国土地理院の空中写真閲覧サービス):造成・開拓当時の区画割りが写っていることがあります
地元精通者への聞き取り:隣接所有者や森林組合が境界の慣行を知っていることがあります
これらを組み合わせても、明治期の図面しかない山林・原野では「完全な特定は不可能」というケースが実際にあります。位置がおおよそしか分からない土地は、売却時の境界確定測量(1区画50万円〜)が事実上不可能なこともあり、その場合は測量を前提としない手放し方(山林の処分方法7つの比較)を検討する方が現実的です。
よくある質問(FAQ)
Q. 公図は誰でも取れますか?所有者でなくても?
A. 取得できます。公図(地図証明書・登記情報)は公開資料のため、地番が分かれば誰でも、全国どの土地のものでも取得可能です。
Q. 公図のどこを見れば自分の土地の広さが分かりますか?
A. 公図から正確な面積は分かりません。面積は登記事項証明書または課税明細書で確認してください。特に旧公図の区画の大きさは実際の面積と比例していないことがあります。
Q. 公図に道路がつながっていない土地(袋地)でした。
A. 公図上で道路(地番のない細長い区画)に接していない土地は、売却・国庫帰属のいずれでも大きなマイナス要素です。ただし引き取りサービスでは対応可能な場合があります。
Q. 自分で調べる時間がありません。
A. 当社団の無料調査をご利用ください。
まとめ
公図から場所不明の土地を特定する手順は、①公図(周辺含む)を取得 → ②無料の法務局地図ビューアで航空写真に重ねる → ③14条地図なら座標で確定 → ④現地で動かない地物と照合、の4ステップです。旧公図しかない山林・原野では特定に限界があることも事実で、その場合は「特定しきれない土地をどう手放すか」まで含めて考える必要があります。
