『登記済証(権利証)』と『登記識別情報通知』の解説

更新日:6 日前
1. 不動産の登記と「登記済証」「登記識別情報通知」とは?
不動産の登記とは
不動産を売買したり、相続したりしたとき、その内容を法務局(登記所)で公的に記録する手続きが「不動産の登記」です。登記をすることで「この土地や建物の持ち主は誰なのか」「どんな権利が設定されているか」などを公式に証明することができます。
登記済証(とうきずみしょう)とは
従来、紙の形で交付されていた書類で、一般的には「権利証(けんりしょう)」と呼ばれます。


登記所の切替え前に、不動産の取得(購入や相続など)の登記が完了したときに法務局から交付されていた書類です。
登記申請書等に、登記が済んだことを示す赤い印が押されています。
登記済証は、登記名義人本人による申請であることを確認するための大切な書類です。持っているだけで現在の所有者と決まるわけではなく、なくしても所有権そのものは失われません。
登記済という赤いスタンプが押されているのが特徴
※登記所や年代によって文言や体裁が変わりますので、画像はあくまでも参考イメージです。
登記識別情報通知(とうきしきべつじょうほうつうち)とは
2005年(平成17年)施行の不動産登記法で導入されました。登記所ごとに、紙の登記済証を交付する方式から、登記識別情報を通知する方式へ順次切り替えられました。既に交付された登記済証は、切替え後も利用できます。

書面で受け取る場合は「登記識別情報通知」という通知書が交付されます。
この通知書の中に「登記識別情報」という12桁の英数字が記載されており、いわば“パスワード”のようなものです。
売却や抵当権設定などの登記で、登記名義人本人による申請であることを確認するために用います。現在の名義や権利関係は登記事項証明書等で確認します。
書面の通知には、目隠しシール方式や折り込み方式があります。登記識別情報は登記完了時に通知されるもので、紛失しても再通知・通知書の再交付はできません。
2. 登記済証(権利証)と登記識別情報通知の違い
形態の違い
昔は紙の「登記済証(権利証)」が発行されていました。
制度の切替え後は登記識別情報が通知される方式となりました。書面で受け取る場合は「登記識別情報通知」に12桁の英数字が記載されます。
本人による申請であることを確認する役割
どちらも、売却などの登記で登記名義人本人による申請であることを確認するために重要です。書類の所持だけで現在の所有者と決まるわけではありません。
売却や抵当権設定などの登記では原則として提供します。相続による所有権移転登記では、被相続人の権利証・登記識別情報は原則不要です。
再発行の可否
登記済証は再発行できません。ただし、売却などで必要な書類を紛失していても、代替方法で登記できる場合があります。「事前通知」は登記所からの通知に対し、本人が申請内容を確認して回答する仕組みです。「資格者代理人による本人確認情報」は、申請を代理する司法書士などが本人確認を行い、その情報を提供する方法です。利用できる方法、日程と費用を法務局・司法書士などに確認してください。
登記識別情報も再通知されません。売却などで必要な場合は上記の代替方法を確認します。相続登記では原則として被相続人の権利証等の提供は不要です。後述する同一人であることの確認資料とは、区別して考えましょう。
保管の仕方
権利証(紙)は物理的に保管する必要があります。
登記識別情報は第三者に知られないよう保管します。通知書を開封した後は封筒等に封印するなど、安全に管理してください。盗難・漏えいが疑われる場合は、法務局に失効の申出等を相談できます。
3. なぜ「登記識別情報通知」に変わったのか?
電子化に対応するため
オンラインでの登記申請に対応するため、登記済証という紙の書類に代わり、登記識別情報を用いて本人による申請であることを確認する仕組みが導入されました。
セキュリティ強化
従来は、本人が登記済証を適切に保管していても、書類そのものが偽造され不正な登記申請に使われる事件がありました。登記識別情報は紙の書類そのものに依存しない本人確認の仕組みですが、番号を第三者に知られないよう管理する必要があります。
4. 権利証等が必要になる登記・原則不要な相続登記
売却(売買)する場合
売買による所有権移転登記では、売主の登記済証又は登記識別情報を原則として提供します。紛失していても、事前通知等の代替方法を確認して手続きを進められる場合があります。
抵当権を設定する場合
抵当権設定登記でも、設定者の登記済証又は登記識別情報を原則として提供します。金融機関や依頼する司法書士に、必要書類と紛失時の対応を確認しましょう。
相続登記と贈与登記の違い
贈与による所有権移転登記では、贈与者の登記済証又は登記識別情報を原則として提供します。一方、通常の相続登記では、被相続人の権利証・登記識別情報は原則不要です。
ただし、登記上の住所と死亡時の住所がつながらない場合などに、被相続人と登記名義人が同一人であることを確認する資料として、登記済証等を利用する場合があります。必要な資料は法務局・司法書士に確認してください。
相続時には、主に被相続人(亡くなった方)の戸籍や遺産分割協議書などの書類で相続人を確定し、不動産の名義を変更します。
5. 高齢者の方が注意すべきポイント
保管場所をわかりやすく安全に
権利証や登記識別情報通知は、とても大事な書類です。金庫や防火金庫、または重要書類をまとめたファイルなどに入れ、家族とも「どこに保管しているか」を共有しておくと安心です。
登記識別情報(パスワード部分)の取り扱いに注意
登記識別情報通知を開封して番号を確認した後は、他人に知られないよう封印するなど、厳重に保管してください。
特に、高齢者の方がご自宅の書類整理などを業者や第三者に委託する際は、うっかりパスワード部分を見られないよう注意しましょう。
紛失したときは登記の種類を確認
売却等の登記で必要な場合は、事前通知や資格者代理人による本人確認情報の提供等の代替方法を確認します。通常の相続登記では原則不要なので、権利証を見つけるまで申請できないと考えず、必要書類を確認してください。
登記済証の再発行や登記識別情報の再通知はできません。売却などの際に確認する手続きや費用が増える場合があるため、安全に保管しましょう。
家族に伝える・信頼できる専門家に相談する
もし書類をなくしてしまったり、内容がわからない場合は、近くの司法書士や弁護士、不動産会社に相談すると手続きの流れを教えてもらえます。
また、家族や相続人になる人にも「大切な書類はここにある」「どんな手続きが必要か」などをあらかじめ伝えておくと安心です。
6. まとめ
登記済証(権利証)は従来の紙の書類で、登記所の切替え前に登記した不動産で多く残っています。
登記識別情報は、登記名義人本人による申請であることを確認するための12桁の英数字です。2005年施行の制度導入後、登記所ごとに順次切り替えられました。
売却・贈与・抵当権設定などの登記では原則として必要ですが、紛失時には代替方法があります。通常の相続登記では、被相続人の権利証・登記識別情報は原則不要です。
紛失しても所有権そのものは失われません。再発行・再通知はできないため、必要な登記と対応方法を法務局・司法書士などへ相談しましょう。
保管場所はわかりやすく家族とも共有し、困ったときは司法書士などの専門家へ相談するのがおすすめです。
以上が、「登記済証(権利証)」と「登記識別情報通知」の解説です。所有する不動産の手続きをスムーズに行うためにも、これらの書類の存在や扱い方をしっかり理解しておくことが大切です。
確認した一次資料
確認日:2026年10月7日


